普段のお手入れに加えて専門的なケアを取り入れたい方へオススメの施設に美容サロンがあります。
美容サロンでは専門的な知識を持ったスタッフがより効果的なお手入れを施すことで、普段のお手入れ以上の仕上がりに導いてくれます。
では専門的な知識を持った美容サロンで、オリジナルの化粧品を開発することは可能なのでしょうか。
今回の記事では美容サロンにおけるオリジナル化粧品開発に関する考え方や方法についてご説明したいと思います。
美容サロンと化粧品の関わり
美容サロンとは
それでは美容サロンにはどの様な種類があるのでしょうか。
美容サロンは大きく分けて以下の4つに分けられます。
ヘアサロン(美容室)
ヘアサロンは髪のカットや洗髪、スタイリングなどを施す理容店や美容室のことを指します。
ヘアサロンには美容室には含まれていない「理容」の要素も含まれるため、美容室だけではなく理容店でも使用されています。ヘアサロンに従事するスタッフは「理容師」や「美容師」などの国家資格を持っており、理容師による施術ではヘアカット以外に顔の髭やムダ毛を剃るシェービングを受けることができ、一方の美容師による施術ではパーマやウェーブなどの施術を受けることができます。
近年では理容師と美容師の両方の資格を持つダブルライセンスのスタッフがいるヘアサロンも増えてきています。
ネイルサロン
ネイルサロンは手や足の爪を綺麗に整える専門店のことを指します。
主な施術の流れとしては、爪の長さを整え、甘皮処理をし、好みのデザイン・カラーに仕上げるという流れになります。また、ネイルの種類は、自爪にカラーするマニキュアや、自爪を補強しながらアートデザインができるジェルネイル、長さを出すスカルプチュアなどが主流になっています。
さらに、ネイルのケアだけでなくフットケアやハンドケアの施術を受けられるサロンもあります。
近年では爪にそのまま好きなデザインや画像をプリントできるネイルプリンターをおくサロンも増えてきています。
ネイルに関する国家資格が無いため、ネイルサロンの開業においては資格は不要となりますが、ネイリスト技能検定やジェルネイル技能検定などの専門的な民間資格を持ったスタッフが施術を行う場合が多くあります。
まつ毛サロン
まつ毛サロンはまつ毛に対してエクステンションやパーマを施す専門店のことを指します。
主な施術の流れとしては、目元をテーピングなどで保護し、薬剤をまつ毛に使用してエクステンションやパーマをかけます。まつ毛サロンに従事するスタッフは薬剤を使用することから「美容師」の国家資格を持っており、それ以外にもアイデザイナー技能検定やアイリスト技能検定など民間資格を持っていることが多くあります。
エステサロン
エステサロンはボディエステやフェイシャルエステ、光エステを行う専門店のことを指します。
エッセンシャルオイルやアロマオイルなどを用いたボディケア、フェイシャルケア、光美容機によるムダ毛ケアが一般的な施術内容となります。
エステに関する国家資格が無いため、エステサロンの開業においては資格は不要となりますが、認定エステティシャンやアロマセラピストなどの民間資格を持ったスタッフが施術を行う場合が多くあります。
美容サロンの化粧品開発
それではそれぞれの美容サロンがオリジナルの化粧品開発を検討する場合、どの様な商品が候補に上がるのでしょうか。
ヘアサロン
ヘアサロンでは髪や頭皮に関する知識を持ったスタッフが従事していることから、ヘアケア商品の検討がオススメです。
主な商品としてはシャンプーやヘアトリートメントなどのインバスケア商品や、ヘアミルクやヘアオイルなどのアウトバスケア商品、頭皮用ローションなどの頭皮ケア商品などが挙げられます。
また髪や頭皮のケア用品以外にも、スタイリングに力を入れているサロンの場合は、サロンオリジナルのスタイリング剤を展開するサロンもあります。
しかし、サロンによっては取引のあるメーカーのサロン専売品の販売も行っている場合もあるため、同店舗内での販売のカニバリゼーションが起こらない様に注意する必要があります。
ネイルサロン
ネイルサロンでは爪に関する知識を持ったスタッフが従事していることから、ネイルケア商品の検討がオススメです。
主な商品としてはマニキュアやベースコートやカラーポリッシュ、トップコートなどが挙げられます。
また、近年ではLEDライトで硬化させるジェルネイルも一般化してきているため、そちらの検討もオススメです。
特に、ベースジェルを除く、カラージェルやトップジェルなど「使用方法が爪に直接塗布しないことが明確であるもの」の場合、化粧品ではなく雑貨として販売が可能な場合があります。
参考:化粧品の該当性について
まつ毛サロン
まつ毛サロンではまつ毛に関する知識を持ったスタッフが従事していることから、まつ毛ケア商品の検討がオススメです。
主な商品としては、まつ毛美容液などのケア用品が挙げられます。
しかし、まつ毛のエクステンションに使用する糊との相性にも気を配る必要があるため、開発段階で十分に注意する必要があります。
エステサロン
エステサロンではボディケアやフェイシャルケアに関する知識を持ったスタッフが従事していることから、ボディケアやスキンケア商品の検討がオススメです。
主な商品としては、肌に潤いを与えるボディミルクやボディオイル、化粧水やフェイシャルオイルなどが挙げられます。
また、アロマセラピストなどの資格を活かしてお客様の好みに合ったアロマオイルの検討もオススメです。
美容師や美容サロンの化粧品OEM活用法
開発ラボや製造工場を持たない美容師や美容サロンがオリジナル化粧品作る場合、化粧品OEMの利用がオススメです。
化粧品OEMを利用してオリジナル化粧品を開発する主な流れは以下となります。
- 理想とする商品像やコンセプト、販売計画を立てる。
- サンプル依頼書を作成する。
- 化粧品OEMにサンプル依頼を行う。
- 化粧品の容器を決定する。
- 安定性試験を実施する。
- 製造を行う。
- 品質検査後、商品が納品される。
一連の流れを書くとすぐにも出来そうに見えますが、開発着手から発売までは大まかに約1年程度かかることがあります。さらに、化粧品OEMによっては希望のロット数に対応できない企業もあるため、販売計画を立てた段階で化粧品OEMにロット数の相談をすることをオススメします。
また、どの様な化粧品OEMがあるか分からない場合や、どの様な化粧品が開発できるか具体的なイメージが湧かないという場合は化粧品開発展などの展示会へ参加して情報収集を行うことをオススメします。
化粧品展示会は年に数回、東京や大阪などで開催されており、国内外の化粧品OEMや原料メーカーが自社の開発品や取扱商品を展示しており、実際の商品に触れたりその場で商談を行うことができます。
化粧品OEMを利用した化粧品開発や化粧品展示会については、他の記事で詳しくまとめてますので、宜しければそちらもご参考ください。
美容師や美容サロンの化粧品広告における注意点
最後に、美容師や美容サロンが化粧品を開発し、広告を行う際に注意しなければならない点について簡単にご説明致します。
「医薬品医療機器等法(薬機法)」を基に制定された「医薬品等適正広告基準」においては以下の様に記されています。
- 医薬関係者等の推せん 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。 ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。
引用元:医薬品等適正広告基準
つまり、理容師や美容師の資格を持つ方がオリジナル化粧品を開発して広告を行う際、その商品の効能効果に対して、「オススメです」や「私も使ってます」などの推薦やそれに準じる広告をしてはならないということになります。
オリジナル化粧品が出来上がるとSNSやブログなどでその良さをアピールしたくなるかもしれませんが、その気持ちはグッと抑え、「私が開発しました」のみで留めるなど、推薦にならない表現にするよう心がけましょう。
まとめ
今回は美容師や美容サロンのオリジナル化粧品の開発についてご説明させていただきました。
美容サロンはお客様との距離も近く、好みや志向も把握できるため、サロンに来るお客様のニーズに沿った商品開発ができるメリットがあると考えられます。
ご自身が従事する美容サロンで、オリジナル化粧品の開発をご検討されている方は、是非この記事を参考にしてみてください。