近年はSNSの発展により、D2Cによる様々なオリジナル化粧品が増えてきています。
そのため、大手メーカーでは作れないような尖ったコンセプトの化粧品や、自分だけのオリジナル化粧品を作ってみたいと思う方も多いかと思います。
しかし、実際にオリジナル化粧品とはどの様に作るのでしょうか。
商品の処方開発を行う設備や製造する設備を持っていない方でも作れるのでしょうか。
この記事では化粧品OEM (化粧品ODM) を利用したオリジナル化粧品の作り方をご紹介したいと思います。
化粧品OEM (化粧品ODM) を利用したオリジナル化粧品の開発方法
そもそも化粧品OEMとは
OEMとはOriginal Equipment Manufacturerの頭文字を取ったもので、他社ブランドの製品を製造する受託製造企業を指します。発売元に代わって受託製造を行うため、自ら製造設備を持つことなくオリジナル化粧品を製造することができます。
また、製造設備だけでなく処方開発設備を持たない方にはODMという業態もあります。
ODMとはOriginal Design Manufacturerの頭文字を取ったもので、受託製造だけでなく製品コンセプト設計や処方開発、容器の選定、原料の調達、完成品の生産、品質管理までをワンストップで行う企業を指します。
基本的に化粧品OEM企業でも処方開発から品質管理までワンストップで行える企業が大半なので、この記事では化粧品OEMという呼び方に統一してご説明したいと思います。
オリジナル化粧品の作り方の流れ
まずは全体的な流れを把握して行きましょう。
- 製品コンセプトの立案、及び商品詳細と販売プランを決定する
- サンプル依頼書を作成する
- OEMへ開発を依頼する
- 容器を検討する
- 安定性試験を実施する
- 販売名の決定と届出を行う
- OEM工場にて製造を行う
- 製品が納品される
- 販売開始
大まかな流れは以上となります。
一見シンプルな流れであまり時間がかからない様に見えますが、市場調査や製造スケジュールなどを踏まえて考えると、少なくとも約1年ほどはかかってきます。
それでは、続いて各パートを細かく見て行きましょう。
製品コンセプトの立案、及び商品詳細と販売プランを決定する
製品コンセプトの立案の際は、まず市場調査を行い、どの様な商品がどの層のお客様に求められているかを調べる必要があります。多くの場合、独自で調査を行うか、民間のマーケティング会社へ調査を依頼することが一般的です。
製品コンセプトが固まったら、次はどの様な商品を提供するか商品の詳細イメージを考えていきます。
化粧品には様々な種類があるので、どの種類の化粧品をオリジナルで作るのか予め目標とする商品の詳細イメージを固めておきましょう。例えば、メイクアップ化粧品でファンデーションを販売したい場合、どの様なテクスチャの商品を、どの様な色をベースに何色展開して、各色何個製造するなど大まかな製造プランも検討しておく必要があります。
また、この段階で具体的に参考にしたい市場の商品がある場合は、ターゲット品として購入しておくことをお勧めします。
さらに、この段階で自社ECサイトの立ち上げプランなど、D2Cで展開させる販売プランも併せて検討しておきましょう。
サンプル依頼書を作成する
商品の詳細イメージが固まったら「サンプル依頼書」の作成を行いましょう。
サンプル依頼書には下記の様な項目を記載すると良いでしょう。
- 製品コンセプト:どの様な客層にどの様な商品を提供するか。
- 化粧品の剤型:化粧水、乳液、クリームなど。
- 目標とするテクスチャ:ターゲット品より滑らかでサッパリとした仕上がりに、など明確に記載。
- 希望する容器:ポンプ容器やチューブ容器など。剤型によっては不可能な場合もあるため注意が必要。
- 希望するロット数:OEMによって最少ロットが異なるため、それを踏まえた上で発注数を決定する。
- 発売予定日:製造には一定の期間を要するため、開発スケジュールに充てられる期間なども発売予定日から逆算して決定する。
開発依頼を行う段階で、OEM側とサンプル依頼書を用いた情報共有を行うことで、共通認識を持った商品開発を進めることができます。
また、サンプル依頼書を作成することで、突然の担当者変更など予期せぬ事態が発生しても、目標とした商品の詳細イメージがブレない開発を行うことができます。
OEMへ開発を依頼する、容器を検討する
製品コンセプトや商品詳細、販売プランが決定したらOEM企業と商談を行い、開発依頼を行います。
先述の通り、最初の段階でターゲット品を用意しておくと、OEM側での開発がスムーズに行うことができます。
サンプル依頼書を共有しながら叶えたい商品イメージをOEMに伝え、想定している生産数や大まかな費用感などを伝えておくと良いでしょう。
さらに、希望の容器が決まっている場合はこの開発依頼のタイミングでお伝えしておきましょう。
化粧品の中身はバルクと呼ばれ、バルクと容器には相性があります。極端な例でいうと、バルクの粘性が高すぎた場合、ポンプからバルクが吐出されない恐れがあります。
また、OEMは日常的に容器メーカーとも取引があるため、希望の容器が決まっていない場合は気軽に相談してみましょう。
安定性試験を実施する
改良検討を重ねて最終サンプルが完成し、最終容器も決定した際は、安定性試験を依頼しましょう。
どんなに優れた化粧品であっても、実際に流通した際にその途中で簡単に変質してしまっては商品として成り立ちません。
安定性試験は、この様な品質劣化のトラブルを防ぐため、温度、湿度、光、振動などの影響を受けてどの様に経時変化するかを確認するために行われます。
販売名の決定と届出を行う
発売元が化粧品製造販売業を取得している場合は、化粧品製造販売届を都道府県の薬務課へ届出する必要があります。この化粧品製造販売届は、届出した販売名の化粧品が、どの工場でどの様な行程で製造されるかを明記したものになり、専用の申請ソフトで届出を行います。
もし発売元が化粧品製造販売業を取得していない場合はOEMに届出を行ってもらうことになり、商品裏面の製造販売元の箇所にOEMの社名が表示されることになります。
OEM工場にて製造を行う、製品が納品される、販売開始
安定性試験、届出が完了すれば、OEMに発注を行い製造を開始します。初回製造の際、生産工程の立会いを行える場合があるため、立会いを希望する場合は予めOEMに相談をしておきましょう。
また、社内に商品サンプルの保管場所がある場合は、初回製造サンプルを保管しておき、万が一のクレームリスクに備えておくことも可能です。
初回製造後、品質検査をクリアすると出荷判定が行われ、所定の納品場所へ商品が納品され、商品の発売が可能になります。
まとめ
今回は化粧品OEMを利用したオリジナル化粧品開発の大まかな流れを説明させていただきました。
いくつかのステップがありましたが、多くのブランドが時間をかけるのが「1. 製品コンセプトや商品詳細と販売プランを決定する」ではないでしょうか。
じっくり商品イメージやコンセプト立案に時間をかけることで、より良い商品が生まれるのかもしれません。
また、どんな化粧品OEMがあるのか、どの化粧品OEMを選んだら良いか分からない、などのお悩みがある場合は、化粧品展示会に参加してみても良いかもしれません。
オリジナル化粧品開発を検討されている方は、是非この記事で書いた内容も参考にしてみてください。