近年ではインターネットの普及や技術の進歩により、世界中でクオリティの高い商品が取り引きされるようになってきています。
そのその取り引きは個人間だけでなく企業間でも盛んに行われており、海外商品を専門で扱う業者は世界中に存在しています。
国が異なれば法律も異なる中、品質基準や品質維持方法については世界で統一された厳密なルールが設けられていることをご存知でしょうか。
本記事では、ISOについて興味を持っている方や、化粧品にまつわるISOについて知りたい方に向けて、それぞれの詳細について説明していきます。
ISOとISO規格
そもそもISOとは?
ISOとは、スイスのジュネーブに本部が置かれている非政府組織「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」のことを意味し、1947年に設立されました。
ISO規格とは?
国際間でサービスや何らかの製品を取り引きする際に、国ごとにサイズや品質、安全性の基準が異なっているとあらゆる面で支障を来してしまいます。
ISOはその支障を回避して取り引きをスムーズに行うため、世界共通の基準を制定しており、それを「ISO規格」と呼びます。
ISO規格の種類
ISO規格は「ISO 9001」などの番号によって整理されており、これまでに20,000規格以上制定されています。
また種類としては、「モノ規格」と「マネジメントシステム規格」の2つに大きく分けられます。
「モノ規格」とは、製品や表示そのものに定められる規格を指し、身近な例では非常口のマーク(ISO 7010)やクレジットカードのサイズ(ISO/IEC 7810)、ネジ(ISO 68)などが挙げられます。
一方「マネジメントシステム規格」とは、品質管理方法や環境活動など「仕組み」について定められる規格を指します。
マネジメントシステムとは?
それでは、「マネジメントシステム」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
マネジメントシステムは個人ではなく企業などの「組織」で運営します。
ここで言う「組織」とは2人以上の集まりを意味し、所属人数が2人以上いれば企業だけでなく病院や施設、地方自治体や学校も含まれます。
組織全体で目標を達成するには「管理(=マネジメント)」が必要です。
例えば、社員数が少ない企業の場合、社長と各社員間の距離が近いため、密接なコミュニケーションが可能で会社全体を把握する事ができます。
一方で、社員数が増大するにつれて社長1人で会社全体を把握することは困難になっていきます。そこで会社として統一された「規定」や「手順」などのルールを作ることで、同じ考えのもとで会社を運営して行くことができます。
さらに、この統一された「規定や手順などのルール」を運用するためには、部課長などの管理職を置き、各役職の「責任」と「権限」を明確にする必要があります。
マネジメントシステムとは、これら「規定や手順などのルール」を定め、それらを実際に運用するための「責任と権限」の体系を意味します。つまりマネジメントシステムとは、企業が目標を達成するために適切に指揮管理する「仕組み」とも言え、「ISOマネジメントシステム規格」とはこの「仕組み」について定められた国際的な規格となります。
マネジメントシステム規格の種類
マネジメントシステム規格にもいくつか種類があり、代表的なものをご紹介したいと思います。
- ISO 9001 (品質マネジメントシステム)
一貫した製品・サービスの提供、及び顧客満足度の向上を目的とした規格
- ISO 14001 (環境マネジメントシステム)
環境パフォーマンスの向上、順守義務を満たすこと、及び環境目標の達成を目的とした規格
- ISO 22000/FSSC 22000 (食品安全マネジメントシステム)
消費者に安全な食品を提供することを目的とした規格
- ISO 45001 (労働安全衛生マネジメントシステム)
労働安全衛生パフォーマンスの向上、労働に関連する負傷及び疾病の防止、及び安全で健康的な職場の提供を目的とした規格
- ISO 27001 (情報セキュリティマネジメントシステム)
情報セキュリティのリスクアセスメント及びリスク対応、情報セキュリティマネジメントシステムの確立・維持・継続的な改善を目的とした規格
- ISO 13485 (医療機器・体外診断用医薬品マネジメントシステム)
医療機器産業において製品・サービスの規制に対応し、リスクを低減することを目的とした規格
マネジメントシステム規格の認証を受けるには
マネジメントシステム規格には「要求事項」と呼ばれる基準が定められています。
認証を受けたい企業はこの要求事項を満たした上で、「認証機関(審査機関)」により審査を受ける必要があります。
審査により要求事項を満たしていれば、その企業に対して認証証明書(登録証)が発行されるとともに、社会一般に公開されます。
この企業側と利害関係のない認証機関により認証を受ける仕組みを「マネジメントシステム認証制度」と呼びます。
また、この認証機関は日本に約50社あり、これらの認証基準を一定に保つために、認証機関の認定を行う「認定機関」も存在します。
化粧品OEMに関するISO規格は?
最後に、一般的な化粧品OEMに関わるISO規格をご紹介したいと思います。
製造に関するマネジメントシステム規格
- ISO 9001 (品質マネジメントシステム)
- ISO 14001 (環境マネジメントシステム)
化粧品の製造を行う工場においては、品質の維持や環境への配慮は必要不可欠です。
それらのマネジメントシステムが構築されているかを確認できる基準として、ISO 9001、ISO 14001が挙げられます。
これらの規格は化粧品に特化したISO規格ではなく、何らかの製品を製造する企業におけるマネジメント規格となります。
化粧品に関するモノ規格 (ISO 22716)
現在、化粧品に関連したISO規格(ISO/TC217)は36種類あり、主に化粧品の分析方法や試験方法、製造基準に関するものがほとんどです。
その中でも代表的な規格にISO 22716があります。
ISO 22716は別名**化粧品GMP (Good Manufacturing Practice:適正製造規範)**とも呼ばれます。
主な適用製品は化粧品や医薬部外品、口中清涼剤、殺虫剤などが挙げられ、原料の入荷から製品の出荷、回収対応までの過程において、製品が安全で一定の品質を保たれるように定められたシステムになっています。
ISO 22716認証を取得することで、製品の製造や品質、衛生に関して管理されている担保となるだけでなく、国際規格に適合していることが証明できるため、海外への化粧品輸出もスムーズに行えるメリットがあります。
実際にヨーロッパでは流通する化粧品に関して、2011年にISO 22716の適応義務化が行われており、その規制はASEAN諸国でも広がりつつあります。
まとめ
本記事では、ISOの基本的な考え方や種類、そして化粧品にまつわるISOをご紹介させていただきました。
数ある化粧品OEMを選定する上で、ISO認証も大きな選定基準になると思います。
ぜひ参考にしてみてくださいね。