健康食品の輸出に関する規制は国によって様々です。アジアの一大マーケットで有る中国へ輸出を行う場合、どのような手続きを踏めば良いか解説します。
- 輸入禁止・制限品目に注意
- 必要な手続き
1 輸入禁止・制限品目に注意
東日本大震災の福島原発事故の影響によって、次の10都県で製造された健康食品は中国への輸出が停止されています。
《中国への健康食品の輸出できない10都県》
- 宮城県
- 福島県
- 茨城県
- 栃木県
- 群馬県
- 埼玉県
- 千葉県
- 東京都
- 新潟県
- 長野県
10都県以外で製造された健康食品は輸出できますが、政府作成の産地証明書が要求されます。詳細は農林水産省のウェブサイトを確認しましょう。
必要な手続き
中国への健康食品の輸出に必要な手続きは次の3つです。
- 税関総署への届出・登録申請
- 輸入健康食品登録
- 輸入健康食品届出
1 税関総署への届出・登録申請
日本の食品輸出事業者または代行業者は、食品を輸出する前に、中国国家出入国検査検疫機関(税関総署)に届出を行わなければなりません。また、中国に食品を輸出する日本の食品生産企業は、税関総署への登録申請を行う必要があります。
(1)食品輸出事業者または代行事業者
「互联网+海关」を通じて、次の1・2の届出資料を提出します。なお、提出する資料の真実性に責任を負わなければなりません。
- 届出書(企業情報、生産・販売する食品の種類および中国の取引パートナーの情報および誓約書を含む)
- 輸出事業者または代行業者の名称、国または地域、住所、担当者名および電話番号、生産・販売する食品の種類、届出書の記入者情報および電話番号など
(2)食品生産企業
中国に食品を輸出する中国国外の生産・加工・保管企業は、「輸入食品国外生産企業登録管理規定」に沿って登録申請を行います。しかし、すべての企業が登録申請を行う必要があるわけではありません。登録申請を行う必要があるのは「輸入食品国外生産企業登録実施目録」に含まれる商品を取り扱っている企業のみとされています。
登録申請を行う必要がある商品
肉類、水産物、乳・乳製品およびツバメの巣類の製品
健康食品は「輸入食品国外生産企業登録実施目録」の対象外です。(2020.7 JETRO調査時点)
2 輸入健康食品登録
次の2つに該当する健康食品は、中国向けに輸出する前に、中国駐在事務所または中国国内の代理機構を通じて、輸入健康食品の登録申請を行う必要があります。(「健康食品登録・届出管理弁法」第9条から第13条)
届出の必要な製品
- 「健康食品原料目録」に記載されていない物質を原料として使用する健康食品
- 初めて輸入する健康食品(ビタミン、ミネラルなどの栄養素の補給を目的とする健康食品を除く)
※初めて輸入する健康食品→中国以外の国・生産企業・原材料・製法で生産された、中国国内での販売を申請する健康食品のこと。
届出資料
「輸入健康食品登録の届出」には次の1~14の資料が必要です。
- 健康食品届出登記表、および申請書類の真実性に対し法的責任を負うことを表明する誓約書
- 届出人の登記証明性文書の写し(日本企業の場合、現在事項全部証明書など)
- 製品の技術的要求に関する資料
- 許認可を有する検査機構から交付された、製品の技術的要求に合致することを証明できる全項目検査報告書
- 製品の安全性および保健機能を示すその他資料
- 製品の成分に関する資料(原料および副原料の名称および使用量、製法、品質基準。必要に応じて原料の使用根拠、検査合格証明書、鑑定報告書を提出する)。
- 製品の製法に関する資料(生産工程フロー図・説明、生産においての主要ポイント・説明など)
- 安全性および保健機能に関する評価資料(「健康食品原料目録」に記載されていない原料および製品の安全性、保健機能の試験評価資料、使用評価資料、有効成分または代表的な成分、衛生学、安定性、菌種同定、菌種毒性などに関する試験報告、および精神刺激薬、違法薬物成分などの検査報告書)
- 健康食品と直接に接触する包装材の種類、名称、関連指標など
- 製品の表示ラベル、説明書の見本。製品名のうち一般名が、登録済み医薬品の名称と同一のものでないことを証明できる資料
- 製品の生産国の政府主管機関または法律サービス機構が交付した、届出申請人が市販健康食品の生産企業であることを証明する文書
- 製品の生産国の政府主管機関または法律サービス機構が交付した、健康食品が販売1年以上であることを証明する文書、または製品の販売および使用状況に関する安全性報告
- 製品の生産国または国際組織の健康食品と関連する強制規格または基準
- 生産国で販売されている製品の容器・包装、表示ラベル、説明書の実物見本
中国に駐在事務所があり、駐在事務所が輸入健康食品登録の届出手続きを行う場合、「外国企業常駐中国代表機構登記証」とその写しの提供が必要です。また、中国の代理機構に届出手続きを委託する場合、公証認証済みの委任状原本と当該代理機構の営業許可証の写しを提出する必要があります。
3 輸入健康食品届出
次に該当する健康食品について、中国向けに輸出する前に、その生産事業者は、輸入健康食品の届出を行わなければなりません。(「健康食品登録・届出管理弁法」第45条から第49条)
届出の必要な製品
- 「健康食品原料目録」に記載されている物質を原料として使用する健康食品
- 初めて輸入するビタミン、ミネラルなどの栄養素に属する健康食品
初めて輸入するビタミン、ミネラルなどの栄養素に属する健康食品について、その栄養素は「健康食品原料目録」に記載されている物質でなければなりません。
届出資料
- 健康食品届出登記表、および申請書類の真実性に対し法的責任を負うことを表明する誓約書
- 届出人の登記証明性文書の写し(日本の企業の場合は、現在事項全部証明書など)
- 製品の技術的要求に関する資料
- 許認可を有する検査機構から交付された、製品の技術的要求に合致することを証明できる全項目検査報告書
- 製品の安全性および保健機能を示すその他資料
- 製品の成分に関する資料(原料および副原料の名称および使用量、製法、品質基準。必要に応じて原料の使用根拠、検査合格証明書、鑑定報告書を提出する)。
- 製品の製法に関する資料(生産工程フロー図・説明、生産においての主要ポイント・説明など)
- 安全性および保健機能に関する評価資料(「健康食品原料目録」に記載されていない原料および製品の安全性、保健機能の試験評価資料、使用評価資料、有効成分または代表的な成分、衛生学、安定性、菌種同定、菌種毒性などに関する試験報告、および精神刺激薬、違法薬物成分などの検査報告書)
- 健康食品と直接に接触する包装材の種類、名称、関連指標など
- 製品の表示ラベル、説明書の見本。製品名のうち一般名が、登録済み医薬品の名称と同一のものでないことを証明できる資料
- 製品の生産国の政府主管機関または法律サービス機構が交付した、届出申請人が市販健康食品の生産企業であることを証明する文書
- 製品の生産国の政府主管機関または法律サービス機構が交付した、健康食品が販売1年以上であることを証明する文書、または製品の販売および使用状況に関する安全性報告
- 製品の生産国または国際組織の健康食品と関連する強制規格または基準
- 生産国で販売されている製品の容器・包装、表示ラベル、説明書の実物見本
中国に駐在事務所があり、駐在事務所が輸入健康食品登録の届出手続きを行う場合は、「外国企業常駐中国代表機構登記証」とその写しの提供が必要です。また、中国の代理機構に届出手続きを委託する場合、公証認証済みの委任状原本と当該代理機構の営業許可証の写しを提出する必要があります。
事前に用意!輸出に必要な書類
食品は、輸入通関手続き時に、産地証明書等の書類を提出しなければならないため、事前に準備しておく必要があります。商品検査報告書や成分分析報告書のように、中国の法令や各種規定で提出を義務づけられていなくても、実務的に提出が求められている書類もあります。税関によって要求が異なる可能性があるので、輸出前に税関や輸入相手に相談するようにしましょう。
まとめ
今回は中国への健康食品の輸出を一例にまとめましたが、輸出先の国によって揃える書類が違います。
JETRO(ジェトロ)が輸出入実務の無料相談を行っているので、そちらも活用してみましょう。