あはき法は、昭和22年に制定されました。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律のことです。
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
これらの頭文字からそう呼ばれており、医師以外が施術する場合、それぞれ免許が必要であるというものです。
マッサージは医療行為に類似するため、施術する者は国家資格が必要になります。
サロン広告で気を付けるあはき法
マッサージという言葉はよく使いますが、広告宣伝する場合、国家資格を持つ者しか公言できません。
リンパマッサージ師やセラピストなど、エステサロン等の施術者は民間資格となります。
セラピストは人の健康に害を及ぼすことがないという前提で、法律で規制される職業ではなく、自由業という分類になっています。
- 医師ではないこと
- 治療を行う病院ではないこと
- 医療行為ではないこと
このポイントを忘れないことが重要です。マッサージと謳える者はあん摩マッサージ指圧師の資格者です。
整体やエステサロン等は国家資格は必要ないので、接骨やマッサージと広告することはできません。もみほぐしやボディケア、トリートメント、メンテナンス、リラクゼーションなどの表現が使われていますね。
「〇〇に効く」や「〇〇が改善する」といった治療のような目的で広告することは認められませんので、施術内容と一般の生活者の認知に齟齬がないよう考えましょう。
あはき法の違反事例
マッサージと広告宣伝しているエステサロンで、施術者が無免許で摘発される事例は少なくありません。
電気治療など、医療行為にあたる施術を医師免許がない者が行うことは違反です。利用者が健康被害を訴えた場合、業務上過失傷害の罪を負うことにもなりかねません。
2012年5月に大規模な違反で逮捕された事例を紹介します。
2004年に開店したエステサロンは、脱毛界の神様と呼ばれ、売り上げは10億に上っていました。全国で17店舗展開し、エステサロンの会長とその甥は医師でしたが、光線を使って毛乳頭を破滅する脱毛を施術していたのは医師免許のない従業員でした。東京豊島区の会長の医師、甥にあたる医師、そして従業員6名が逮捕される事件になりました。
ポイントは施術の内容にあります。
医療行為に当たる「毛乳頭を破滅する脱毛」の施術は医師免許を持つ者、または医師の指導のもとで正看護師のみとなります。このように施術者と内容のガイドラインによく注意する必要がありますね。
ではここで、エステサロンの広告表現に関する法律をまとめてみます。
- 医師法
- あはき法
- 薬機法
- 景品表示法
医師法、あはき法に関しては上で述べたように、医療行為にあたる施術は医師、マッサージ等は医師のほかあん摩マッサージ指圧師の国家資格を有する者しか認められないというものです。
薬機法は、サロンで使用する美容機器や化粧品についての広告表現に関わってきます。治療のような医療機器的な表現、効果効能は認められません。
施術の効果としては、化粧品の効果効能の範囲内となります。
サロンで販売する美容機器、化粧品、健康食品の扱いにも注意しましょう。景品表示法は、一般の生活者に合理的な根拠を実証できるかがポイントになってきます。
まず優良誤認表示について
体験談やレビューの内容だとしても、施術のみで効果が出たという表現は誤認になります。広告表現に使用できるものは、客観的に実証されている内容であることを頭に入れておきましょう。
優良誤認の違反事例をみてみます。
平成28年6月、小顔サービスを提供していた事業者に措置命令が出されました。この事業者は独自の小顔矯正法により、1回の施術で顔幅を縮めることや何回も通う必要はなく、アフターケアとして2~3回で固定するなどと表示していました。
1回で小顔になり、それが持続するという広告表現は合理的根拠に基づかないと判断され、消費者庁から勧告を受けました。独自の小顔サービスに関しても注意が必要です。
整体やエステサロンにおいて、骨を動かす、骨格を変える、マッサージなど合理的な根拠が認められない表示をすることは、医師法と景表法(優良誤認)に抵触する可能性があります。施術が医療行為の範囲にあたる内容の場合は、法的な条件を満たす必要がありますので、よく確認しましょう。違反することがないようにしてください。
最後に有利誤認表示について
これは主に価格表現に関することです。
よく目にする二重価格ですが、通常〇〇円や定価〇〇円のところ「今だけ○○%OFF」や「今だけ〇〇円」としている表示には注意です。この表現は、一定期間の販売実績がないと表示可能にはなりません。消費者庁の定める「価格表示ガイドライン」を遵守しましょう。
出典:消費者庁ホームページ
補足ですが、過去の販売価格を比較対照価格とする場合、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とされています。
一般的に最近とは8週間、相当期間とは過半期間を指すので4週間となります。セール開始日から遡ってこの期間の価格を参考にしてください。
「期間限定」キャンペーンを何度も実施したり、延長したりする「期間限定」キャンペーンを期間を書き換えて継続する
こういった表示は違反になりますので気を付けてください。
最後に、返金保証サービスを実施する場合の注意点があります。
「ご満足いただけなければ全額返金」などと広告表示する際は、返金に応じる条件について明記する必要があります。ここでいう満足という表現は、効果効能ではなく使用感のことを指します。
まず、「効果がなければ返金」など医療行為を暗示させる表現でないことを確認します。そして返金対応が、どういった条件のもと実施されるかという内容を必ず掲載してください。無条件で返金されるという誤認につながる場合、有利誤認表示となってしまいます。〇日間以内など、具体的な内容や範囲の情報が必要です。返金保証サービスの表示とかけ離れた位置に掲載したり、小さく見えにくい大きさでの表示も誤認につながる可能性がありますので気を付けましょう。
まとめ
これまで、サロン広告において気を付けたいことについて述べました。
国家資格でなく民間資格で開業される方や、サロンの広告宣伝を行う場合、医師法やあはき法という法律が関わってくることを忘れないでおきましょう。広告としてマッサージと公言することは避けましょう。
また、サロンの施術内容が医療行為、治療にあたると誤認されないように注意しましょう。効果効能については、化粧品の範囲内を参考にしてください。
サロン広告に関わる法律は以下4つあります。
- 医師法
- あはき法
- 薬機法
- 景品表示法
サロンで扱う健康食品、化粧品、美容機器は、医薬品や医療機器と誤認されないように紹介しましょう。他社サービスと差別化するような誇張した表現には注意してください。体験談であっても、合理的根拠が認められる内容でなくてはなりません。
最後に、販売価格は消費者庁の「価格表示ガイドライン」を必ずチェックしてください。
期間限定価格やキャンペーンは、セール開始日以前の8週間のうち、4週間以上販売していた価格が比較対照価格となります。 今だけお得という広告を行う頻度や期間も注意する必要がありますので、開催時期や価格は記録しておきましょう。
返金保証キャンペーンを実施する場合は、返金に応じる具体的な条件もあわせて明記してください。