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化粧品 健康食品 工場 人手不足

化粧品・健康食品工場における人手不足の対策方法とは

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工場責任者が必ず直面する「人手不足」の課題が挙げられます。新たに従業員を採用しても数週間も経てば辞めていってしまいます。人材が辞めてしまうので、再教育をしなければならない状況に頭を抱える企業経営者の悩みは全国的な課題です。化粧品業界や健康食品の販売員は、淡々とした単純作業の辛さや給料への不満など様々な退職要因がありますが、「取って代わられる仕事」という認識もあり最初から短期で辞めるつもりで入社する労働者も多いことは事実です。企業を存続するために、これらの課題をどう捉え解決していくことが良いのか。

今回は、市場が上向きになっているにも関わらず慢性的な人手不足に悩む化粧品・健康食品工場をテーマに据えて、根本要因および解決へのカギを握る産業ロボットを活用した対策について解説していきます。

工場労働における人手不足の要因とは?

「離職率を下げて、一人でも多くの従業員に定着してほしい」と願っても、現実はそのようになりません。始めやすい仕事だからこそ、人の入れ替わりが激しい現状が存在しています。生産性が低い状態のまま、単なる労働力の補強として採用しても、将来的に同じ問題を繰り返しかねません。化粧品・健康食品向上の人材不足について市場動向を踏まえたうえで、人手不足になってしまう要因を並べます。

健康食品の市場動向

新型コロナウイルスの影響で消費者の生活形態が変化したことにより、オフラインでの需要が大幅に増加しました。ネットを駆使した通信販売を活用して、コストを削減しつつ販売率を向上させた企業が多く見られるようになりました。少子高齢化といった社会的背景による人口構成の変動で、定年の延長や高齢者の労働を受け入れる企業も増加。アンチエイジング対策や健康寿命の向上に対する意識も年々上昇しています。

また、30〜50代といった現役世代にとっては、食生活の変化による生活習慣病への対策、若者世代にとってはボディメイキング、美容意識へのアンテナが高まりを見せており、巣ごもり需要もあってか、とりわけダイエット関連の健康商品に関しては消費の勢いが大幅に増加しました。

化粧品の市場動向

男女雇用機会の均等化や働き方改革が進んだことにより性別に関わらず、男女が同じ現場や同じ会社で働くようになりました。匂いやスキンケアといったエチケットに気を遣う男性も増加し、「化粧品といえば女性」というイメージが徐々に崩れてきました。社会構造の変化により、男性市場への化粧品業界進出がますます増加しています。また、誰もがSNSに触れられるようになったことで、「インスタ映え」を狙う若者世代も急増しました。

「人によく見られたい」という人間の承認欲求に根ざした購買行動も増加して、高級化粧品への需要が増加しています。コロナ禍も収束の動きを見せつつある現状、今後に大阪万博を控える中でインバウンド増加を見据えた更なる生産増加の動きも見られています。

人材が辞めていく共通要因

化粧品、健康食品業界ともども、社会的変化によって消費者の需要が急増していますが、それらの需要に対応する生産体制は構築されているのか、明確に答えられる現場は少ないのではないでしょうか。高重量の積み込み作業や昇降、作業中は立ちっぱなし、黙々とした作業の連続、季節問わず長袖に長ズボンの作業服、メンテナンスによる汚れといった環境への不満が一番の要因としてあげられています。

当初はやりがいを感じられていても、同じ作業ばかり繰り返すと飽きがくるのは当然の話です。やりがいも感じられず、働く上でのモチベーションが湧いてこない、使命感が義務感にとって変わられるなどの現状があります。また、時間交代制による勤務形態の問題も主な要因としてあがっています。一般的な労働者が眠っている間に、夜勤帯で働く必要があることや、急なシフト対応など、「当たり前」とされていることかもしれませんが、慣れない環境でそのような作業が続けば、従業員にとっても徐々に不満がたまっていくのは仕方の無い話なのかもしれません。

体力がある人ならば楽々と対応できてしまうのかもしれませんが、初めてこのような仕事に携わる人であればなおさら、体力面で限界を感じてしまい、後悔してしまうといった現状があります。加えて人間関係や評価面での課題もあります。人間関係を構築することに苦手意識を抱えた方が志望していることも多いため、担当現場のリーダーの人間性によっては上手く付き合えないといった悩みを人知れず抱えてしまう従業員も多いことは事実です。また、仕事以外で評価されてしまうといった問題もあります。夜勤においては上長が不在、チームでの労働により個々人での生産性は評価されないなど評価しようと思っても製造以外の面でし評価できないといった潜在的な課題に対して、ネガティブに捉えてしまう従業員も存在します。

工場労働の人手不足対策

長期間働いていた熟練作業者らが高齢化により退職したことや、社会的な若手人材不足の状況下で、コロナ禍が追い討ちをかけ、現場での人材補強対応はまさに急務です。

近年、働き方改革やデジタル化推進、IoT導入といった制度改革が進められています。化粧品・健康商品市場における急激な需要増に対応するためには、産業用ロボットの活用は不可欠な一方で、ロボットが代替することに対する懸念点から、中々導入に進まない企業も存在するのが現実です。そこで本章では、導入に対して現場が抱える課題および事例を紹介していきます。

産業ロボット導入への潜在的課題

これまで人手に頼っていた作業をいきなりロボットに任せるとなると、技術上の課題が噴出してきます。健康商品や化粧品製造をすべてAIによる自動判定機能に依存するとなると、表面上の傷は確認できますが、長年の経験から生じる製品への違和感といった、感性を用いた人間ならではの検品作業ができなくなります。

また、健康商品や化粧品製造のどれも、繊細な作業を要求されるため、単純作業の中での集中力は必要不可欠です。そこを産業用ロボットで代用するとなると、人間が行う手作業と同等の力加減、柔らかさなどが必要になってきます。これらの課題解決に向けて見られる事例には、人間の肌触りに似た部品を産業用ロボットの先端に付属することで、高品質なクオリティを保持したままの製造を可能にした企業や、各作業の工程を分割し、産業用ロボットを複数導入することで、従業員を検品作業のみに専念させることに成功した企業もあります。

産業用ロボット導入を実現した事例

化粧品の受託製造を行うある企業です。慢性的な人手不足対策で産業ロボット導入を試みるも、受託先の形状などに適した工程の切替が難しく、さらに少量で多品種といった特徴的な製品のため、従来設備にあわせた商品の修正が困難な状況でした。対応策として、双腕ロボットを導入し人の手で行っていた繊細な動作を真似させることで、従来の設備や1本アームのロボットでは不可能であったビニール袋詰め作業を実現することができました。

数量の入れ間違えといった人的ミスもなくなり効率化に成功しするとともに、3人で行っていた作業が1人で行えるようになり、大幅なコストカット、労力削減も実現しました。また、日本で伝統工芸とされている化粧筆の製造企業では、後継者不足や海外企業の台頭の影響で、大量生産が求められている状況でしたが、工程の中で複雑な作業を必要としない毛先のハリを整えるといった単純部分に焦点を当て複数の産業ロボットで代替しています。その結果、人員スリム化の成功に加え、より少人数で高品質な化粧筆の製造が可能となりました。

(引用:ロボット導入事例ハンドブック)

まとめ

これまで化粧品・健康食品工場の人手不足の課題、対応策とその事例を見てきました。社会構造の変化で、これまで以上に消費者の需要が増加することは目に見えています。導入に成功した企業の多くは、「作業を細分化し、単純作業をいかに複数ロボットで代用できるか」というポイントに注力して成功した事例が多いようです。決断するまでには確かに、時間を要するかもしれません。

しかし、今後さらに少子高齢化が進行すると言われている中で、数十年と人材不足の悩みが続いてしまう可能性を想定すれば、早期に対応するにこしたことはありません。


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