最近では、多くのエステサロンやクリニックで、痩身目的や筋肉強化を目的としたお客様に、EMSマシンを使用した施術をしています。EMSとは「Electrical Muscle Stimulation」の略です。
電気の刺激を筋肉に加えて鍛えるもので、運動が苦手な方でも気軽に筋肉運動の効果が期待でき、非常に人気があります。
コロナ禍で、家庭用美容機器の需要が高まり、ホームケアとしてEMSの美顔器などを購入する方も増えてきました。インターネット広告などで、EMS美顔器の広告を目にすることも多いことでしょう。
それでは、EMSマシンの広告を作成する場合にはどのような広告表現を使用すれば良いのでしょうか?EMSマシンは薬機法においては、「医療機器」ではなく、「雑貨」にあたります。
そのため、EMSマシンを広告表現する際は、医療機器と誤認されないように表現をする必要があります。
本記事では、EMSマシンとは何か、EMSマシンと薬機法との関連性について解説をしていきます。
薬機法とは
広告表現をする際に「薬機法」を意識する必要がありますが、「薬機法」とはどのような法律なのでしょうか?
「薬機法」とは正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で「医薬品医療機器等法」と略されることもある法律です。 どのような広告表現が違反にあたるかについて「医薬品等適正広告基準」としてまとめています。 製造、表示、販売、流通、広告、市販後の安全対策などにも関わる法律で、厚生労働省が管轄し、保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止・指定薬物の規制・医薬品や医療機器、再生医療等製品の研究開発の促進を目的としています。
EMSマシンとは
エステサロンやクリニックの広告でよく見かけるEMSマシンですが、どのようなマシンなのかみていきましょう。
EMSとは「Electrical Muscle Stimulation」の略称で、筋肉に電気の刺激を加えて鍛えるものを指します。
医療現場でのリハビリなどでも使用されることがありますが、エステサロンやクリニックの痩身メニューで多く活用されています。
施術ではお客様にベッドに寝ていただいて、EMSマシンの電極パットを身体につけてスイッチを入れると、お客様が体を動かさなくても筋肉を動かすことができ、筋肉強化や脂肪燃焼、代謝アップの効果が期待できます。
また、家庭用の美顔器でEMS 機能がついたものも人気です。美容や健康を目的としたホームケア商品としても発売されています。
EMSマシンは雑貨?医療機器?
EMSマシンは薬機法の対象となる医療機器に当たるのでしょうか?
医療機器は、薬機法で人の疾病の診断、治療もしくは予防に使用されることや、身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等と定義されています。
医療機器の定義(第2条4項)
この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
疾病の診断、治療、予防に使用することを目的とするものの例としては、MRI、聴診器、体温計、レーザー治療機器、計などがあります。
また、身体の構造、機能に影響を及ぼすことを目的とするものには、コンタクトレンズ、マッサージ機器、ペースメーカ、低周波治療器、などがあります。EMSマシンは医療機器ではなく「雑貨」扱いとなります。EMSはあくまで筋肉運動のサポートをするものであり、医療機器には該当しないので薬機法の対象ではありません。
しかし、「お腹の脂肪が取れる」など医療機器と捉えられる表現をすることは禁止されています。
薬機法第66条によると、事実と異なる表現をすることは規制の対象となります。医薬品、医薬医療機器の効果やその効能について、大げさな表現をしてはいけないことや、効果を保証するような表現をしてはいけないとされています。
EMSマシンのように「雑貨」扱いのものを、医薬品や医療機器のような効果を保証する表現をすることもできません。
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
EMSマシンの広告で注意すべき点
EMSマシンの広告表現では何を注意すれば良いでしょうか? EMSマシンはあくまで「雑貨」扱いなので、医療機器のように「治療もしくは予防に使用されること」や「身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすこと」をイメージする表現はできません。 「お腹の脂肪がなくなる」「つけるだけでサイズダウン」などの過度な表現は使用しないように注意しましょう。 また、「マッサージ効果がある」という表現も「身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすこと」に該当するので避けた方が良いです。
こんな広告ならOK
それでは、どのような広告表現をすれば良いのでしょうか?医療機器のように身体の構造・機能に影響を与えるものではなく、美容目的の効能効果を表現することは可能です。
まとめ
最近よく見かけるEMSマシンの広告表現ですが、表現方法には注意が必要です。EMSとは「Electrical Muscle Stimulation」の略で、電気の刺激を筋肉に加えて鍛えるもので、筋肉運動の補助として、エステサロンやクリニックで導入されています。
また、家庭用の美顔器にEMS機能が付いたものも普及しています。EMSマシンは「雑貨」扱いとなるため、薬機法の対象ではありませんが、「つけるだけで痩せる」のように、医療機器と同等の効果を表現することは禁止されているので注意が必要です。
EMSマシンの広告表現をする際は「化粧品等の適正広告ガイドライン」を参考にすると良いでしょう。