自社でオリジナル化粧品を作りたいと思ったとき、化粧品OEM会社を検討するかと思います。
しかし、化粧品OEMで化粧品を製造する工程をご存知の方は少ないのではないでしょうか。
また、化粧品の製造工程で「バルク」という言葉が出てくる場面も多いかと思います。バルクとは一体、どんな意味を持っているのでしょうか。
そこで本記事では化粧品OEMの説明や製造工程、バルク製造などについて詳しく説明していきます。
化粧品OEM会社とは
OEM会社とは「Original Equipment manufacturer」頭文字をとって、OEMと呼ばれています。日本語に訳すと「オリジナル製品を製造すること」。
自社ブランドとして販売したい化粧品の開発・製造を、専門の会社(OEM会社)に委託することです。販売するには実績や自信があるけれど、製造する実績や工場設備がない、そういった企業が化粧品会社OEMメーカーを利用し、自社オリジナル化粧品を生み出します。
化粧品OEMを利用するメリットとは
化粧品OEMを利用するメリットとして、以下の4つが挙げられます。
- 工場設備に投資する必要がない
- 化粧品製造販売の許可や薬機法などの専門的な部分をサポート
- 在庫を抱えるリスクが少ない
- 中身から容器まで一括して依頼できる
化粧品OEMの製造プロセス
全体のスケジュール感をつかむために、製造プロセスを見ていきましょう。
1. OEM会社との商談
2. コンセプト・企画決定
3. 処方開発・試作品の評価と改良
4. 価格調整・OEM会社決定
5. 容器、パッケージ・デザイン決定
6. 最終見積もり
7. 契約・発注
8. 製造
9. 納品
契約・発注後に原料や資材などの手配を行い、オリジナル化粧品の製造に取り掛かります。
バルクとは
一般的に使われるバルクとは大きさや容量という意味で、スペルは「bulk」となります。大きさ、容量、容積、かさなどのまとまった状態やボリュームの大きい状態を指します。
バルクという単語は世の中の多くの分野で使われており、それぞれの分野によって意味合いも変わってきます。
化粧品のバルクとは
化粧品で使われるバルクとは、「個別の容器などに充填する前の中身」のことで、化粧品の原材料を製造釜でかき混ぜた状態のものです。
バルクは「まとまった」という意味で使われますが、化粧品業界では製品化された中身のことも、バルクと呼んでいます。
化粧品製造では通常、原材料の受け入れからバルク製造、充填・包装までの工程を1つの工場で実施しますが、工場によっては各工程を、それぞれ分けて行う場合もあります。
その場合、バルクの状態で次の工場に輸送しますが、このことを、バルク輸送やバルク輸出といいます。
海外へバルク輸出
海外へバルク輸出するという意味は日本国内で製造した化粧品の中身だけを、海外へ輸出することです。化粧品バルクを大きなドラム缶容器に入れ輸出し、輸出先の海外で個別の容器に充填されます。
逆のパターンもあり、海外から日本国内へ化粧品バルクを引き取ることをバルク輸入といいます。
また、海外へバルクを輸出する場合、輸出規約の確認、輸送方法の検討、輸出に必要な証明書の準備などの手続きが多くあります。化粧品OEM会社によって、海外輸出を行っているところと行っていないところがあるので、バルク輸出を考えている方は事前に確認しておく必要があります。
バルクの原材料
化粧品の原材料は約10000種類を越えます。化粧品の使い心地や使用感などを判断する大きな手がかりになるのが、原材料です。
化粧品の主な原材料は
- 油性原料
- 界面活性剤
- 保湿剤
- 防腐剤
- 殺菌剤
- 紫外線吸収剤
- 酸化防止剤
- 香料
などがあります。これらの原料を混合させてバルクを作っていきます。
バルク製造にかかる費用
化粧品にはスキンケアやコスメ用品までさまざまな種類があり、その種類や成分によって費用は大きく変わります。
例えば、スキンケアの場合だと、化粧水<美容液<クリームの順に費用は高くなります。化粧水の主な成分は水なのでコストを抑えることができますが、配合する成分によって費用が異なります。
効果のある成分を何も考えずに入れてしまうと費用が高くなってしまうため、配合成分を考えながら選択しましょう。
また、新規処方で製造すると莫大な費用がかかってしまいます。OEM会社の既存処方をアレンジしながら製造することで、費用を抑え、製品化までの時間を短縮化できます。
化粧品OEM バルクの製造工程
ここからは化粧品OEMの、バルクの製造工程を説明します。
1. 原材料の検査
2. 原材料の計量
3. バルク製造
4. 品質検査
5. 充填・包装
1. 原材料の検査
化粧品はさまざまな原料からできており、原材料の管理をしっかり行います。化粧品の原材料には規定があるためそれに適合するか検査が必要です。
原材料を目視で確認、色、匂いなど問題ないか確認していきます。材料の段階で問題がないか見ておき、検査に合格した原材料のみでバルク製造に取り掛かります。
また、原材料の保管期限を設けることも必要です。
2. 原材料の計量
決められた配合量になるよう計測を行います。0.01gまで細かく計量され、ここで計量が違ってしまうと規約通りの化粧品ができなくなってしまうため、わずかな誤差も許されません。
原材料には粉、液体、個体などさまざまな形態があるので品質にばらつきがでないよう、厳密に計量を行います。
3. バルク製造
いよいよ製造に取り掛かります。製造釜に原材料を順番に投入していき、混ぜ合わせたり、化学反応を起こさせて製造していきます。
しっかりと乳化させることが大切ですが、混ぜすぎてしまうと、濁りや粘土が高くなりすぎてしまうなどの問題が発生するため、この工程は非常に重要です。
化粧水や乳液などの液体には「ホモジナイザー」という機械で分子レベルまで均一にします。
4. 品質検査
バルクの製造後、品質検査を行います。検査方法は、物理的な物質を計測する「物性試験」、見た目で検査する「外観確認」、匂いや触感で検査する「官能試験」、微生物に汚染されていないかどうかを検査する「微生物試験」の4つの検査方法があります。
バルクの検査は1回1回の生産ごとに細かく行われ、出荷可否判定に合格したらはじめて製品として販売することが認められます。
5. 充填・包装
完成したバルクを、充填工場で個別の容器へ充填していき製品の完成です。バルクは専用の充填機で容器に入れられ、人の目で細かくチェックを行い、包装されていきます。
包装後は出荷検査を受け、合格したものだけが消費者のもとへ届きます。
製造工程を説明しました。OEMメーカーによって違いはありますが、大きな流れは同じです。
OEM会社によって、バルク輸出のサポートを行っているところもあります。
製造工程をスムーズにさせるポイント
製造工程をスムーズに行うポイントを2つ紹介します。
化粧品の中身はとても重要で中身がよくなければ、リピートが期待できません。化粧品の処方が決定するまで焦らず、納得のいくものが出来上がるまで開発を進めていきましょう。
スケジュールに余裕を持つことで心の余裕も生まれ、納得のいくオリジナル化粧品が完成します。
化粧品の容器の手配は、発注から3~4ヶ月はかかります。容器の発注は早めに行うようにしましょう。
化粧品箱は発注から1ヶ月もかからないため、容器を優先した方が安心です。
まとめ
本記事では化粧品OEMの説明や製造工程、バルク製造などについてご紹介させていただきました。
初めてのオリジナル化粧品の製作で分からないことが多くあると思いますが、依頼後の流れや製造工程を理解しておくことで打合せなどをスムーズに進めることができるかと思います。
ぜひ参考にしていただきながら、素敵なオリジナル化粧品を作ってくださいね。