新たな健康食品を企画開発、製造するにあたり、製造工程のOEMへの依頼を検討している企業も多いのではないでしょうか。
多くの記事がOEMについて説明している通り、健康食品OEMには様々なメリットがあります。
OEMでは、製品の製造工程を全て第三者企業に委託する仕組みであるため、製造にかかる工場や設備コスト、そして人件費を抑えることができるのが大きなメリットと言えます。
では実際、OEMを依頼するにあたり、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
この記事では、OEMを利用する際、OEMにかかる費用の具体的な内訳と、全体的な相場についてまとめていきます。
健康食品OEMにかかる費用の相場
健康食品と一言で言っても、それには様々な種類や形態があります。
食品なのか飲料なのか、またはサプリメントなのか。
さらにサプリメントの中でも、粉末や錠剤、液体と、様々な形状があります。
加工のプロセスによっても費用は異り、また、それを作るための原材料によっても大きく費用には差が出てきます。
原材料にこだわり、高価な原材料を使用すると、それに伴いコストが跳ね上がることはもちろんのことです。
具体的に、代表的な健康食品の費用相場を以下に挙げます。
- カプセル・・・5万粒 30万円~
- タブレット・・・30kg 50万円~
- 青汁・・・60kg 40万円~
- 健康ドリンク・・・5000本 60万円~
ロット数や商品の統計によっても異なりますが、このように大まかに見ると、一つの商品につき最低で、50~100万円を見ておくと良いといわれています。
健康食品OEMの費用相場に影響するもの
では、この費用の相場に具体的に影響するものをまとめておきます。
具体的に費用に影響するものが何かを知ることによって、企画の段階で、理想のコストに近づけることができます。
- ロット数
ロット数とは、1回で生産する製品の数量のことを指します。
少量での製造も不可能ではありませんが、コストが割高になることが多いです。
食品類の場合は、一般的に、最低でも「100個」や「10kg」など、ある程度のロット数が必要となります。
ちなみに、健康食品OEMの最小ロット数はどれくらいでしょうか。
具体的な例を挙げると、
青汁やプロテインなどの粉末状のものであれば10㎏~30㎏ぐらい、錠剤やカプセルタイプなら1,000~3,000個が一般的な最低ロット数になると言われています。
OEMメーカーによっては、それぞれ「粉末状」「カプセル」「錠剤」が得意、というように、「形状」に特化したメーカーがあります。
また、「美容ダイエット」「健康維持」「栄養補助食品」などの「ジャンル」に特化したメーカーもあります。
それぞれの得意分野を良く見極めてOEMメーカーを選定すると、コストパフォーマンスが良くなったり、小ロット数でも製造依頼できるケースがあったりします。
- 加工費
健康食品の場合、原料である食材をそのまま使うといったことは少ないでしょう。
そのため、加工が必要になることがほとんどですので、そのための加工費が必要となってきます。
- 配合成分と配合率
健康食品に配合する成分と配合率によって、費用はそれなりに変わってきます。
例えば、成分が貴重が天然食品になると、そこから成分を抽出、濃縮、精製したりする過程が加わります。
このような加工が必要になるものについては、特に高価になる傾向があります。
このように成分の種類によって、また、1粒または1包あたりの成分配合割合によって費用が変わってきます。
また、気候の変動によって穀物や果物の価格が年々変化するように、原料価格は、原材料の収穫量や供給バランスによっても変動します。
- 剤形
とくにサプリメントにおいては、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤などによっても加工費が変わってきます。
また、特殊被膜原料を使ったり、コーティングしたり、腸溶性を付加したりといった、特殊な技術や工程を追加する必要がある場合にも、さらに加工費が追加されます。
- 包装形態
商品の包装形態によっても、どのような容器を使用するかで費用は異なってきます。
包装形態の例としては、パウチ、ペットボトル、ガラスボトル、ガラス瓶、樹脂ボトル、アルミチャック袋などが挙げられ、どの容器に入れるのかによって価格が変わります。
健康食品OEMでかかる費用の内訳
1.初期費用(サンプル代、パッケージのデザイン開発など)
試作の段階でサンプル製作は無料という会社も多いですが、高価な原材料を使用したり、試作回数や数量が多いという場合には有料になることが多いようです。
パッケージデザインに関しては、OEMメーカーが自社でパッケージデザイナーを抱えており、デザインからパッケージ製造まで全て依頼できる場合と、自社からパッケージを持ち込む場合があります。
どちらの場合でも、デザイン代やパッケージ製造・印刷の費用は別途かかることが一般的です。
仮に、パッケージ製作の費用を抑えたい場合は、既存の容器を使用し、印刷やラベル添付で対応するなどの方法があるので、事前に相談することも可能です。
2.健康食品の中身(バルク代)
バルクとは、完成した健康食品を容器詰めする直前のものを指します。
バルク製造にかかる費用は、健康食品の種類によって大きく変わります。
バルク製造においては2パターンあり、独自原料ではじめから処方を考える場合と、OEMメーカーが保有している処方を加工する場合です。
はじめから処方を考えて製造する際、その処方に独自原料を使用する場合は、研究開発費や加工費、品質の安全性を検査する費用も必要となってくるので、その分の費用や時間も計算に入れておく必要があります。
時間や費用を抑えたい場合は、はじめからOEMメーカーが保有している既存の処方をベースにしてアレンジを加えていくことができます。
3.健康食品の資材(容器やラベル印刷代など)
健康食品を容器に詰める工程では、形状に適した容器を選定する必要があります。
形状がドリンクなら瓶・缶・ペットボトル、粉末状ならパウチ袋というように、中身によって最適な容器を準備していきます。
パウチやプラスチック容器だと比較的コストは抑えられますが、瓶だと値段は上がり、それぞれの容器によってもちろんのこと価格は変化します。
さらに、容器へ印刷する場合とラベルで対応する場合によって、またそれぞれの印刷方法によっても価格は違ってきます。
容器のデザイン性で、どの容器にどの印刷方法を使用するかを決めていくため、デザインへのこだわりよって費用は大きく異なります。
4.バルク充填にかかる費用
OEMメーカーの持つ工場の充填機械に容器が適合するかどうかの確認をし、充填テストをする必要があります。
さらに、手充填の必要がある場合には、充填費が高くなることもあります。
5.梱包や配送代
最終工程として、完成した健康食品にラベル貼りやシュリンク包装をしたり、倉庫やお店に配送するための箱詰めをしたりするために、作業費や人件費、配送代がかかってきます。
ラベル貼りや箱詰めの作業費を抑えるためには、貼りやすいラベルや組み立てやすい箱を用意する工夫もあります。
また、配送代も、重量やサイズ、納品場所によって変わってきます。
まとめ
以上、健康食品OEMの費用相場についてまとめました。
費用は原価だけではなく、何を作るかや、OEMメーカーの体制によって大きく変わってきます。
OEMでの費用相場を理解した上で、作りたい食品のコンセプトや形態等をしっかりと明確にしてからOEMメーカーに見積りを依頼すると良いでしょう。