健康食品を製造販売する上で、商品の特徴や効果を最大限お客様へアピールすることは、非常に重要な要素になります。
一方で、表示した内容が、思わぬ法律の規制を受ける場合もあります。 健康食品の広告における注意点を法律に照らしわせて、詳しく解説していきます。
健康食品の定義とは?
そもそも健康食品とは、一体何を示す物なのでしょうか。 私達が、口から摂取する物の内、医薬品や医薬部外品以外は、すべて食品に該当し、その中に健康食品と呼ばれているものがあります。
健康食品は、多くの方が、普段何気なく利用しており、コンビニなどでも取り扱う身近なものとなりました。青汁や健康茶など、CMなどでも盛んに取り上げげられています。 その健康食品の市場規模は、1兆円規模と言われており、国民の関心や需要が非常に高い分野だと言えるでしょう。
健康食品は、保健機能食品といわゆる健康食品に分けられます。
まず、保健機能食品は、以下の3つに分類されます。
- 特定保健用食品(トクホ):有効性や安全性の試験を実施し、国(消費者庁)の許可を受けた食品。
- 栄養機能食品:一定の栄養成分を含み、栄養成分の機能を表示した食品(自己認証制度)。
- 機能性表示食品:事業者の責任でパッケージに機能性を表示したものとして消費者庁に届け出た食品。
これらは、保健機能食品と呼ばれ、認められた範囲で、効能効果の標榜や許可された保健機能についての表示が可能となります。
次に、その機能とは具体的に何かを解説します。 3次機能(生体調整機能)と呼ばれるもので
- 生体防御
- 体調リズムの調整
- 老化制御
- 疾患の防止
- 疾病の回復調整など生体の生理機能を調整する機能
これらが一般的に機能性表示とよばれている機能になります。
上記以外の、いわゆる健康食品とは、国が保健効果や健康効果を許可していない、一般食品を指します。
注意すべき法律
自社の健康食品の特徴をいかにして消費者に響く広告で表現するか。販売上非常に重要な要素となります。 一方、その表現内容によっては、法律の規制を受ける事もあり、配慮する必要があります。
健康食品の広告表現において、行政による処分や指摘は増えており、法律面を無視した広告を継続することは、危険だといえるでしょう。 開発した商品の効果や特徴を消費者に適切に広告、表示する為には、注意すべき法律を確認する必要があるでしょう。
薬機法
健康食品の広告に注意すべき法律の一つに薬機法があります。 正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、医薬品や医療機器について定めた法律です。 管轄は、厚生労働省、都道府県庁、警察となります。
まず、基本的に健康食品であるにも関わらず、使用者に医薬品と誤認させる様な効能効果を表示している場合は、薬機法違反となります。 具体的に医薬品的な効果効能とは、以下の様な内容です。
- 医薬品的な効能効果の暗示
- 疾病の治療または、予防を目的とする効果
- 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果
「症状が良くなる、症状が改善する」などの表現や、疲労回復、食欲回復、アンチエイジング配合、脂肪分解の亢進などの表現も規制の対象です。 また、医師の言葉を用いて医薬品的な効能や効果を暗示する様な広告もそれぞれ該当します。罰則として行政指導や刑事処罰が対象となります。
景品表示法
薬機法と並び景品表示法上の行政処分にも注意が必要です。 景品表示法の管轄は、消費者庁と都道府県庁となり商品、サービスの価格や販売条件についての虚偽や誇大広告が規制の対象となります。 商品の品質や規格、その他成分の内容においても、本来の特徴よりも著しく優良であると示すことなどが、優良誤認表示として禁止されています。
例えば「史上最大の便秘改善」などの消費者が、他の商品と比べ最も効果を最大限発揮すると誤認する様な表現は、効き目には個人差があり、効果を発揮する体質と発揮しない可能性を秘めている以上、このような表現は、規制の対象となります。 また、「飲むだけで便秘が解消する」などの表現も同様に、効果を発揮する根拠を示すことは、一般的に困難である可能性が高いです。
一方良く目にする、何個限定などの個数の限定数を虚偽表現することも規制の対象となるので注意が必要です。
罰則として行政指導や措置命令が上げられます。
健康増進法
健康増進法は、国民の健康を増進することを目的としています。 健康食品の表示から、重大な疾患が治る様な表現がなされていた場合に、本来治療すべき疾患を抱えた消費者に対し、不適切な表現により、病気が治ると誤認させてしまい、治療の機会を奪うこととなり、症状を悪化させてしまう可能性があるのです。
誤った広告や表示が原因で患者の治療の機会が損なうことは許されることではありませんので規制の対象となります。 これらの観点から、症状を治す等の表現は、不適切だと言えるでしょう。
このように、健康食品における広告の規制において、法律上注意を払う必要がある3つの法律の違いを保健機能食品別に把握することが必要となります。
次に、広告における法律と各保健機能食品について見ていきます。
保健機能食品別に見る広告規制
保健機能食品は、それぞれにもつ、特徴や機能性について表示することが可能です。 保険機能食品は3つに分類され、以下のように異なる特徴を持ちますので、広告における留意点もそれぞれの特徴を踏まえた上で判断する必要があります。
特定機能食品
いわゆる「トクホ」と呼ばれるもので広く一般に広まっています。 これは、表示されている効果や安全性において、国が審査を行うことに加えて、消費者庁が表示を許可しています。
つまり、健康の維持増進に役立つことが国で認められた、科学的根拠に基づく効果を表示することが許可されている健康食品となりますので、許可された表示内容を表示することは、認められます。
一方で、許可を受けた表示内容を超える効果を広告したり表示することは、当然できません。 あくまでも、許可された範囲内での広告に留める必要があります。
特定の症状を抑えるのを助けると許可された商品に対し、症状を抑えると表示することは虚偽誇大表示に該当する可能性があります。 また、本来医師や歯科医師の診断、治療が必要である症状において、治療せずに改善するかのような表示も認められません。
栄養機能食品
すでに科学的根拠が確認されている成分を一定の基準以上含む食品であれば、国に届けを行わなくても国が定めた表現であれば、機能性を表示できる分類となります。 国が定める一定の基準に従い当該栄養成分の機能の表示が認めらる一方で、その成分以外の成分や機能を表示することや、基準を満たさない成分等も広告、表示することは、できません。
機能性表示食品
事業者の責任において食品の機能性を表示できる食品です。 例えば、「お腹の調子を整える」などの機能性を科学的根拠に基づいて表示することができます。
ただし、「トクホ」の様に国の審査を受けたもので無くても機能性表示は、届け出た業者の責任においてなされている点に注意が必要です。
届け出た表示と異なる場合には、虚偽誇大表示に該当する恐れがあります。 例えば、「本成分は、血圧を低下させる機能があることが報告されれおります」とあるのに対し、「本成分は、血圧を低下させることができます」という表示に変更された場合は、虚偽誇大表示に該当する恐れがあります。
まとめ
このように、薬機法上、健康食品の製造販売に伴う広告表示には、複数の留意点が存在します。 特に保険機能食品は、分類別にその規制内容を明確にする必要があります。
上記内容を、健康食品の製造販売に、お役立て頂ければ幸いです。