オリジナル健康食品の開発を進めるにあたり、新たな商品をどのように消費者に知ってもらうかが重要な鍵になります。
自社で企画開発に力を入れて、こだわりの素晴らしい商品が仕上がっても、消費者にその存在が認知されないことには、販売に至ることはできません。
そのため、新しい商品を世間に認知させるための努力が必要となります。
その手法としてよく挙がるのが、「PR」と「広告」です。
一般的に「PR」=「広告」と思われがちですが、実際はどうなのでしょうか。
この2つはどちらも、「自社商品を世間に知ってもらうためにマスメディアを活用する」、という意味では同じものです。
しかし、目的は一緒でも、実はその特性は大きく異なります。
せっかく開発した商品を、上手に世間にアピールして売り上げを出すためには、この違いを理解していないと、失敗してしまうケースもあります。
この記事では、「PR」と「広告」の違いについてまとめていきます。
「PR」とは?
「PR」は「Pubulic Relations」の略語で、日本語にすると、「公衆との関係構築」という意味になり、アメリカで誕生したと言われています。
「PR」が誕生する前の時代は、企業が生活者の利益を無視して資本を集中させ、暴力的に富を築いていた時代だったと言われています。
そこでできてしまった企業と生活者の間の大きな溝を埋め、関係性を修復するツールとして現れたのが、「PR」です。
現代では、企業や政府と生活者をつなぐ「双方向性コミュニケーション」として、「PR」は重要な役割を果たしています。
今日、日本では、「PR」を「宣伝」「広告」「広報」などの類似語と混合されやすくなっていますが、効率よく商品を消費者にアピールするためには、これらとの違いを理解することが大切です。
マーケティング業界では、「PR」という言葉を、「メディアなどの第三者を通じた情報発信により、企業・ブランド価値や商品の売上向上に貢献する活動」という意味合いで使うことも多くなってきています。
「広告」とは?
「広告」は英語で「Paied Media」と呼ばれ、世の中への商品やサービスの認知を高め、人の関心を引きつけることです。
「Paied Media」の意味通り、広告会社にお金を払うことでメディアの枠を買い取り、その中で広告主が伝えたい内容を自由に表現する活動のことを言います。
対象メディアは、4マスと呼ばれるテレビ・新聞・雑誌・ラジオの他、交通広告、屋外広告、WEBのバナー、リスティングなどといった様々な媒体があります。
「PR」と「広告」の違い
「PR」は、上記でも説明したとおり、「両者の理解を主眼とした双方向のコミュニケーション」であるのに対して、広告は、「広告主が自らの商品やサービスを利用してもらうための、一方向性の情報発信」と言えます。
「PR」と「広告」の違いをシンプルに二つに分類すると、
- 料金発生が伴うか、伴わないか。
- 情報の発信者が広告主(企業)なのか第三者(メディアや消費者など)なのか。
という点です。
「広告」は、メディアの広告枠を購入し、そこに広告内容を掲載します。
一方で「PR」は、メディアにとりあげられやすい情報を発信することで、それを目にしたメディアが自主的に情報を掲載します。
あくまでメディアが自ら発信するため、企業がメディアに料金を支払うことはありません。
「広告」は、広告主がメディアの宣伝枠を買い取るため、広告主にとって都合の良い表現を使うことが出来ますが、「PR」の場合、情報発信者、情報を伝えるメディア、情報を受け取る生活者、という三者にとって中立な立場を取りながら、情報を公平に扱う必要があります。
そのため、「広告」では、多少の過激な表現や誇張表現が使われることがありますが、PRは真実に基づいた、誤解を生むことのない適切な表現のみが使われます。
コスト面だけ見てみると、コストをかけずに情報を掲載することができる「PR」の方が優れているように見えますが、「PR」を利用すると、メディアが主体となる情報発信のため、いつどこでどのように取り上げるかは全てメディア側の判断となるため、掲載日時や内容をコントロールすることができません。
また、いくら情報を提供しても、メディア側が価値ある情報とみなさなければ、掲載してもらうことは出来ません。
さらに、仮に掲載されたとしても、自社の意図と全く異なった文脈で掲載されることもあります。
例えば、タレントを使用した新商品発表会などで、そのタレントのスキャンダルなどが絡むと、新商品発表会自体は記事に取り上げられても、その内容のほとんどが、自社の商品とは無関係な情報になってしまうことも見うけられます。
しかし、第三者が客観的に取り上げている情報ということで、「PR」利用での「信頼性」は圧倒的に高いと言えます。
一方、「広告」は、費用をメディアに支払って情報を掲載するため、広告主である企業側の意図通りに露出でき、期間、内容などをコントロールすることが出来ます。
特にネット広告の場合は、ターゲティング手法も多岐にわたるため、狙ったターゲットに、必要なメッセージをダイレクトに届けることができます。
とくにネット広告は、このターゲティング手法により一気に人気となりました。
また「PR」と異なり、広告を使用した効果の分析が容易であることもメリットの一つです。
しかし、消費者に嫌われてしまうというデメリットが存在します。
「広告」の特性上、伝える情報が、広告主側の主張として一方的な押し付けになってしまうことが多く、消費者からすると不要な情報として分類されてしまうことが多々あります。
最近ではとくに、CMスキップ機能や、広告ブロック機能などが普及しているため、そもそも広告が見られていないといった状況も多く見られます。
このように、とくに近年になって、「広告」は毛嫌いされてしまう、「広告」で消費者は動かせない、という流れに変わってしまいました。
そこで、注目を浴び出したのが「PR」です。
PRによる第三者視点や口コミによって商品の認知度を上げる手法が増えてきています。
それぞれのメリットとデメリットを簡単にまとめると、
- 「広告」は内容のコントロールをできるが、消費者に嫌われがちである。
- 「PR」は内容をコントロールできないが、第三者視点により説得力が増す。
となります。
健康食品の広告、PR方法
「広告」と「PR」の違いを理解したところで、健康食品の広告、PR方法をまとめておきます。
まずは「PR」の方法として、如何にマスメディアに自社の新商品に注目してもらうかが鍵となってきます。
それに必要は手法は、自社の商品に関連するテーマを、メディアにとってどれだけ魅力的な情報に加工できるか、です。
まず、PRしたい商品のターゲットに対する意識調査を行い、それを題材とした「プレリリース」をメディアに配信します。
その後、広報担当者、もしくはPR会社スタッフ(自社がPR会社に委託している場合)がメディアの編集部を訪問して、商品やサービスについて説明します。これを「キャラバン」と呼びます。
また、メディアやインフルエンサーを集客しての商品PRイベントを開催します。
PRイベントの例としては、著名人を活用した「商品発表会」、専門家の「座談会」、美容・健康系の「セミナー」などがあります。
さらに、これらと同時進行で、商品のキャンペーンサイトやinstagram・Facebook等の公式アカウントなどを運用していきます。このように、PR情報を集約して常時更新することで、キャンペーンやイベントの動向がソーシャルメディアなどで拡散されやすくなります。
このような流れで、商品の話題性を作り出し、メディアに取り上げてもらいやすい環境を作っていきます。
次に、健康食品の「広告」の例として以下に挙げます。
- 4マスと言われる、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ
- ニッチメディアと言われる、フリーペーパー、交通広告、屋外看板、映画広告など
- インターネット広告
- LINEやFacebook、YouTubeなどのSNS広告
- リスティング広告などのサーチエンジンマーケティング
- 販売促進のための、サンプリングやDM広告、同封広告など
このように広告媒体は多岐にわたります。
それぞれの特徴を理解した上で、商品にあった広告媒体を選択する必要があります。
また、健康食品の広告表示には、広告表現における注意点があり、場合によっては法律に引っかかってしまうことがありので注意が必要です。
もし、宣伝に対するノウハウが不足していたり経験が浅い場合は、販売促進に関してのノウハウに長けているプロに任せる、という方法もあります。
その場合は、広告代理店やPR会社に依頼して、宣伝部門を全て依頼することもできます。
まとめ
以上、「広告」と「PR」の違いと、健康食品の広告、PR方法についてまとめました。
より効率よく、オリジナル商品を消費者にアピールするために、是非参考にしてみてください。