化粧品、健康食品の広告を作成する際、頭を悩ますのが薬機法の存在です。
魅力をストレートに広告したいと考えますが、薬機法上NGな表現が多いのが事実。 担当者は、あれこれ言い換えを行い、試行錯誤されていることでしょうが「オノマトペ」の存在をご存知でしょうか。
上手にオノマトペを利用することで、広告の表現力が上がり、顧客の購買欲を高めることが期待できます。
オノマトペ・擬音とは?
オノマトペとは、物事の状態を表す際に使用される擬態語や擬音語、人や動物の発する声を表した擬声語の3つに分類されます。文章上、形容詞としてだけでなく、時には名詞や動詞としても使われることがあります。
美容系であれば、つやつや、つるつる、ぴかぴか、などのオノマトペを使用すると消費者がこの商品を使用した時の身体への効果を想像しやすいのではないでしょうか。
オノマトペと薬機法の関係
オノマトペを使用することで、薬機法規制対策として、効能や効果に触れずに商品の特長を表現でき、消費者がイメージできそうですよね。薬機法の広告規制に該当する商品の広告には是非とも活用したい手法のひとつですが、まずは薬機法について見ていきましょう。
薬機法とは
まず、薬機法について簡単にご説明したいと思います。
薬機法は、2014年(平成26年)11月に従来の薬事法の改正と共に名称変更し施行された法律です。 正式名称を、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品における、品質や有効性、安全性を確保することなどにより、保健衛生の向上を図ることを目的としています。
薬機法における広告規制
薬機法においては化粧品等の広告も規制対象となります。 広告とは下記の3要件を満たすものが該当するため、要件を満たしていれば広告を意図していない場合でも規制の対象になるため注意が必要です。
顧客を誘引する(顧客の購入意欲をさせる)意図が明確であること 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること 一般人が認知できる状態であること
薬機法における広告規制は薬機法第66条として下記の様に定められています。
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。 3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
つまり、化粧品の広告においては虚偽や誇大な表現、効能効果の保証表現などをしてはいけないとされています。 上記の薬機法第66条の規定は、同規定を更に細かく具体化させた「医薬品等適正広告基準」の内容も対象となるため、規制される内容は多岐に渡ります。 さらに、「何人も」という記載があることから、広告主である販売元だけでなく、広告代理店やアフィリエイトサイト、SNSなど幅広く対象となるため、広告作成を行う際は十分に注意する必要があります。
広告にオノマトペを使うことで訴求力が上がる
薬機法の中身を深く知れば知る程、化粧品や健康食品の効能効果を効果的に表現するハードルの高さを感じます。医薬品ではない為、基本的には一切効能効果を謳うことはできませんので、法を遵守することで、商品の良さが消費者にうまく伝わらないという問題が出てきます。
「顔のシミ・シワを消して、白く透明なお肌へ生まれ変わる、本格美白美容液」
もしこのように表現できれば、シミ・シワに悩む消費者には、ストレートにその効果効能が伝わりますよね。化粧品として、実際に美白効果があり、シミ・シワの改善ができる場合、素直にその効果を広告で謳いたい。
しかし、残念ながら上記表現は薬機法上NGとなってしまいます。 身体の部位を直接表現して、医薬品を思わせる効果は、認められません。
「透明感あふれる、ぴかぴかの肌へ導く美容液」
この表現に直すことで、薬機法の規制を受けることはありません。この「ぴかぴか」の表現にポイントがあり、いわゆるオノマトペを使った広告で薬機法を回避し、効果を訴求することができるかもしれません。
上手にオノマトペを利用することで、化粧品や健康食品の広告の表現力が上がり、消費者の購買欲を高めることができます。
「つるつる」「ふっくら」「ピーン」なども様々な化粧品のキャッチコピーで目にすることが多いと思います。 薬機法を回避する為、担当者は様々な表現を探りながら、このオノマトペを最大限活用しています。
まとめ
2021年8月には課徴金制度を導入した改正薬機法が施行されたばかりで、今後、化粧品や健康食品等を扱う広告主や広告業関係者に対する規制の目は、より一層厳しさを増していくでしょう。
特に薬機法に関しては、法律に対する理解が進まず、商品の魅力を最大限表現したはずが思わぬ法律違反となってしまうケースも考えられ、知らなかったでは済まされない現実がそこにあります。
しかし、これらの規制内容を適切に把握し、広告にオノマトペを使うことで商品本来の魅力や効果を可能な限り表現する事が可能になります。 オノマトペや擬音から、消費者が商品の効果を想像する効果も生み出し、擬音語が商品の訴求力も上げることも期待できるでしょう。