■商品表示に関しての注意事項
原材料のアレルギー表示とコンタミネーション提示
これは健康食品OEMに限ったことではありませんが、特に食品を扱う中で注意しなければならない点はアレルギー表示およびコンタミネーションです。
2021年2月現在、アレルギー表示の対象は、「特定原材料7品目」と「特定原材料に準ずるもの21品目」の、 合計28品目となっています。
(特定原材料7品目:小麦、そば、卵、乳、落花生、エビ、かに特定原材料に準ずるもの:あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)
原材料中に上記アレルギーのある場合は表示義務が発生いたします。消費者庁が開示している表示指示に従って表記する様にして下さい。【消費者庁ホームページ:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/】
また、コンタミネーションとは、食品を生産する際に、原材料として使用していないにもかかわらず、アレルギー物質が微量混入してしまう場合をいいます。原材料として用いた場合のみに表示義務を課す現行のアレルギー表示制度では表示義務はありませんが、注意喚起表示は実施するほうが良いでしょう。
栄養成分表示と熱量
一般用加工食品と一般用の添加物は、栄養成分表示(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物及 びナトリウム(食塩相当量に換算したもの))が義務付けられています。 • 生鮮食品や業務用加工食品における栄養成分表示は任意ですが、表示する場合は食品表
示基準に従う必要があります。
栄養強調表示もしくは栄養機能表示か
栄養強調表示と栄養機能性表示とでは規定が違います。詳しく確認が必要です。
栄養強調表示の規定
- 栄養成分の補給ができる旨及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる
栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる
強化された点又は低減された点(相対表示)において表示しなければならない
- 糖類を添加していない旨又はナトリウム塩を添加していない
- 賞味(消費)期限内、栄養強調表示の規定を満たしていること
栄養強調表示をする場合の表示値規定
- 栄養機能食品である旨及び当該栄養成分の名称
- 栄養成分の機能
- 一日当たりの摂取目安量と摂取量、摂取をする上での注意事項
- 消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない旨の表示
- 一日当たりの摂取目安量に含まれる機能に関する表示を行っている栄養成分の量が栄養素等表示基準値に占める割合
- 栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言
- 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあっては当該注意事項
- 特定の対象者に対し注意を必要とするものにあっては当該注意事項の記載
景品表示法及び健康増進法
国が制定した法律となります。虚偽・誇大な表示の禁止を求めるものであり、【 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果.
その他厚生労働省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない(消費者庁健康増進法項目を引用)】とあります。
健康食品を開発するにあたって、使ってよい文言や強調してよい言葉に指定がありますので、商品パッケージが出来上がった際に、消費者庁への確認をお勧めいたします。
■健康食品OEM開発時の注意点
原材料:各成分の1日あたりの摂取量の把握
より健康的になりたくても過剰摂取は体に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、各成分の1日あたりの摂取目安を事前に把握して開発をしてください。
【例1】ビタミンC:健全者であれば問題はないが、慢性腎臓病患者の人がビタミンCを摂りすぎた場合、腎蓚酸結石のリスクが高まります。またビタミンCは1日あたり200mg程度までは吸収率が90%ですが、1gまでいくと吸収率は50%以下となります。そのため効果的な量にする調整が必要です(サプリメントなどは1000mg以下が推奨されている)。
【例2】ビタミンD:過剰摂取により食欲不振や嘔吐、下痢、腎機能障害を引き起こすこともあります。1日あたりの目安量は成人女性で8.5μgです。食品で1日当たりのビタミンDの摂取量が上限を超えることはまずありませんが、サプリメントでは注意が必要です。
【例3】ビタミンA:過剰摂取でがんを増やし、死亡率を高める要因になるなど何かしらの影響が出ると指摘されています。目安量を2700μgにすることが望ましいとされています。
【例4】カルシウム:継続してカルシウムの摂取量が1日2500mgを超えると肝機能障害、便秘、結石などのリスクが高まります。
顧客ベネフィット
これから開発する商品が消費者にとってどのようなベネフィットを与えられるか、他社との差別化部分などを明確化しておくことが重要です。「唯一無二の商品」となれば、商品に与える販促などは必要ありません。完全なブルーオーシャンマーケットとなります。レッドオーシャンほど同一化競争が起こっており、商品売価やサービス提供の競争は激しくある傾向にあります。顧客が必要とする商品、あるいは購入したいと思える商品か、これをきちんと商品表示やその他部分で打ち出す必要があります。
試作検証、デザイン確認
試作を実施した際に、実際の思い描いていたものと全く違っていれば消費者にも失礼です。商品を作った際には実際にきちんと成分などに問題はないか、食べやすいのか、あるいはデザインの色校正など思い描いていたものなのか実際のものを見て必ず確認をするようにしてください。作った後では遅いです。確認は絶対に怠ってはいけません。
市場の競合商品と競合価格の把握
現在健康食品の市場は毎年増加傾向です。市場規模は8600億円といわれております(出典:矢野経済研究所市場データ)。様々な商品にそれぞれの付加価値をつけて販売しております。そのため、中には競合が存在しており他社との比較対象になるカテゴリーもあります。そのために、実際にその市場の競合売価がどの程度のものか把握しておく必要があります。いくらファブレスメーカー(協力工場)があり、小ロット製造が可能となっても、市場価格が大幅に落ち込んでいれば競争に負ける可能性はあります。場合によっては製造ロット数をあげて1商品当たりの原価引き下げも検討しなければなりません。
そしてその商品原価/利益率、製造ロット数に合わせて商品規格などの組み立てをしていくことも必要でしょう。特に流行というものはある程度把握しておくことも重要です。さまざまなメディアである特定の成分にスポットを当て、急激に消費傾向が増えることがありますが、これは一過性であることもあります。市場規模が風船のようにしぼんだ段階で販売量は大幅減少しますので、注意が必要です。
販売チャネルと売上計画
いつから販売するのかを明確にしておいた方がよいです。また、その商品をどこで売るかということも重要です。例えばレアル店舗でもドラッグ業界や食品小売業とは大きな改廃導入時期が違います。一般的な小売業界は半期に1度の改廃(棚替)が3~4月、8月~9月にあります。この導入時期に合わせて商品開発を実施する必要があります。企業によっては四半期単位あるいは、1ヵ月単位で改廃もあります。物量や展開数を増やすためには販売する先の導入期日を明確にしておくことは必要です。D2CやB2Cではこの改廃などは存在しませんが、いつから投与していくかを明確にして逆算することは求められます。
いくらOEM商品化を実施しても、どう販売していくのか、どれくらいの売上を見込むのかという売上計画をある程度明確にしていくことは次の開発につながります。商流の出口もある程度イメージして開発が必要です。