化粧品にも様々な剤形があり、「液体もの」「固体もの」「粉体もの」など多種多様です。
では、粉体ものとはどの様な種類があり、どの様な効果があるのでしょうか。
また、どのようにして作ることが出来るのでしょうか。
この記事では化粧品の中でも粉体ものにフォーカスしてご説明したいと思います。
粉体ものとは
粉体もの化粧品を簡単にご説明すると、「粉状の剤形の化粧品」を指し、主にパウダーファンデーションなどのメイクアップ商品に多くみられます。
では、粉体もの化粧品の特徴を一つずつ見ていきましょう。
パウダーファンデーションとは、顔全体に塗布し、シミ、そばかす、小ジワ、毛穴などを覆い隠すことで、肌表面を均等に整えるベースメイクとして使用されます。アルミ皿などの充填容器に加圧成型により充填され、鏡のついたコンパクト容器にセットされ、付属のパフで適量を取り顔に塗布して使用します。
ルースパウダーとは白粉(おしろい)とも呼ばれ、一般的にベースメイクの仕上げとして使用されます。
パウダーファンデーションとは異なりサラサラとした粉状であることが特徴です。肌への密着度が高く、余分な皮脂を吸収することによる化粧持ち効果や、毛穴をぼかして目立たなくする効果にも優れているため、陶器肌の様な仕上がりが簡単に作ることができます。パウダーファンデーションとは異なり、底の深いジャー容器に充填されることが多く、分厚いふんわりとしたパフを使って顔に塗布します。
プレストパウダーとは、肌への密着度が高く、余分な皮脂を吸収することで化粧持ち効果も高い加圧成型した粉体化粧品であり、主にベースメイクの仕上げや化粧直しに使用されます。パウダーファンデーションと同様にアルミ皿などの充填容器に加圧成型により充填され、鏡のついたコンパクト容器にセットされ、付属のパフで適量を取り使用します。
パウダーアイシャドウとは、目の周囲やアイホールに陰影をつけ、立体感を持たせる粉状の化粧品です。1色だけのものから2色〜4色以上のパレット状のものまで様々であり、付属のチップを使って使用します。
パウダーチークとは頬紅(ほおべに)とも呼ばれ、頬骨に沿って血色良く見せたり、陰影をつけて立体感を持たせるために使用されます。主に付属のパフやブラシで適量を取り使用します。
以上が一般的な粉体もの化粧品となります。粉体ものと一言に言っても様々ですが、主にメイクアップ化粧品が大半を占めることが伺えます。
粉体もの化粧品の配合成分
続いて、粉体もの化粧品の配合成分についてご説明したいと思います。
粉体もの化粧品の主な配合成分は、各種比率は異なるものの、タルクやマイカ、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛などの自然鉱物由来の体質粉体や、シリコンやナイロンなどの合成により作られる機能性粉体、酸化鉄や有機色素などの着色粉体、そしてシリコンオイルなどの粉体同士を繋ぎ止める油剤(オイルバインダー)となります。
パウダーファンデーションやルースパウダー、プレストパウダーなどのベースメイクには、酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線散乱剤、油系成分の紫外線吸収剤を配合することによりSPFやPAなどの紫外線防御効果を付与することができます。さらに、ビタミンC誘導体などの有効成分を配合することにより医薬部外品としての効果を持たせることもできます。
また、パウダーアイシャドウやパウダーチークはパール剤を配合することにより、キラキラとしたラメ感や、面で光る様なツヤ感を付与することができます。
粉体もの化粧品の製造方法
一般的な製造方法は粉体を細かく撹拌・粉砕し、オイルバインダーと混合・分散させてることで中身(バルク)が製造されます。
充填工程では、アルミ皿などの容器にバルクを入れて加圧成型することで成型品が作られ、この充填方法を乾式充填と言います。
また、できあがったバルクをアルコールなどの溶媒に溶かして泥状にし、アルミ皿などの容器に入れて余分な溶媒を吸引しながら加圧成型する方法もあり、この充填方法を湿式充填と言います。
化粧品OEMで粉体ものの化粧品を作る方法
では、それぞれの粉体もの化粧品の中から作りたいものが決まった時、どのように作れば良いのでしょうか。
ここでは化粧品OEMで粉体ものの化粧品を作る方法をご説明したいと思います。
化粧品OEM会社に開発を依頼する大まかな流れ
作りたい粉体もの化粧品の種類が決まったら以下の流れで化粧品OEM会社と開発を進めます。
- 理想とする商品像やコンセプト、販売計画を立てる。
- サンプル依頼書を作成する。
- 化粧品OEM会社にサンプル依頼を行う。
- 化粧品の容器を決定する。
- 安定性試験を実施する。
- 化粧品の薬事申請を行う。
- 製造を行う。
- 品質検査後、商品が納品される。
一連の流れを書くと、すぐにできそうにも見えるのですが、開発着手から発売までは約1年程度かかることがあります。
また、粉体もの化粧品はテクスチャーだけでなく、色合いも重要な要素となって来るため、「1.理想とする商品像やコンセプト、販売計画を立てる。」の段階で、理想とするテクスチャーや色合い(外観色、塗布色)について、市場に出ている商品で参考品を設定しておくと良いでしょう。
化粧品OEMを利用した化粧品開発については他の記事で詳しくまとめてますので、宜しければそちらもご参考ください。
化粧品OEMを選ぶ際のポイント
では、化粧品OEMに開発を依頼する流れが理解できたところで、化粧品OEMはどの様に選べば良いのでしょうか。ここでは化粧品OEMを選ぶ上での重要なポイントを3つご説明したいと思います。
処方開発力
化粧品OEMを選ぶ中で最も重要なポイントは処方開発力です。
粉体ものの化粧品は粉体原料とオイルバインダーとの組み合わせにより、テクスチャーや発色が変わってきます。また、近年では粉体の粉砕技術が向上し、テクスチャーの悪い粉体原料をミクロレベルの細かい粒子に粉砕することで、さらにテクスチャーの向上を図る企業も増えてきており、粉体もの化粧品全般を得意とするOEM会社も少なくありません。
化粧品OEM会社の処方開発力を簡単に図ることは難しいですが、化粧品OEM会社と直接商談を行ったり、化粧品展示会に足を運んだりすることで、それぞれの化粧品OEM会社を比較し、ご自身が求めている化粧品OEMを見つけることができると考えられます。
化粧品展示会については他の記事で詳しくまとめてますので、宜しければそちらもご参考ください。
製造設備
続いての重要なポイントは製造設備が完備されているかどうかです。
粉体ものの化粧品を製造する際は、一般的に混合機と粉砕機が必要となります。
また、充填設備として一般的な乾式充填機の他に湿式充填機も完備されている化粧品OEM会社もあるため、対応可能な充填方法についても確認する必要があります。
品質管理
3つ目の重要なポイントは品質管理についてです。
化粧品の処方開発力も高く、製造設備も充実しているとしても、高い品質を維持した商品を作れないと意味がありません。
化粧品OEMの品質管理について参考になるのがISOです。
ISOとはスイスのジュネーブに本部を置く「国際標準化機構」が設定した、「世界中で同じ品質のものを提供すること」を目的とした国際基準です。
化粧品製造に関連するISOとしては、製品やサービスの品質を継続的に向上させることを目的としたISO 9001(品質マネジメント規格)や、化粧品の製造に関する品質・安全性に関するISO 22716(化粧品GMP)などが挙げられます。
検討している化粧品OEMが、どのISOの認証を受けているのかも良い判断材料になると考えられます。
ISOについては他の記事で詳しくまとめてますので、宜しければそちらもご参考ください。
まとめ
今回の記事では粉体もの化粧品の種類や機能、化粧品OEMで粉体もの化粧品を作る方法、化粧品OEM会社を選ぶポイントについてご説明させていただきました。
粉体もの化粧品をご検討されている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。