化粧品を購入するとき、広告を見て決めるという人も多いのではないでしょうか。
何が広告に該当するのかは「広告の3要件」によって判断され、この基準を満たすことで広告と判断されます。
また、化粧品の広告は薬機法によって禁止されている表現方法など、定められた基準によって不正な広告とされているものがあり、注意が必要です。 そのため、広告を使用する企業やマスメディアには広告審査が行われる仕組みが働いています。 一般の購入者が医薬品を安全に購入し、使用するために、医薬品の広告が適正な使用に関わるルールがいくつも定められているのです。
化粧品の広告制作には薬機法で定められた範囲の表現方法の適切な使用が必要なので、しっかりと理解しておきましょう。
広告と判断される要件
広告とは、どんなものを指すのでしょうか? 薬機法における広告は、定められた3つの要件を満たす必要があり、これらは「広告の3要件」と呼ばれています。
- 顧客の購買意欲を上げる意図が明確であること
- 特定の医薬品の商品名(商品そのものの名前)が明らかにされていること
- 一般人が認知できる状態であること
これら全ての要件を満たすものが広告と判断されます。
広告にあたるもの
広告には次のようなものが当てはまります。
- マスメディアの媒体
- テレビ
- ラジオ
- 新聞
- 雑誌
- 薬局・ドラッグストアのPOP(購買時点広告:Point Of Purchaseの略)類
- ポスター
- ステッカー
- ディスプレイ
- パンフレット
- ダイレクトメール
化粧品の広告で禁止されている表現
化粧品の広告は薬機法により「誇大広告」、「承認前の医薬品の広告」が禁止されています。 この規定に違反すると、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が課されます。
また、こうした広告の規制の対象となるのは広告の依頼主だけでなく、広告に関する全ての人が当てはまります。 そのため、企業がマスメディアを通じて商品の宣伝を行うときは、業界だけでなく、広告媒体マスメディアの各団体によるそれぞれの自主的な広告審査が行われているのです。
医薬品の広告に不適切な表現
医薬品の広告については、薬機法の規制の他にも、「医薬品等適正広告基準」により不正な広告とされる表現が定められています。 この基準により、不正な広告とされる表現方法には大きく分けて「事実に反する認識を得る恐れのある広告」と「過度の消費や乱用を助長する恐れのある広告」があります。
事実に反する認識を得る恐れのある広告
医薬品の販売企業や製造企業は、その医薬品の内容について承認を受ける必要があります。 承認された内容を超えた効能効果が表現されている広告は、その医薬品について、購入者に誤った認識を与える可能性があるとして、不適切な広告とみなされます。
医薬品の販売企業や製造企業が受けている承認と広告の内容が違っている場合についても、購入者に誤った認識を与える可能性があるため、不適切な広告とされています。
市販の医薬品(一般用医薬品)は医療機関を受診する程ではない体調不良や病気の初期段階で使用されることを目的としています。そのため、医師による診断や治療の必要がある病気(がん、糖尿病、心臓病など)がその医薬品を使うことで治すことが可能と受け取られる表現は認められていません。
医薬品の広告によって、その医薬品が「確実に効く」といった表現方法は、それが直接的な内容か、暗示するような内容なのかに関わらず、購入者に誤った認識を与える可能性があるため、不適切な広告とされています。
医薬品の使用前、使用後に関わらず、図面や写真を掲載しているような広告表現は認められていません。
漢方薬は使用する人の体質を限定している場合が多くあります。その上で、特定の症状についての改善を目的として、効能効果に一定の前提条件が設けられています。 これは「しばり表現」と呼ばれているもので、しばり表現を省いた表現は原則として認められていません。
漢方製剤の効能効果は、配合されている個々の生薬成分の相互作用によるものがほとんどです。 そのため、漢方製剤を構成している生薬の作用を個別に挙げて説明した広告は適切なものではないとされています。
過度の消費や乱用を助長する恐れのある広告
医薬品の商品名を連呼するような音声広告は、購入者に必要以上にその医薬品の購入・消費を促す可能性あるため、不適切な広告とされています。
医療の知識に乏しい一般の人の不安を煽り、購入を促すような広告表現は、その医薬品が不必要な人にまで購入を促す可能性があるとされ、不適切な広告と判断されます。
「天然成分が配合されているため、いくら飲んでも副作用が無い」など、事実に反する表現はその医薬品の過度な購入や乱用を助長する恐れがあるため、不適切な広告とされています。また、この表現は先に説明した「誇大広告」にも該当します。
医師や医療関係者、公的機関などが推奨や公認しているといった表現方法は、一般の人たちがその医薬品をイメージする時に大きく影響すると考えられます。そのため、こうした表現は仮に事実であったとしても、原則として不適切な広告とされています。
医薬品広告の苦情や相談をしたい時は
購入した医薬品の広告や販売に問題が見つかった場合、消費者は公的機関や民間団体の苦情相談窓口に苦情や相談をすることができます。 苦情相談窓口には、それぞれの次のようなものがあります。
公的機関
- 保健所
- 薬事監視事務所
- 行政庁の薬務主管課
民間団体
- (独)国民生活センター
- 各地区の消費生活センター
- 消費者団体
苦情相談窓口寄せられた内容が、その医薬品の広告や販売が薬機法の違反や広告の基準に反していると判断された場合は、立入検査などによって事実関係を確認します。 その上で、問題とされた薬局やドラッグストア、医薬品の販売業者に対して必要な指導や処分を行っています。
また、医薬品の販売業界団体でも、市販の医薬品(一般用医薬品)の販売や広告についての苦情や相談の受付窓口が設置されています。
このように、医薬品を販売する業界にも、自主的に問題のある広告を無くすための取り組みが存在しています。
まとめ
医薬品を購入するとき、医薬品の広告は大きな判断材料となっています。
しかし、医薬品は人の健康や生命に影響を及ぼす製品であるため、不適切な使用や過度の消費を防ぐ必要があります。 そのため、医薬品を正しく購入して使うためには正確な情報が必要になります。
医薬品の広告の内容や表現方法により、効能効果や安全性について誤った認識を持ってしまうのは非常に危険なことです。こういった理由により、医薬品の広告には節度ある内容が求められているのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。