健康食品といっても様々にあります。例えば、食品ごとに消費者庁長官の認可が必要な特定用途食品や、消費者庁上官の認可が必要な特定保健用食品、栄養機能食品を謳ったものがあります。どの部門で商品化していくのか・・・という明確なものはまず決めておくことがOEM商品を作るうえで最も重要な点です。上記の区分けをきっちりしておかないと、商品を作るうえではものすごくタイムロスとなる場合があります。まずはクライアントの考え(商品コンセプト、使用する原料、g数、入数など)をしっかりと落とし込んでください。
そのうえで明確な商品設定がある前提として記載しますが、自社で企画・提案・製造ができる場合は最低1ヵ月、ファブレスメーカーといわれる提携の協力工場での依頼は最低2ヶ月~3ヵ月の時間は必要となります。企業規模によってこの期間はある程度短縮できるとは思いますが、OEMの受託先が自社NB品を製造しつつOEM商品を製造している場合、自社NB品の製造との兼ね合いが大きく影響します。当然、OEMということで契約の締結はありますが、受託先にも製造の段取りがあります。
工場の製造スケジュール
私は自社で商品製造ができる環境下があり、商品のOEMなど企画・提案・製造を自社内で一気通貫で受託してきましたが、それでも商品を作るうえでは日々作られる他商品のスケジュールによって製造期日は調整されるため、受託したからと言ってすぐ作れるわけではありません。依頼先の製造段取りによって大きく期日が変わることもご理解いただく必要があります。工場の製造スケジュールに関しましては工場規模にもよりますが、自社もしくは協力工場に最低1~2か月前には製造スケジュール(原料、製造量など)を伝えておいた方が良いです。冒頭、自社工場でのタイムスケジュールは約1ヵ月と記載いたしましたが、自社工場で行う場合は原料の取引先が明確に把握できるため、クライアントからの原料要望に瞬時に対応できます。
また、工場内でなんのアレルギー原料を使用しているのか把握できていることからコンタミネーションなどの把握もしやすい点は非常に有利です。また、価格に関しましても一気通貫で実施できることからある程度低コストで行えることもメリットです。ただし、こういった企業の多くは中小企業が多く、自社NBの製造や、その他OEMの製造を事前に請け負っている可能性もあるため、工場の製造スケジュール調整は非常に重要となります。ファブレスメーカーはその点協力工場があるため、工場のスケジュールはある程度臨機応変に対応しやすくなります。また、昨今のファブレスメーカーも原料調達やアレルゲン表記に関しては非常に素早く対応できるようになりましたので、この点はあまり深刻にとらえる必要はなさそうです。ただし、ファブレスメーカーは全国から多くのOEMの依頼を受けている可能性は否めません。
となるとやはり、製造依頼は早い段階から行っておいた方が良いと思います。
工場以外の作業段取りの調整
また、OEM商品を作るうえで工場以外の作業段取りも調整が必要です。特に時間調整が必要な個所を記載しておきます。以下番号とともに大体の所要時間や原因を記載しておきます。
- 商品パッケージのデザイン校正(パッケージのデザインや色校正、パッケージ文言)、パッケージサイズ・資材発注
- 外箱段ボールのデザイン校正・資材発注
- 商品の一括表示および、栄養成分
- 自社内で完結させる企業も多くありますが、健康食品ともなると明記する記載内容が消費者庁が指定する文言に違反していないか、明確な根拠があっての記載なのかなど一文字一文字にきちんとした根拠を確かめなければならず、その部分に関しては特に気を使ってチェックを実施いたします。また、売れるデザインなのか、クライアントとの打ち合わせ・修正作業を慎重に行うことが多く、この時間にかなりの時間を費やします。沢山の商品があるこの現代社会で、いかにパッケージ一つで手に取ってくれるのか、、、この部分は非常に重要な購買動機となっており、デザインの決定にはものすごく時間をかける傾向が高いです。
案を作成⇒クライアントへの確認実施。この回数が多いと所要時間は長くなります。また、デザインを外部に委託する場合も然りです。
私の経験談からお伝えしますと、パッケージのデザイン修正や色校正の修正でクライアントとは約3~4回の打ち合わせを実施しております。デザインに関しましては外部へ委託しておりましたので結果的には上記打ち合わせに対して、デザイン会社とも3~4回の打ち合わせを実施しているという流れです。要点をまとめて商談に望んでもやはりお客様の要望を満足なものにするにはこの打ち合わせという期間はかなり時間を要します。
余裕をもって約1週間程度で収まるように動く方が良いでしょう。
上記デザインの校正が終わった後でようやく資材発注となりますが、パッケージ資材を発注して出来上がるために約3~4週間はかかる可能性があります。
- クライアントとの①のパッケージの打ち合わせの一番最初の段階で大まかな商品構成は決定している(規格、商品サイズ)でしょうから①と同時並行で進めていくことが望ましいです。商品を梱包するための外箱段ボールの製造スケジュールを進めていかなければなりません。段ボールは多くの場合段ボール製造業者へ発注を致します。商品の製造段取りも必要ではありますが、外箱の資材発注も同じくらい大事になります。
段ボールに関しましましては約2~3週間で出来る可能性が高いですが、上記①の資材と同じくらいかかると考えておけば良いです。
- 栄養成分表記事項に関しましては、企業によっては第3社機関に調査依頼を実施するところも多いです。検査結果に約1週間を要します。自社完結でできるところもあれば、多くの企業はこういった第3社機関に依頼しているケースもあります。商品サンプル(一括表記内容が決定した)ができた時点で、この成分表の取得は取り掛かったほうが良いです。
その他、OEM商品を作るスケジュールのなかに一つ、事務的なものを取り入れておきたいのですが、商品の規格、原材料、入数などほぼ商流内容が決定した段階で、商品の概要を全てまとめたカルテのようなものは作成することをお勧めします。記載内容としては商品の原材料や栄養成分、商品サイズやJAN・GTINコード、アレルゲン有無など商品情報をまとめた資料です。これは受託側がクライアントから今後何か依頼をされるときに、詳細な内容をすぐさま報告できるための資料となります。昨今の小売業ではコンタミネーションの証明書なども求めてくることが多くなっております。
すべてを資料化しておくことも重要なことですので、商品を作って商流するという納期だけを考えず、資料をまとめておくということも納品期日の中に取り入れていただけると幸いです。
健康食品OEMのスケジュール感【まとめ】
■製造における工場の納期:規模間にもよるが、商品製造までに約1ヵ月~2ヶ月前にはスケジュールが必要。(工場の製造スケジュール調整、事前の原料調達が必要)
■商品デザイン:クライアントとの打ち合わせで約1週間必要(デザイン、色校正など)
■資材納期:約1ヵ月(商品パッケージ資材および、外箱段ボールの発注)
■栄養成分表記:外部企業へ依頼した場合約1週間は必要
■その他資料:約3~10日商品カルテ(商品内容が網羅されている資料、製造工程表など)