化粧品といってもたくさん種類があり、化粧品OEMメーカーは日々様々な商品を世に生み出しています。
そんな多くの化粧品を製造する化粧品OEMメーカーですが、一体どの様な設備があるのでしょうか。
今回の記事では化粧品OEMメーカーの工場設備についてご説明したいと思います。
化粧品OEMメーカーの設備とは
化粧品OEM工場に設置されている設備は製造設備と検査設備の2つに大きく分けられます。
ここではそれぞれの種類や特徴をご説明したいと思います。
製造設備
化粧品を製造する工程は細かく細分化されており、それぞれの工程で製造設備が異なります。
ではどのような工程でどのような設備が使用されているのでしょうか。
秤量器
微生物検査などが済み、原料倉庫から運ばれて来た原料を、製造する量に応じて必要な分を量り取る作業を秤量と言います。原料単位で個別の容器に量り取ることもあれば、同じタイミングで混合する行程がある原料の場合は、1つの容器にまとめて量り取ることもあります。
この際に使用する設備として秤量器が主に用いられ、全ての化粧品製造において共通で使用されるものになります。
秤量器の種類も豊富であり、数グラム単位で秤量するものから数十キロ単位で秤量するものまで様々です。
混合器
秤量が済んだ原料を、製造工程に沿って均一に混ぜ合わせる作業を混合と言います。
混合の工程は化粧品の剤型によって使用する設備が異なるため、それぞれご説明したいと思います。
- 混合釜
プロペラなどにより液体の原料など攪拌させる装置です。加熱や冷却を行いながら攪拌ができ、化粧水、美容液、シャンプー、リンスなど、比較的、粘性の低い化粧品の製造が可能です。大きさは100Lから大きいもので10,000Lの混合釜もあります。
- 真空乳化釜
釜内に中央に設置されたホモミキサーと、内壁についた原料を掻き取る掻取翼により、液体の原料などを撹拌・乳化するための装置です。真空、加熱、冷却など、化粧品製造に最適な条件を保ちながら攪拌を行うことができます。大きさは100Lから大きいもので10,000Lの真空乳化釜もあり、スキンケア(オールインワンゲル、化粧水・美容液・乳液・クリーム)をはじめ、幅広い液体化粧品の製造が可能です。
- 混練機
並列した特殊な攪拌羽根が回転することにより、原料を練り上げる機械で、粘性の高い液体原料の混和や製造に用いられ、ニーダーとも呼ばれます。
- 粉体混合機
釜内に設置された回転羽根により、着色顔料や体質顔料などの粉体原料、油性基剤を混合する機械で、粉体化粧品の製造に用いられます。大きさは3Lから大きいもので4,000Lの混合機もあります。
- 粉砕機
高速回転するハンマーと特殊形状のライニングの間に粉体を通すことで、さらに細かく粉体を粉砕する機械で、粉体化粧品の製造に用いられます。主な用途として、粉体原料と油性基剤を混合することで発生した細かい凝集粒子をさらに粉砕・均一化することで、粉体化粧品が色ムラ無く使用できる様にします。
充填機
混合が終わった化粧品の中身(バルク)を化粧品容器に入れる工程を充填と言います。
化粧品の剤型によって様々な充填機があり、代表的なものをご説明したいと思います。
- 液体充填機
化粧水や乳液、美容液など液状の化粧品に用いられる充填機で、ピストンとシリンダー構造により容器にバルクを充填します。
- 粘体充填機
ペースト状の液体やクリーム状の低粘体から、ワックスなどの高粘度の粘体化粧品を充填する充填機です。充填時はバルクの温度を上げることで粘性を下げながら充填を行うこともあります。
- 粉体充填機
パウダーファンデーションやパウダーアイシャドウなどの粉体化粧品を充填する充填機です。
混合・粉砕が完了したバルクをアルミ皿などの容器に直接入れてプレス成型を行う乾式充填機と、バルクにアルコールなどの揮発性溶媒を加えて均一化し、泥状にしたものをアルミ皿などの容器に入れ、プレス成型し、乾燥を行う湿式充填機があります。
また、プレス成型を行わないルースパウダーなどについても、専用の粉体充填機が存在します。
- スティック充填機
口紅やリップクリーム、スティックコンシーラーなどのスティック状の固形化粧品を充填する充填機です。
混錬機や真空乳化釜で製造されたバルクを熱して液状にし、棒状の型に流し込み冷却することで成型し、スティック容器に差し込むことで充填が行われます。
口紅などは必要に応じて成型後に表面をガスバーナーの火炎を当てることで、外観の均一化と艶出しを行うこともあり、この工程をフレーミングと言います。
表示機
化粧品の容器に化粧品の責任表示を行う工程を表示と言います。
化粧品の仕様や剤型によってその順序は異なり、充填前の化粧品容器に直接責任表示が印刷されている場合もあれば、充填前に容器に責任ラベルが貼付される場合もあります。容器に直接責任ラベルを貼る際に使用する設備をラベル自動貼り付け機(ラベラー)と言い、多くの化粧品製造工場で使用されています。
また、充填が終わった商品については必ずインクジェットプリンターなどによりロット印字が行われ、こちらも表示工程の一つとなります。
包装機
化粧品の充填が終わり、表示が完了した商品にカバーなどを施す工程を包装と言います。
包装工程で専用の包装機が用いられる場合があり、シュリンク包装とピロー包装が挙げられます。
- シュリンク包装
シュリンクとは「収縮」を意味し、シュリンク包装とは主に汚れ防止などのために商品を透明フィルムで密閉することを言います。
商品をそれぞれのサイズにあったプラスチックフィルムの袋に入れ、シュリンカーに通して加熱を行うことで、袋が熱で縮んで商品をピッタリ覆うことができます。
- ピロー包装
ピローとは「枕」を意味し、ピロー包装とは枕状になったプラスチックフィルムで商品を覆い、密閉することを言います。
シュリンク包装が空気を抜いた状態で商品をピッタリ覆うのに対し、ピロー包装は商品をプラスチックフィルムの袋で覆った後、空気を入れたまま密閉します。
化粧品の仕様によってはこれらの包装は行われれない場合もあり、段ボールに直接手作業などで包装される場合もあります。
検査設備
商品が規格通りに製造されているか、品質が担保されているかを確認するために、化粧品OEMメーカーは品質検査部門を設置し品質確認を行なっています。この工程を試験検査と言い、この際に使用される検査機器はバルクの物性やバルクに微生物汚染が発生していないか等の検査が行われます。
下記に代表的な検査機をご説明したいと思います。
- pH計測器
化粧品のバルクのpH値の測定に使用されます。化粧水や乳液、シャンプー、トリートメント、クリームなど水を含む幅広い化粧品の品質検査に使用されます。
- 粘度測定器
化粧品のバルクの粘度の測定に使用されます。主にクリームやワックスなどの粘性の高い化粧品の品質検査に使用されます。
- 硬度測定器
成型された化粧品の硬度(硬さ)の測定に使用されます。主にパウダーファンデーションやリップスティック類などの成型が必要な固体化粧品の品質検査に使用されます。
- 色差計
着色された化粧品のバルクの色の測定に使用され、色を数値化することで標準色との差を確認します。主にメイクアップ商品の品質検査に使用されます。
- 分析装置
化粧品のバルクに配合されている特定の成分の配合量を測定するために使用されます。分析対象によって液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなど分析方法は異なります。
実際に設備を見る方法 工場見学は可能?
一連の設備についてご説明致しましたが実際に設備を見てみたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
化粧品OEMメーカーでは工場見学を行っている企業やリモート工場見学などを実施している企業もあります。
「オリジナル化粧品開発をお願いしたいけど、設備が気になる」と言った方や、「どの様な工場で製造されているかが気になる」と言った方には、まずは工場見学が可能かを相談して見るのも良いかもしれません。
まとめ
今回の記事では化粧品OEMメーカーの設備についてご説明させていただきました。
実際に製造設備を見てみると、その迫力に驚いてしまうかもしれません。
化粧品の製造設備や検査設備についてご興味がある方がいらっしゃいましたら、是非この記事を参考にして見てください。