一般的に消費されている食品ですが、その表示内容において法律上様々なルールが存在します。
特に健康食品に関しては、3つの種類に分けられ、それぞれに規制内容が異なります。 その法律である、食品表示法に照らし合わせて、詳しく解説していきます。
食品表示法とは
普段、私達の身近で販売されている食品には、様々な情報が表示がされており、賞味期限、栄養成分、アレルギー成分など、食品を買う際に必要となる情報が示されています。 各消費者も、自身の体調や体質を考慮して、食品を選択しているはずです。
そんな食品表示ですが、これまで衛生上の危害発生防止に関わる食品衛生法、日本農林規格等に関する法律JAS法、国民の健康増進に関わる健康増進法の3法によって規定されてきました。
食品表示は、消費者にとって食の安全性や成分に関する情報を与える重要な役割を持つ反面、法律が3法に渡る複雑なものとなっていました。 消費者が食品を選ぶ際に、どのような基準で食品を選択しているかを考えた際に、食品表示に関わる役割は大きく、その表示においてもわかりやすさや選びやすさが非常に重要になります。
このような背景のもと、事業者にも消費者にも分かりやすい表示を目指した具体的な表示ルールとして内閣府にて、平成25年6月に公布され、平成27年4月1日これら3法を一つにまとめる食品表示法が施行され法律が一元化されました。
食品表示法の4つのポイント
アレルギー表示ルールの改善
原則、個別の表示になり、分かりやすくなりました。中でも表示義務のある特定材料7品目が重要となり、患者数が多くいる乳製品、卵、小麦、えび、かに、症状が重いとされる、そば、落花生において表示が義務化されました。
新たな機能性表示食品制度
食品の中で健康の維持増進に関する表示ができるものは、3つあります。
- 特定保健用食品(トクホ):有効性や安全性の試験を実施し、国(消費者庁)の許可を受けた食品。
- 栄養機能食品:一定の栄養成分を含み、栄養成分の機能を表示した食品(自己認証制度)。
- 機能性表示食品:事業者の責任のもとパッケージに機能性を表示したものとして消費者庁に届け出た食品。
機能性表示食品は、消費者庁に許可を得たものではないという点に注意が必要です。 体調の悪い人を対象にした食品では、ありませんので、摂取方法にも注意が必要となります。過剰に摂取すると体に悪影響がある可能性があるので、摂取目安量は、規定を順守することが大切です。
表示レイアウトの改善
安全性に関する表示事項においても、省略できないルールが制定されました。食品のパッケージが小さな食品にも、以下の表示事項は省略できません。
- 名称
- 保存方法
- 消費期限または賞味期限
- 責任表示者
- アレルゲン
また、原材料名や添加物の区分においても明確に表示する必要があります。
栄養成分表示の義務化
栄養成分においても表示が義務化された成分があります。
- エネルギー
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- ナトリウム
一方で、任意とされた成分として以下があげられます。
- 飽和脂肪酸
- 食物繊維
- 糖類
- 糖質
- コレステロール
- ビタミン
- ミネラル類
食品表示法施行の目的とは
食品表示は、消費者が食品を選ぶ際に、表示された情報を正しく理解し、選択でき、且つ、適正に使用することができる、重要な情報源です。 消費者が、自身の体に合った適切な選択ができることで食の安全を確保しています。加えて、消費者自らが食品を通じて栄養管理や健康増進を図る上でも重要な情報となります。
また、食品関連業者においても、食品表示基準に従って表示を行うことが義務化されており、この表示基準に違反した際には、罰則を受ける可能性もあります。
健康食品に関する基礎知識と表示方法の解説
健康食品は、多くの方が普段何気なく利用しており、コンビニなどでも取り扱う身近なものとなりました。 青汁や健康茶など、CMなどでも盛んに取り上げげられています。その健康食品の市場規模は、1兆円規模と言われており、国民の関心や需要が非常に高い分野だと言えるでしょう。
消費者は、健康食品に関する正しい知識と情報を理解した上で適切に選択できることが重要と言えます。
健康食品と食品表示法について
保健機能食品の中で特定機能食品は、いわゆる「トクホ」と呼ばれるもので広く一般に広まっています。 これは、表示されている効果や安全性において、国が審査を行うことに加えて、消費者庁が表示を許可しています。 つまり、健康の維持増進に役立つことが国で認められた、科学的根拠に基づく効果を表示することが許可されている健康食品となります。
栄養機能食品は、すでに科学的根拠が確認されている成分を一定の基準以上含む食品であれば、国に届けを行わなくても国が定めた表現であれば、機能性を表示できる分類となります。 例えば、ビタミンやミネラルなどが代表的な成分として上げられます。
機能性表示食品は、事業者の責任において食品の機能性を表示できる食品です。 例えば、「お腹の調子を整える」などの機能性を科学的根拠に基づいて表示することができます。 ただし、「トクホ」の様に国の審査を受けたもので無くても機能性表示は、届け出た業者の責任においてなされている点に注意が必要です。
このように、健康食品を販売する上で、保健機能食品と栄養機能食品、食品表示法で定められた機能表示食品の表示における概要は、上記の様に異なります。
食品表示法と健康食品の関係については、機能性食品制度が大きく関連しています。 機能性を表示した食品の注意点については、以下のとおりです。
- 機能性を表示した食品、つまりは、病気の治療や予防が目的ではありません。
- 過剰に摂取すれば体に悪い影響がある可能性があります。
- 1日の摂取目安量など、使い方を守って使用しましょう。
- 体調に異変を感じたらすぐに使用を中止し、医師に相談しましょう。
では、具体的に機能性表示の一例を見ていきましょう。
- 肌の調子を整える。
- 肌の潤いを保つ
- 肌の保湿力やバリア機能を高める
- 皮膚の水分量を高める
- 気温や室内温度が低いときなどの健やかな血流を保ち体温を維持する
- 抹消血流を保ち冬の寒さや夏の冷房など室内温度が低い時の抹消体温を保つ
- 速やかに深睡眠をもたらし、睡眠の質の向上に役立つ
- 就寝、起床リズムを整えることにより、睡眠の質を高めることで健康維持をサポート
上記のように肌の健康や血流の改善、睡眠サポートに関連した商品も機能性表示食品に含まれます。 これらの科学的根拠のある素材が機能性表示をすることにより、食品市場に貢献する可能性があります。
まとめ
健康食品を販売する上で、機能性表示食品の表示には、特に注意が必要ですが、開発費用の大幅な削減が可能となり、中小規模メーカーにとっても利点は、多いと言えます。 また、消費者にとっても、様々な機能を持った食品を活用することで、より体質管理、栄養管理が可能となります。