化粧品とはなんなのでしょうか。 まずは化粧品の定義をはっきりさせることが大事です。
また、今回は化粧品(医薬部外品)「製造」、「製造販売」におけるFD申請の種類、方法、注意点などについて解説します。
化粧品とは
化粧品のことを知らないという方々もまずいないのではないでしょうか。
ただし、化粧品が何か説明しろと言われても、簡単には言うことができない難しさがあります。 まずは化粧品の定義を明確にしましょう。
医薬品医療機器等法第2条第3項では、化粧品とは、人の身体を清潔にするものであり、美化し、魅力を増すもの。容貌を変え、また皮膚もしくは毛髪を健やかに保つため、身体に塗擦、散布その他類似する方法で使用されることが目的とされているモノのこととされています。更に化粧品は人体に対する作用が緩和なものです。
化粧品といえば、化粧水・香水・口紅などのことを言うと思う方々は多いですが、それだけでなく、石鹸・シャンプー・ハミガキも大きな枠で化粧品としてくくることができます。
人、または動物の疾病の診断・治療や予防、身体の構造または機能に影響を及ぼすことを併せて目的としているものだったり医薬部外品に該当するものは、化粧品としての扱いではなく、医薬品であったり、医薬部外品のジャンルに該当します。
化粧品の製造販売とは
化粧品の製造販売とは、医薬品医療機器等法第2条第13項によって、製造など(他に委託して製造する場合を含む。なお、他から委託を受けて製造する場合は含みません)をし、また輸入した医薬品(原薬たる医薬品を除いたもの)、医薬部外品、化粧品または医療機器をそれぞれ販売、賃貸、または授与することだと定義されています。
化粧品という商品に対して流通責任を負い、クオリティーだけでなく、安全性についても積極的に対応(収集・分析・評価)することが求められています。
「製造販売業許可」は、化粧品を市場に出荷するための許可です。名称に「製造」とありますが、製造を行うことはできないため注意が必要です。製造を行うためには「製造業許可」を別途取得する必要があります。
また、「製造業許可」では、製品を市場に出荷することができません。製造業とは化粧品を実際に工場で製造する側のことをいいます。製造した製品は、製造販売業者または製造業者にだけ販売、また、賃貸や授与を行うことができます。
製造を委託することも可能ですが、委託された側は製造業の許可を得ている必要があります。
化粧品製造販売業のFD申請に至る流れ
ここでは、化粧品製造販売業の許可申請の流れを解説します。
製造販売業の許可は、以下の条件を満たす必要があります。
それは、
- 人的要件
- GQP省令への適合
- GVP省令への適合
です。
人的要件として、医薬品医療機器等法第5条第3号の以下項目に該当しない者である取り決めがされています。
イ 第七十五条第一項の規定により許可を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者 ロ 第七十五条の二第一項の規定により登録を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者 ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた後、三年を経過していない者 ニ イからハまでに該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があつた日から二年を経過していない者 ホ 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者 ヘ 心身の障害により薬局開設者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの ト 薬局開設者の業務を適切に行うことができる知識及び経験を有すると認められない者
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
また、総括製造販売責任者の設置、品質保証責任者の設置安全管理責任者の設置が必要とされます。
さらに、GQP省令(医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号))第3章に適合すること、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号)第4章に適合することが要求されています。
さらに、業者コード登録が必要です。
次は、医薬品等電子申請(FD申請)です。 情報の効率化であったり共有化、また、事務の進行状況の管理、審査の効率化、スピーディーな情報提供を実現するためにFD申請が推奨されています。
製造販売業許可申請に必要となる書類は以下の通りです。
- 製造販売業許可申請書
- 登記事項証明書(法人の場合。発行日より6ヶ月以内のもの)
- 申請者及び業務を行う役員の医師の診断書または疎明書(発効日より3ヶ月以内のもの)
- 総括製造販売責任者の雇用契約書の写しまたは使用関係証明書
- 販売責任者の資格を証する書類
- 品質管理及び製造販売後管理に係る体制に関する書類
- 化粧品製造販売業品目一覧表
- 法人の場合組織図
化粧品製造業とは
化粧品製造業の許可を得るのには人的要件として申請する者の資格が問われます。
医薬品医療機器等法第5条第3号の「イ~ト」に該当すれば資格は失ってしまうことになります。 また、以下のいずれかに該当する者であることが定められています。
一 薬剤師 二 旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学、旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基づく専門学校又は学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学若しくは高等専門学校(以下「大学等」という。)で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者 三 旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)に基づく中等学校(以下「旧制中学」という。)若しくは学校教育法に基づく高等学校(以下「高校」という。)又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した後、医薬品又は医薬部外品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者 四 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
物的要件として 薬局等構造設備規則第13条、薬局等構造設備規則第13条の2のルールに従い行動する必要があります。
そして、業者コード登録をし、医薬品等電子申請(FD申請)をします。
製造業許可申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 製造業許可申請書
- 登記事項証明書
- 申請者及び業務を行う役員の医師の診断書または疎明書
- 責任技術者の雇用契約書の写しまたは使用関係証明書
- 責任技術者の資格を証する書類
- 構造設備の概要の一覧表
- 付近の見取り図
- 建物の配置図及び製造所の平面図
- 製造設備・器具の一覧表
- 試験検査設備の一覧表
- 他の機関等の利用概要
- 利用する施設の図面
- 利用する施設の試験検査設備の一覧表
- 利用する施設との利用関係証明書
- 化粧品製造業品目一覧表
- 法人の場合は組織図
FD申請とは
FD申請とは化粧品の各種許認可、届出書類を電子的に行うため使用される手段です。
パソコンに、厚生労働省が無料配布している「申請用ソフト」という無料ソフトをダウンロードしインストール、そのソフトウェアプログラム上で申請に必要な情報を入力し、紙面や、CD-Rom用データで出力、それぞれ都道府県の薬務課担当へ提出をします。
FDは、フロッピーディスク(Floppy Disk)のことです。しかし、現在は実際問題フロッピーディスク(Floppy Disk)が廃れてしまいました。結果、フレキシブルディスク(Flexible Disk)の略というすり替えが起きてしまったようです。
平成17年4月の改正薬事法の施行に伴い、それ以前の「厚生労働省版医薬品等FD申請ソフト」の後継ソフトとして「厚生労働省版医薬品等電子申請ソフト」 (以下「申請ソフト」と呼びます。)を、それまでと同様にした厚生労働省から無償ソフトウェアとして配布して来ました。
さらに平成26年11月の医薬品医療機器等法の施行に対しても、申請ソフトのバージョンアップという形で対応しています。
旧FD申請ソフトのデータ移行については、旧FD申請ソフトで出力したSGMLを新様式に変換して利用します。
流れ
- FD申請ホームページ(http://web.fd-shinsei.go.jp/)にアクセスします。
- FD 申請ホームページのダウンロードをクリックします。そして、ダウンロード画面に移動します。
- 新薬事用申請ソフトをダウンロードする場合には「電子申請ソフトのダウンロード」を選択します。改正薬事制度の医薬品等電子申請ソフトダウンロード画面に移動します。 ここで「通常ダウンロード 申請ソフトのダウンロード」をクリックすることにより、申請ソフトのダウンロードを行います。
まとめ
いかがでしょうか。今回、化粧品(医薬部外品)製造、製造販売におけるFD申請の手順について解説しました。
化粧品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」のルールに従い、製造、製造販売を行います。
また、情報の効率化、共有化、事務の進行管理や審査の効率化、スピーディーな情報提供を実現するため申請者にはFD申請を推奨しています。