体質改善をしたいときにサプリメントに頼ったり肌質改善のために化粧水を選んだりする人は少なくありません。 しかし、これらの製品の広告に「体質改善に効果があります」「肌質改善したい方に」といった表現を使うことは薬機法や景表法に違反します。 本記事では、体質改善や肌質改善に関する広告表現の適切な使い方について解説します。化粧品や健康食品、美容機器の広告制作に関わる方は、参考にしていただければと思います。
化粧品の広告で体質改善・肌質改善効能効果の表現はNG
化粧品の広告において体質改善や肌質改善に効果があるような表現は、薬機法によって承認されている範囲を超えているため、認められていません。
(1)化粧品の効能効果について
化粧品の効能効果として広告することができる事項は、後記(2)の表に掲げる効能効果の範囲とする。なお、数種の化粧品を同一の広告文で広告する場合は、それぞれの化粧品の効能効果の範囲を逸脱しないように注意すること。
(2)化粧品の効能効果の表現について
承認を要しない化粧品の効能効果の範囲は、昭和 36 年2月8日薬発第44 号薬務局長通知の別表第1(平成 23 年7月 21 日薬食発 0721 第1号医薬食品局長通知により改正)に記載された範囲とする。
また、「美白」「ホワイトニング」などの表現も、薬機法による承認を受けていません。これらの表現を広告に使用する際は、次のような決まりの範囲内までに留めることが重要です。
- 承認を受けた効能効果に基づく表現。(「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」又は「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」など)
- メーキャップ効果により肌を白くみせるといった表現。
- しばり表現(日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ等)を用いた表現
健康食品広告での体質改善・肌質改善表現は「未承認の医薬品広告」として使用NG
健康食品の広告において、体質改善や肌質改善効果があるような表現を使用すると、「未承認の医薬品広告」を標榜しているとして薬機法違反となります。
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)
第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、承認認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
出典:薬機法
健康食品やサプリメントはあくまで「食品」であり、医薬品と同じような効果があるような広告表現は認められません。
医薬品と同じような効能効果を健康食品の広告に表示されている場合は、その製品が法律上「医薬品」と判断されてしまいます。その結果、医薬品として承認されていない製品の広告として薬機法第68条に違反すると考えられているのです。
美容機器は効能効果表現は化粧品と同じ範囲に限り使用OK
美容機器の広告については、化粧品と同じ範囲の効能効果の表現が認められています。化粧品に認められる効能効果の範囲は現在56項目あり、肌に関わる項目については次の表現が挙げられます。
- (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
- (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ。
- 肌を整える。
- 肌のキメを整える。
- 皮膚をすこやかに保つ。
- 肌荒れを防ぐ。
- 肌をひきしめる。
- 皮膚にうるおいを与える。
- 皮膚に水分、油分を補い保つ。
- 皮膚の柔軟性を保つ。
- 皮膚を保護する。
- 皮膚の乾燥を防ぐ。
- 肌をやわらげる。
- 肌にはりを与える。
- 肌にツヤを与える。
- 肌を滑らかにする。
なお、また、上記の表現を逸脱しない範囲であれば広告表示が認められますが、いずれも体質や肌質の改善と誤解されないように気を付けましょう。
化粧品での違反事例
化粧品広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。
- 治療表現(改善、予防、再生)
- 承認されていない効能効果(体質改善、肌質改善、肌がよみがえる)
- 症状や病名の記載(皮膚炎、アトピー、蕁麻疹、皮膚がん)
- 不安を煽る表現(病気の信号ですよ、異性に嫌われる、このままでいいの?)
- 安全性の保証(安心安全、問題なし、副作用の心配なく、100%)
- 最大級表現(最高、最大、世界初、日本一)
- 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師の推薦、厚生労働省)
- 他社を誹謗中傷するような内容(他社製品よりも優れて、従来よりも)
化粧品広告での言い換え表現例(参考)
化粧品広告で体質改善や肌質改善について表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を化粧品の広告を作成する際に参考にしてみてください。
体質改善、肌質改善を言い換えたい時の具体例
NG:肌質改善
OK:肌にうるおいを与えます
NG:肌の色が白くなる
OK:寝る前に数分だけぬりこめばOK!
NG:シミ、そばかすのできにくい肌に
OK:(メーキャップ効果)でシミが目立たなくなる
健康食品での違反事例
健康食品広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。
- 医薬品的な効果効能があるような表現(治療、治る、改善)
- 身体機能の変化についての表現(体質改善、肌質改善、免疫細胞の活性化)
- 特定部位を表す表現(肌、自律神経、皮膚)
- 症状や病名の記載(アレルギー、インフルエンザ、更年期障害、アトピー)
- 用法用量の指定(夕食後にお飲みください、1日1回必ずお飲みください)
- 不安を煽る表現(病気の信号ですよ、異性に嫌われる、このままでいいの?)
- 安全性の保証(安心安全、問題なし、副作用の心配なく)
- その製品を使うだけで良いといった表現(病院いらず、飲むだけで)
- 最大級表現(最高、最大、最高峰、日本一)
- 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師の推薦、国の基準)
- 他社を誹謗中傷するような内容(他社製品よりも優れて、従来よりも)
健康食品広告での使用が認められる表現
健康食品の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
- サポート表現(健康維持のために、美容のために)
- 使用感の表現(飲みやすい、爽やかな香り)
使用には注意が必要となる表現
身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGです。
- 若々しさをケア
- 美しくありたい
- 乾燥が気になったら
健康食品広告での言い換え表現例(参考)
健康食品広告で体質改善や肌質改善について表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を健康食品の広告を作成する際に参考にしてみてください。
体質改善や肌質改善を言い換えたい時の具体例
NG:体質改善 OK:若々しさをケア
NG:肌質改善 OK:毎日にハリとツヤを
NG:免疫力を高める OK:スタミナ補給のために
美容機器、雑貨での違反事例、言い換え表現(参考)
美容機器や雑貨広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。
- 医薬品的な効果効能があるような表現(治療、施術、改善)
- 身体機能の変化についての表現(体質改善、肌質改善、デトックス)
- 特定部位を表す表現(肌、自律神経、皮膚)
- 症状や病名の記載(皮膚炎、便秘、アトピー)
- 用法用量の指定(毎日5分だけ、就寝前にお使いください)
- 不安を煽る表現(このままでいいの?、病気の信号ですよ、異性に嫌われる)
- 安全性の保証(安心安全、大丈夫、副作用の心配なし)
- その製品を使うだけで良いといった表現(使うだけで、これだけで)
- 最大級表現(最高、最大、日本一、世界初)
- 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師推薦、大学教授が承認)
- 他社を誹謗中傷するような内容(他社製品よりも優れて、従来よりも)
美容機器、雑貨広告での使用が認められる表現
美容機器や雑貨の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
- サポート表現(健康維持のために、美容のために)
- 使用感の表現(着けやすい、ぴったり、肌触りの良い)
使用には注意が必要となる表現
身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGです。
- キレイな毎日を
- 脂っこい食事が多い方に
美容機器、雑貨広告での言い換え表現例(参考)
美容機器、雑貨などの広告で体質改善や肌質改善について表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を健康食品の広告を作成する際に参考にしてみてください。
体質改善や肌質改善を言い換えたい時の具体例
NG:体質改善 OK: スッキリした毎日を送れる
NG:肌質改善 OK: 女子力がプラス
NG:身体を引き締める効果 OK:気持ちが引き締まります
まとめ
体質改善や肌質改善に効果があるといった広告表現は法律上「医薬品と同じような効能効果がある」製品とされるため、化粧品や健康食品、美容機器の広告に表示することは薬機法違反にあたります。
また、実際の製品よりも優良な効果があるような広告表示は景表法における優良誤認表示にも該当するため注意が必要です。
化粧品や健康食品、美容機器の広告表現は、薬機法や景表法による規制が設けられています。法律に違反した広告表示が重大なトラブルに繋がる事例は多くあるため、広告制作に携わる方は各法律に定められた効能効果の表現方法についてしっかり把握しておきましょう。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますようお願いいたします。