メーキャップ化粧品のメイクによる効果の表現はどこまで可能かご存知ですか?
実は色彩効果や物理的な効果の範囲内であることが明確なら、かなり広く表現できるのです。 だからといって何でも許されるわけではなく、薬機法によって可・不可の明確な線引きがされていますから、行き過ぎた表現にならないように注意が必要です。
この記事では、メーキャップ化粧品の広告における効果の表現について解説します。
メーキャップ化粧品とは
「メーキャップ化粧品」の範囲は薬機法で定められていて、さらに細かくガイドラインが設けられています。
薬機法第2条第3項で規定する化粧品の定義のうち「容貌を変える効果を主目的として使用される化粧品」であって、以下に適合するものとする。 「ファンデーション類」、「白粉打粉類」、「口紅類」、「眉目頬化粧品類」及び「爪化粧品類」のいずれかに属するものであって色彩効果を有する化粧品(タルカムパウダー、リップクリーム等の色彩効果を有さない製品は除外する)。
メーキャップ化粧品は、「色彩効果」によって「容貌を変える効果を目的とする」ものでなければなりません。 種類も決められていて
- ファンデーションや白粉(おしろい)といったベースメイク
- 口紅やリップグロス、アイメイク用品やチークといったポイントメイク
- マニキュアなどのネイルメイク
のいずれかに使用する化粧品でなければなりません。 同じように唇に塗る化粧品でも、顔料を配合して唇の色を変化させるリップクリームは「口紅類」でメーキャップ化粧品となり、保湿を目的とした無色のリップクリームは基礎化粧品といった具合に分かれます。
メーキャップ効果とは
化粧品によるメーキャップ効果にも決まりがあり、この範囲を逸脱した効果を謳うことはできません。
メーキャップ効果の範囲
本ガイドラインにおける「メーキャップ効果」は、原則として「メーキャップ化粧品」による色彩的な効果とする。
ここでのポイントは、メーキャップ効果は、あくまで化粧品の色彩による効果であるということです。 ファンデーションの場合、「含まれる保湿成分の効果で肌の印象が明るくなった」というのはメーキャップ効果と認められません。 「含有される色素やパウダーによって肌色が明るくなった」場合のみ、メーキャップ効果と認められます。
メーキャップ化粧品以外のメーキャップ効果
メーキャップ化粧品以外の基礎化粧品等による「色彩効果以外の物理的なメーキャップ効果」は、「客観的に事実」であり、化粧品の定義の範囲を逸脱しない場合に限り認められます。
色彩効果以外の物理的なメーキャップ効果の例
- まぶたを糊のようなもので貼り合わせ一時的に二重まぶたを形成する
- 美容液の皮膜形成成分が乾燥過程で収縮し、容貌を変える
こうした化粧品は肌のごわつきや突っ張り感を伴うことがあるので、「つけてないような」「エアリー」といった使い心地をあわせて表現すると、虚偽広告と判断されかねないので、併記する文言に注意しましょう。
広告表現のポイント
守らなければいけない広告表現に関するポイントは3つあります。
ポイント1 事実でなければいけない
標榜する効果が事実であることを証明する合理的な根拠が必要です。使用感などは、官能検査によるデータなどの根拠資料を収集・保管しておきましょう。
ポイント2 過大な効果はNG
メーキャップ化粧品は基礎化粧品ほど表現の規制が厳しくないですが、不可となる表現は同様に存在します。
- 隠す、なくなる、確実などの効果の「保証表現」
- 最強、究極、完全などの「最大級表現」
- 改善する・治るなどの治療的・回復表現
特に注意したいのは、保証表現です。 「なくす・隠す・消す」ではなく、「目立たなくする、カバーする」に変えましょう。
ポイント3 一時的な効果であること
メークによる物理的効果であること、一時的なものであること(洗顔すると効果がなくなる)などを明確に消費者に伝えることが必要です。
メイク前後写真の注意点
広告は、テキストだけでなく音声や図解、写真や動画も含まれます。文言に注意を払っても写真の加工で違反になることもあります。 ガイドラインでは以下のように定められています。
メーキャップ効果における使用前・後の図面、写真等 使用前・後の図面、写真等については、メーキャップ効果等の物理的効果を表現する場合には使用することができるが、事実の範囲であって効果又は安全性の保証表現とならないようにすること。
過去にはメイク後の肌の状態がメーク前に比べて綺麗すぎて、どうみてもメーキャップ効果だけではないと消費者からのクレームが発生し、改善命令を受けた事例も存在します。 メーキャップ効果をわかりやすく示すのに、よく使われる「メイク前・メイク後」の写真ですが、こちらも良く見せようと過剰な加工をしないようにしましょう。
メーキャップ効果の具体例
メーキャップ化粧品の訴求の幅は広く、メーキャップ効果であることを明記すれば、基礎化粧品では使用できない表現も可能です。
美白効果・肌色改善
メーキャップ効果により、肌を白く見せる旨が明確に記載されている場合は、美白効果をうたうことができます。 基礎化粧品では使えない「肌を明るく」「トーンアップ」といった表現も、メーキャップ効果であることを前提にすれば表現できます。 ただし、「メイクを続けていると肌が徐々に白くなる」といった表現は、メーキャップ化粧品の効果として不適切ですから、暗示的な表現でも不可になります。注意しましょう。 基礎化粧品では使えない場合もある「透明感」もメーキャップ効果としてなら使用可能です。こちらも、「メイクを続けることにより肌の透明感が増す」ような表現はしてはいけません。
シミ・ソバカス、ニキビ
ファンデーションでシミ・ソバカスを覆い隠し、目立たなくすることは事実ですので表現可能ですが、「目立たなくする」「カバーする」といった表現にしましょう。 完璧に見えなくなるかのような記述や「消える・なくす」といった表現は誇大広告となるので禁止されています。 ニキビやニキビ跡についても同様です。メイクによって一時的に覆い隠しているだけですので、ニキビやニキビ跡がなくなったりするような表現は違反になります。
シワ改善・エイジングケア
メークによる物理的効果によってシワが伸びることが事実であり、根拠データを保持していれば、シワ解消、エイジングケアの表現も可能になります。 メークによってシワを伸ばし続けた結果、シワが伸びた状態がメーク後も維持されるようになっても「使っているうちに本当にシワが薄くなる」という表現はできません。 いわゆる「若見え効果」もうたえますが、「若返る」という表現は誤解を招きやすい表現なので使用に注意が必要です。 「メーキャップ効果で見かけが若々しくなる」ことだけが事実ですので、印象表現にとどめましょう。
「小顔」などの容貌変化
メーキャップ効果等の物理的効果としてなら「小顔に見える」もOKです。 注意したいのは「小顔になる」だとNGになることです。メークしても顔の大きさは変わらないので虚偽広告になってしまいます。その他にも、糊で二重まぶたをつくるものも「一重まぶたを二重にする」と表現できます。
まとめ
メーキャップ化粧品は、「メーキャップ効果によるもの」で「印象的な変化であること」を満たしていれば、基礎化粧品と比べて自由な表現が可能です。 しかし、薬機法の規制を受けていることに変わりはありません。
この記事を参考にして、正しい広告表現をしましょう。