新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、消費者の健康意識が高まっていることから、健康食品・サプリメントの市場規模も拡大しています。最近のドラッグストアのサプリメントコーナーには、選びきれないほどさまざまな商品が並んでいて、「いったいどの商品がいいんだろう?」と悩んだあげく、目についたパッケージを手に取ったという方も多いのではないでしょうか。
このように健康食品・サプリメントは、内容成分が充実していることはもちろん大事ですが、手に取ってもらえるパッケージ、つまり充填や包装がとても重要であり、売り上げにも大きく関わっていることが知られています。そこで本記事では、健康食品のOEMを検討している方に向けて、充填・包装で気をつけるべきポイントについて説明していきたいと思います。
充填について
充填とは
「充填」とは、内容物を容器に詰めることをいいます。ここで、内容物とは健康食品の製造であれば、ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤、粉末、顆粒、液剤などになります。そして、それぞれの内容物の種類に応じた、ボトル、ビン、袋、缶などの容器に充填されることになります。
さまざまな充填例
ここでは各種容器と充填される内容物の例をご紹介します。
- ボトル充填
対応容器:プラスチックボトル、ビン
対応剤形:ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤、顆粒、粉末
- アルミ袋充填
対応容器:三方ジップ、スタンディング、スタンディングジップ
対応剤形:ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤、顆粒、粉末
- 分包充填
対応容器:三方袋、四方袋、スティック袋
対応剤形:ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤、顆粒、粉末、液体、ゼリー
- PTP充填(内容物をプラスチックとアルミ箔フィルムでシート状に挟んで充填)
対応容器:PTP充填
対応剤形:ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤
- スパウト充填(プラスチック製の注ぎ口を装着したパウチに充填)
対応容器:スパウトパウチ
対応剤形:液体、ゼリー
充填のポイント
内容物の種類により、吸湿性、流動性、容器に充填できる量などの違いがあるため、適切な充填方法や充填条件(温度、湿度)の選択が必要となります。
包装について
包装とは
「包装」とは、日本工業規格(JIS)によって以下のように定義されています。
“物品の輸送,保管,取引,使用などに当たって,その価値及び状態を維持するための適切な材料,容器,それらに物品を収納する作業並びにそれらを施す技術又は施した状態。”
https://www.kikakurui.com/z0/Z0108-2012-01.html
包装の役割
- 品質保持
食品が消費されるまで温度変化や外力など、外部環境の影響による品質変化を防ぐ。
- 流通、販売の利便向上
商品の運びやすさ、収納しやすさ、見分けやすさ、並べやすさなどを高めることで作業効率を上げる。
- 使用時の利便向上
商品の取り出しやすさや保存しやすさなど、消費者にとっての利便性を上げる。
- 情報伝達
中身が何なのかを確認しやすくしたり、商品を魅力的にみせたりして販売を促進する。
環境に対応した包装
持続可能な開発目標(SDGs)や地球温暖化対策への関心が世界的に高まっており、環境に対応した包装の需要が高まっています。環境に対応した包装の一例としてプラスチック製から紙製パッケージへの変更などが挙げられます。このような環境対応した包装を考えるうえで4つの重要なポイントがあります。
- 安い、使いやすい、捨てやすいなどのメリットがわかりやすいこと
- 全体的なコストダウンができていること
- 企業イメージを高められていること
- 従来の包装にくらべて、その機能が同等かそれ以上であること
充填・包装のOEMメーカーを選ぶうえで気をつけるべきポイント
- 関連法規を熟知していること
健康食品の充填・包装に関わる法律は多岐にわたります。
代表的なものとして、食品衛生法、食品表示法、健康増進法、医薬品医療機器等法、景品表示法などが挙げられますが、これ以外にも10個以上の法律がかかわっています。
これらの法律は逐次改正されているため、それを知らずに何かひとつでも法律違反を犯してしまうと、販売停止や製品回収といったトラブルにつながり、企業にとっては大きな損失となり得ます。このような事態を防ぐためにも法律を熟知した担当者によるチェックが必要となるでしょう。
- 衛生管理や品質管理が充実していること
取り扱っている製品が食品なので、作業環境の衛生管理やできあがった製品の品質管理が充実していることは非常に重要です。
「衛生管理を徹底しています」、「品質にはこだわっています」と表記している企業が多くみられますが、これだけでは客観的な判断はできません。
食品安全マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO 22000」を取得していることや、適正な製造管理と品質管理に関する「健康食品GMP」の認証を取得している、衛生管理に関する国際的な手法であるHACCPを導入しているかなどを確認するようにしてください。
- 十分な経験と実績があること
充填・包装のOEMメーカーの経験と実績は非常に重要です。
候補に挙がっているメーカーのホームページなどで、会社の沿革や主要取引先などを確認するようにしましょう。
十分な経験があるメーカーは、さまざまな要求に対して最適な提案をしてくれるはずです。
- 短納期、小ロットに対応してくれること
短納期、小ロットに対応してくれるということは、普段からコスト削減や製造の効率化に努めている優良なメーカーとみなすこともできます。
一般的な納品までの流れ
- 問い合わせ
電話やメール、他企業からの紹介など
- 打ち合わせ
商品コンセプト、内容成分、形状、包装・梱包、予算、納期など
資材・原料の調達やパッケージのデザインなどの相談も
- サンプル試作・検討
打ち合わせにもとづいた商品サンプルの試作
- 見積り
最終的な仕様、ロット数を決定し、商品価格を案内
- 資材受入検査
入庫数量の確認、および外観検査により破損・外傷チェック
- 小分け充填
要望に合わせた充填作業
- 製品化
充填完了後の製品を化粧箱に詰め、賞味期限印字やシュリンクなどを行う
- 検査
菌検査や指示通りの製品かどうかの最終検査
- 発送・納品
依頼主の指示した場所に発送・納品
まとめ
今回は、健康食品のOEMで新規参入を検討している方に向けて、充填・包装で気を付けるポイントについて説明させていただきました。たくさんの充填・包装OEMメーカーがあり、どこにお願いしたらいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。それぞれのメーカーで得意としている充填・包装の対象が異なりますので、今回ご紹介したポイントをご参考にしながら、ご依頼先を決定していただけたらと思います。