さまざまなタイプの健康食品の中でも、飲みやすく手軽な錠剤タイプは多くの人が愛用しています。ゼリーやドリンクに比べて味がついていないことも多いため、好みを問わず摂取できることでも人気がありますね。今回は健康食品OEMで錠剤を作る際に意識したいポイントをまとめていますので、どうぞ最後までご覧ください。
錠剤の定義とは
始めに、そもそも錠剤とはどんなものを指すのか確認しておきましょう。
錠剤とは医薬品の剤形の1つで、一定量を服用しやすく持ち運びしやすいという特徴を持った固形の製剤。有効成分だけを固めたものと、有効成分に添加剤を加えてから固めたものの2種類がある。 錠剤は、有効成分の種類や効果を発揮したい部位によって、形や大きさが異なる。円盤状のものやレンズ形、竿形などが多いが、中にはやじり形といった特殊な錠剤もある。大体、重量は200~500mg、直径は8~15mmの間で作られる。
間違えやすいのが、カプセルと錠剤について。錠剤は粉状の成分を押し固めて作られていますが、カプセルはゼラチン質のカプセルに粉や液状の成分を入れて作られたもの。一般的には錠剤の方が粒が小さく、のどに貼りつきにくいため高齢者などにも良く用いられています。
また、錠剤は大きく分けて以下の3種類に分けられており、それぞれ飲みやすさや目的とする効果が異なります。
- 糖衣錠:錠剤の表面を糖で覆い、苦みを感じることなく飲めるようにしたもの
- 舌下錠:舌の上や下など、口内で溶かしてから飲むことで吸収されやすくなるもの
- 腸溶剤:腸に届いて初めて解け始めるもの
一般的な健康食品に用いられる錠剤は、糖衣錠や舌下錠がほとんどです。しかし整腸作用のある「ラクトフェリン」などは、腸溶剤でなければ理想とする効果が得られません。
錠剤のメリット・デメリット
錠剤は多くのサプリメントに採用されていますが、メリットだけでなくデメリットも存在します。それぞれの効果を効率的に発揮させるためにも、デメリットを理解しておくことは必要不可欠といえるでしょう。
メリット
錠剤タイプの健康食品を摂取するメリットには、以下のようなものがあります。
- 粒が小さく飲みやすい
- コンパクトで持ち運びしやすい
- 一度に飲む量がわかりやすい
- ほかのタイプに比べて長期保存しやすい
- 表面に刻印ができ、他のサプリや薬と判別しやすい
まず第一に、どんな健康食品よりも粒が小さく、一口で飲めるというお手軽さが挙げられます。青汁を筆頭に、ドリンクタイプの健康食品は個性的な味がついていることも多く、定期的に摂取するには苦痛だという人も少なくありません。フルーツなどの甘い味がついているものでも、苦手なフレーバーであれば手に取りにくくなってしまうでしょう。
また、錠剤タイプは計量も必要なく、一度に飲む量がわかりやすいのも特徴です。人によって錠剤の個数を変えることもでき、個人に併せやすいのもメリットといえるでしょう。表面には名称や番号などが記載できるため、万が一他のサプリメントや薬と混在してしまった場合でも安心です。
デメリット
錠剤タイプの健康食品を摂取するデメリットには、以下のようなものがあります。
- 液状タイプに比べて量を微調整しにくい
- 中には錠剤が苦手な人も多い
- 十分な量の水で飲む必要がある
サプリメントは医薬品と比べてトラブルは起きにくいとされていますが、一緒に飲み込む水の量が少なければ食道や胃に錠剤が張り付いてしまう恐れがあります。長時間粘膜に触れたままにしていると炎症が起こり、酷い場合は潰瘍になることも。
さらに、錠剤やカプセルタイプはどうしても上手に飲み込めないという人も一定数います。錠剤のサイズはなるべく小さく製造し、長時間口の中にあっても苦みを感じにくくゆっくりと飲めるようなサプリメントが良いでしょう。
錠剤の健康食品の一例
錠剤タイプの健康食品は数多くあるため、まずはメジャーなものをピックアップしてチェックしてみましょう。
- マルチビタミン
- マルチミネラル
- ビタミンC
- ビタミンE
- ビタミンB群
- ビタミンD
- コエンザイムQ10
- カルシウム
- マグネシウム
- アントシアニン(ブルーベリーエキス)
- ヘム鉄
- 亜鉛
- DPA、EPA
- コラーゲン
- 大豆イソフラボン
パウチタイプの錠剤もあれば、マルチビタミンやマルチミネラルなどは大容量のボトルタイプが多く見られます。
錠剤タイプの健康食品における注意点
一見手軽に思われがちな錠剤タイプの健康食品ですが、販売するにあたって気をつけなければいけない点がいくつかあります。まず、国民生活センターが2019年に調査した「錠剤・カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査」によれば、錠剤・カプセルタイプの健康食品100銘柄のうちなんと42銘柄が指定時間内に崩壊を始めなかったことが報告されています。糖などでコーティングされていない錠剤の場合、摂取から30分以内に崩壊しなければなりません。加えてコーティングされたものならば60分以内とされていますが、崩壊が遅くなればなるほど錠剤が潰瘍の原因になりやすく、安全とはいえなくなってしまいます。
さらに、パッケージには摂取方法や一日の目安量などの記載がありましたが、どの程度長く摂取し続けて良いのかなどについては記載がありませんでした。これにより不必要に長く摂取するケースや、逆に効果が得られる前に飲むのを止めてしまうケースが増加。パッケージに記載できないものは公式HPに掲載するなどし、消費者が迷わないように配慮が必要です。同じ成分が配合されていても、他製品とは大きく摂取量が異なる場合もあるため、大きくわかりやすい表示を心掛けましょう。ドリンクやゼリータイプとは違い、錠剤タイプの健康食品は消費者が医薬品と混同してしまう可能性が高くなります。健康食品はあくまでも健康の維持を目的としており、症状の緩和や病気の治癒を目的とするものではないことを明確にしなくてはなりません。
健康食品OEMの大まかな発注手順
健康食品OEM、つまり「受託製造」を検討する場合、いくつかのポイントに注意する必要があります。今や大手メーカーだけでなく、中小企業もOEM制を導入しており、受託先にいくつかの依頼が集中することも少なくありません。人気の商品が集中し納期が遅れることのないよう、あらかじめ理想とするスケジュールについて書面を作成しておくと安心です。受託先のキャパシティを理解するため、どの程度の製造ラインを有しているかなどのキャパシティもおさえておきましょう。
また、どれだけ付き合いの深い受託先であったとしても、同時に複数の企業に相見積もりを取ることは必須です。中でも企業によって価格に差が出やすいパッケージや容器、梱包材などの価格は要チェック。契約前に確認し、考慮した上で発注書を作成しましょう。その他健康食品OEMの大まかな発注手順は以下の通りです。
- コンセプト、内容、成分などの話し合いとレビュー
- サンプリング
- 一度持ち帰りサンプルのチェック
- 最終的な仕様やデザイン、単価などを決定
- 正式発注
- 製造開始
- 検査、検品を経て納品
まとめ
今回は錠剤タイプの健康食品にはどのようなものがあるのか、また実際に製造する際の注意点や流れなどをご紹介しました。消費者の中には、医薬品と健康食品の明確な区別がついていないケースも多く見られます。年代を問わず正しく摂取できるための表示を心掛け、製造の参考にしてくださいね。