年々新規参入が増加している健康食品OEM。その理由の一つとして、完全自社生産で健康食品を製造する際に起こり得るさまざまな課題にアプローチできる、というものが挙げられます。これまで健康食品を製造したくてもできなかった、という企業の場合は、ぜひ一度OEM製造を検討してみてはいかがでしょうか。
健康食品OEMとは
新型コロナウイルスの蔓延に伴い、消費者の間では近年健康食品への意識が変化しつつあります。ウイルスにかかってから行動を起こしても遅く、日頃から健康な体を作ることこそ予防の第一歩といえるでしょう。そんな中、健康食品OEMは消費者にとって救いの一手となること間違いありません。より健やかに日々を過ごすための手助けとなる製品を生み出していきましょう。
そもそもOEMとは、「Original Equipment Manufacturing」の略です。直訳すれば「元の・設備・製造」の頭文字をとったもので、他社ブランドの製品を自社の設備を利用して製造する企業、ということになります。健康食品はもちろん、食品業界や医薬品業界、アパレルなどさまざまな業界が利用している形態でもありますね。
この仕組みを利用すれば、今まで自社生産ができなかった製品も世に送り出すことが可能です。せっかくの良い開発案が無駄にならないためにも、OEMのメリットを理解し適切に利用してみてくださいね。
製造上で起こり得る課題と対策
いざ健康食品の製造を始めよう、と思った時、さまざまな課題に直面する企業も少なくありません。問題が起こる前に対処できるよう、まずは健康食品を製造する上で起こり得る課題について確認しておきましょう。それぞれOEMメーカーに製造を委託することで、課題を回避することが可能です。もちろんOEMメーカーと契約を結ぶ際は、相応の費用が発生することになります。長い目で見れば完全自社生産と比べ利益が半減してしまう可能性も……。初期投資を抑えたいのか、はたまた将来的な収益を優先したいのか、開始する前に十分協議しておきましょう。
在庫を抱えるリスクが伴う
製造まで一括で行おうと考えた時、販売数が安定していないうちは多くの在庫を抱えるリスクが伴います。日々の製造量をどのように設定していいかわからず、赤字に転じてしまう可能性もあるでしょう。それでも、万が一の時のために余剰在庫を抱えないわけにはいきません。一方OEMメーカーに製造を委託した場合、日々安定した量を長期にわたって作り続けることが可能です。委託側の企業は開発に、OEMメーカーは製造にとそれぞれ別の作業に注力でき、他の業務に気を取られる心配もありません。
工場や設備といった初期投資が高額になりやすい
一から製造を始めようと考えた時、最初の壁となるのが「初期投資」です。たった1種類の製品を販売するまでにも、高額な機械や広い敷地が必要となるのは言うまでもないでしょう。冷暖房や湿度調整など、今までになかった空調設備も導入しなくてはなりません。しかしOEMメーカーと相談した場合、既にある機械を使って製品を生み出すことは容易となります。各メーカーと提携しているOEM会社であれば、広い敷地や倉庫、空調設備なども既に揃っていることが多いでしょう。もちろん余裕が出てきた際は、新たな機械を導入し新製品を開発することもできます。
開発時に高額な資金を用意できない場合でも、OEMメーカーとの契約金さえあれば製造を開始できるのがOEMのメリットともいえます。
製造に関するノウハウがない
そもそも健康食品を製造したことのない企業の場合、必要なノウハウがそろっておらず、四苦八苦する可能性も十分にあり得ます。ネットやセミナーで得た知識はもちろんですが、実際に現場で働いた経験がなければ難しい面も多々出てくるでしょう。企業に十分な知識を得た人材がいなくても、既にさまざまな製品を生み出しているOEMメーカーと契約することでその差をカバーできます。新たな知識を取り入れることも容易となるため、今後の企業成長にも欠かせない経験となるはずです。
適した形状や予算が分からない
ある製品を開発しようと考えた時、もっとも適する形状は何なのか、また予算はどのくらいになるのか等の情報は実際に経験してみなければわかりません。何度も試作を重ねた結果明らかになる情報もありますが、規模の小さい企業であればあるほど、試作期間は苦しいものとなるでしょう。
そんな時は、既に経験値を積んだOEMメーカーと協力し、適切な形状や予算を話し合うことをおすすめします。結託して1つの商品を生み出す、いわば仲間のような存在であるOEMメーカー。両者の知識を総動員すれば、良い製品を生み出すことができるはずです。
設備の維持費が高額になる
初期投資が高額になるのはもちろんですが、一度機械を導入しただけでは続けていけないのが工場というものです。稼働する時間が長ければ長いほど設備の管理費は高額になりますし、定期的なメンテナンスも必要不可欠です。かさみがちな電気代を何とかしようと、太陽光発電や蓄電池システムを取り入れる企業もありますが、これもまた高額になりがちなポイント。少しでも費用を抑えたい企業にとって、大きな痛手となることは間違いありません。
こういった管理費を削減し、いわば小さな事務所1つでも運営できてしまうのが、健康食品OEMの大きなメリットといえるでしょう。
人件費がかかる
機械を揃えていざ製造を開始しようとする際、思わぬところで人件費がかかることに気づいた……というケースもあるようです。原料の調達、機械メンテナンス、品質管理、配送などありとあらゆるところに人の手が使われているため、規模の小さい企業にとっては命取りとなりかねません。それぞれ経験者を雇おうとしても、なかなか人が集まらない可能性もあるでしょう。
一方OEMメーカーに製造を委託した場合、委託する側の企業に必要なのはOEMメーカーとの架け橋になる人材です。当然OEMや製造工程にも詳しい人材が不可欠ですが、逆にいえば数人の精鋭がいれば事足りるということでもあるのです。人材が増えるということは、その分退職や引継ぎ、研修といった対応も増えるということ。委託する側の企業に大きな変動がなく、すぐにでも始められるのが健康食品OEMの大きなメリットといえるでしょう。
開発に費やす時間が減る
生産を新たに始める場合、初めてのことで戸惑う場面も増えるでしょう。当初取り組むはずだった開発に人手と時間を割けなくなり、結果製品開発が進まなくなってしまった……という企業も少なくありません。製造工程のみ、あるいは店舗や倉庫への配送も請け負ってくれるOEMメーカーと契約すれば、委託側は開発のみに注力できるでしょう。
販売する商品の中でも、流行に即したものや今までなかった新商品などは大々的にアピールするべき商品といえます。製造に手を取られて肝心の販売工程がおろそかになってしまっては、せっかくの商品が無駄になりかねません。健康食品OEMでは、委託する側の企業にかかる負担を減らすという意味でも大きな役割を担っているのです。
販売数が安定せず、赤字となる可能性がある
先ほど、余剰在庫を抱える心配がなく、赤字リスクが低いというメリットをご紹介しました。それに加え常に生産ラインが稼働しているOEMメーカーの場合、一定量を安定的に生産できるという強みがあります。開発から製造まで一手に担う企業では、何らかのトラブルが起きラインをストップする……という非常事態もあり得ますが、OEMメーカーの場合は類似品の生産ラインで代用できる可能性も高まるでしょう。
また、製造に問題が発生しにくいということは、長期的に安定した利益に繋がりやすいともいえます。他社製品の穴をつき供給の薄い製品カテゴリを狙えば、大ヒットの可能性も十分に考えられますよ。
まとめ
新製品を生み出すためには、さまざまな課題をクリアしなくてはならない健康食品製造。しかしOEMメーカーと手を取り合うことで、長期的な利益が見込めます。自社での生産を検討する前に、まずは今回ご紹介した健康食品OEMのメリットについて再確認してみてくださいね。