ヘアカラーは、自宅でも簡単に使用できるものが普及して市場が拡大しています。
自社でもオリジナルのヘアカラーを販売したいけれども、製造について詳しいことがわからずに悩んでいませんか。
この記事では、ヘアカラー製品の種類や特徴、OEM生産の方法や注意点について解説します。
染毛剤・脱色剤の種類
医薬部外品に分類されるものと、化粧品に分類されるものに分かれます。
医薬部外品の染毛剤
一般的に「ヘアカラー」と呼ばれるものは、医薬部外品に該当します。
医薬部外品は、医薬品と化粧品の中間にあたるもので、人体に関する作用の緩やかなもので機械器具でないものと薬機法で定められています。
厚生労働省が許可した「有効成分」が一定濃度配合されていて、効能・効果が期待できるものが医薬部外品になります。
「薬理的に毛髪を染める染毛剤」とされ、「髪の毛を染める」「髪の毛を脱色する」と効能を謳うことが可能です。
- 永久染毛剤・酸化染毛剤
ヘアカラー・ヘアダイ・白髪染め・おしゃれ染め・おしゃれ白髪染め・ファッションカラーと呼ばれる染毛剤です。
クリームタイプ・乳液タイプ・液状タイプ・エアゾールタイプ・泡タイプ・粉末タイプなどの多様な剤型があります。
染毛作用と脱色作用の2つの作用があり、これにより髪を染めます。
染毛作用のメカニズムについては、アルカリによりキューティクルが開き毛髪が膨潤したところに、酸化染料が浸透し酸化して結びつくことにより、発色します。
それと同時に、過酸化水素によりメラニン色素が分解されることで脱色作用を引き起こし、髪色が明るくなります。
黒髪から明るい色へカラーリングするおしゃれ染めから、白髪をしっかり目立たなくさせる白髪染めまであります。色もちは2~3ヶ月間です。
酸化染料を含む1剤と過酸化水素を含む2剤から構成され、混合して使用します。
酸化染料がアレルギー反応をおこすことがあるため、都度パッチテストを行う必要があります。
- 永久染毛剤・非酸化染毛剤
お歯黒式白髪染めといわれることがあり、1剤と2剤から構成されます。
鉄イオンと多価フェノールが黒色の色素をつくりだし、毛髪を黒~黒褐色に染めます。
脱色作用はないので、白髪染めとして使用され、約1ヶ月間色持ちします。
酸化染毛剤でアレルギーの出る人でも使用できる場合があります。
なお、アレルギー反応をおこすことがあるため、都度パッチテストを行う必要があります。
- 脱色剤
医薬部外品に該当し、毛髪を明るくするほか、毛髪に残っている染料を分解するために使用します。染毛作用はありません。
ヘアブリーチ・ヘアライトナーといわれることもあり、1剤式、2剤式、3剤式の製品に分かれます。
また、液状・クリーム・泡・スプレー・パウダー混合など様々な剤型があります。
過酸化水素の作用によってメラニン色素が分解されるため、髪色が明るなったように見えます。
過硫酸塩を配合した製品では分解できるメラニン色素が多くなり、髪色をかなり明るくすることができます。
なお、過硫酸塩を配合した製品では、パッチテストを行うことができません。
- 脱染剤
毛髪に残ったヘアカラーによる髪色を取り除くときに使用します。過酸化水素と過硫酸塩によって、毛髪の色素が分解されます。染毛作用はありません。
ヘアブリーチと呼ばれることが多く、パウダー混合・クリーム、2剤式、3剤式など様々な種類があります。
なお、過硫酸塩が配合されているため、パッチテストを行うことができません。
化粧品の染毛剤
医薬品の染毛剤は異なり、毛髪の表面を着色します。
このため「髪を染める」と表現できないなど販売時には注意も必要です。
刺激も少なく手軽に着色できる反面、雨や汗などで色落ちすることがあります。
- 一時染毛料
毛髪の表面に着色剤を付着させ、毛髪を一時的に着色します。
ヘアマスカラ・ヘアカラースプレー・ヘアマーカー・ヘアファンデーションなどと呼ばれることが多く、マスカラ・パウダー・マーカー・エアゾールなど様々な剤型があります。
簡単にシャンプーで洗い流せるため、ファッションとして髪に色を付けることも可能です。
塗るだけなので手軽に使用でき、繰り返し使用しても毛髪が傷みづらいです。
- 半永久染毛料
色素が毛髪の内部まで浸透することで染めたり、何度か繰り返して使用していくことで、色素が毛髪の表層部に徐々に浸透し、毛髪を染めます。
ヘナ(またはヘナ由来物)を含む場合は、医薬部外品である永久染毛剤に準ずるため、染毛する前に毎回必ずパッチテストを行います。
- ヘアマニキュア
1回の使用で染まり、エアゾールタイプ・ジェルタイプがあります。
酸性染料が配合され、酸性下で染毛します。
約2~4週間の色持ちで、繰り返し使用しても毛髪の傷みが比較的少ないです。
アレルギー性は低く、酸化染毛剤(ヘアカラー)でアレルギー反応を起こす場合の代替品としても使用されます。
- カラートリートメント・カラーリンス
繰り返し使用することで徐々に染毛していきます。
塩基性の染料が配合されていて、弱酸性~弱アルカリ性下で染毛します。
繰り返し使用しても毛髪の傷みは比較的少ないですが、シャンプーのたびに少しずつ色落ちしていきます。
アレルギーは少なく、酸化染毛剤(ヘアカラー)でかぶれてしまった人が、代替品として使用することがあります。
化粧品OEMで染毛剤・脱色剤をつくる方法
染毛剤・脱色剤をOEM生産するときに注意することは、医薬部外品にするか、化粧品にするかを決めておくことです。
あらかじめ決まっていれば、会社選びや汎用処方の利用などが検討でき、販売までがスムーズに進みます。
また、OEM生産の流れは以下のとおりです。
- 打ち合わせでコンセプトの決定
- 原料選定、試作・安全性テスト
- 商品のデザイン・ラベルの決定
- 見積もり
- 製造・納品
一般的に最初の打ち合わせから納品まで半年ほどかかります。
医薬部外品では、薬事申請などで更に時間がかかりますので、余裕を持ったスケジュールにしましょう。
染毛用商品の薬事広告の注意点
染毛剤の特徴として、「化粧品」と「医薬部外品」で可能な表現が異なることがあげられます。
「ヘアカラー」「白髪染め」という表現については、分類により使用できる表現が異なります。
業界団体の日本ヘアカラー工業会では、医薬部外品を「ヘアカラー」、一般化粧品を「ヘアマニキュア」と位置付けており、大手の化粧品メーカーを中心にそのルールに準じた表現をしています。
化粧品としての広告表現
化粧品だから「カラーリングをする」「白髪を染める」という言葉の全てを使用できないということではありません。
誰が見ても「着色している」という意図(「染めている」のではなく)が伝わるのであれば、可能な範囲と考えられます。
化粧品である染毛剤では、「髪にやさしい」「マイルド」「いたわる」に関しては、事実であって安全性の保証にあたらなければ使用できます。
医薬部外品としての広告表現
日本ヘアカラー工業会による広告の自主基準が、表現の指標になります。
ヘアカラー(染毛剤)は刺激も強く、アレルギーなどのトラブルが発生する可能性がありますので、あえて基準として、髪に対して「やさしい」「マイルド」「いたわる」という表現そのものを使用しないことが求められています。
その代わりに「髪を染める」「白髪を染める」といった訴求は使用が可能です。
まとめ
染毛剤・脱色剤は、化粧品と医薬部外品とで安全性や毛髪の染まり方に大きな差があります。
どのような製品がいいのか悩んだら、プロに相談するのもいいでしょう。
この記事を参考にして、素敵なヘアカラーをつくってください。