新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから約2年がたち、やむを得ない休業や時短営業などの影響で慢性的な人員不足に悩んでいる飲食店経営者も多いのではないでしょうか。特に、手間のかかるメニューが多い店だと、仕込みだけでもかなりの時間がとられてしまい、そのほかの準備に手が回らなかったり、新メニューを考える時間が取れなかったりなど、いろいろな問題も出てくることでしょう。
そこで今回は、仕込み時間の負担を軽くしてくれるかもしれない、肉加工製品OEMについてご紹介していきたいと思います。
飲食店の抱える問題と肉加工製品OEMの可能性
飲食店は慢性的な人員不足
現在、多くの飲食店では、慢性的な人員不足が続いています。これは、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための休業や時短営業によって、飲食店の経営が厳しくなり人員を削減してしまったことが主な原因とされています。その後、感染状況が落ち着いてきて、徐々に通常営業ができるようになってきてはいますが、新たな人員補充には至っておりません。
しかし、店を開けるための準備は必要なので、従来の仕事量を少ない人数でやっていることになります。特に、仕込みにはかなりの時間と手間がかかるため、そのほかの準備に手が回らないというお悩みを抱えている経営者も多くなっているようです。このような人員不足の問題を解決してくれる手段の一つとして、肉加工製品OEMが期待されています。
肉加工製品OEMによって解決されうる問題
飲食店のほかにも、スーパーマーケット、畜産農家、イベント、食品メーカーなどでも人員不足に起因する問題は共通しています。また、それ以外にもコスト削減や差別化を図る目的などで、さまざまなお悩みがあるようです。以下に示すようなお悩みもまた、肉加工製品OEMによって解決できるのではないでしょうか。
- 食材コストを削減したい
- 人件費を削減したい
- 新メニューを企画開発したい
- 大量生産したいが、初期投資が大きすぎる
- 食材のロスが多く、使わない部分を他の料理に転用したい
- ブランド肉を使用した自社だけのオリジナル商品で競合店との差別化を図りたい
- 地域振興のお土産用として地域の食材を使ったオリジナル商品を作りたい
OEMできる肉加工製品
そもそも肉加工製品とは
肉加工製品とは、加工処理をした食肉製品のことで、加工肉、食肉加工品ともよばれます。一般的な肉加工製品の例として、ハム、ソーセージ、ベーコンがまっさきに挙げられます。最近では、メンチカツ、とんかつ、ハンバーグ、焼き鳥、唐揚げ、ローストチキン、ミートボールなどの、「あとは揚げるだけ・焼くだけ・温めるだけ」といった調理済みの肉加工製品なども数多く出てきています。
使用される肉の種類
加工される肉は、おなじみの牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、羊肉が真っ先に挙げられます。その他めずらしいものでは鹿、猪、アヒル、鴨、クジラなどが使われているようなので、商品例をいくつか挙げてみます。
鹿パストラミ(香辛料で調味した燻製肉)
鹿生ハム
猪パンチェッタ(塩漬け肉)
猪ソーセージ
アヒルスモーク
鯨肉ソーセージ
オリジナル商品で差別化も
従来のハム、ソーセージ、ベーコンになど関しても、今まで使っていなかった銘柄肉の使用、化学調味料・食品添加物不使用、有機栽培のハーブ使用など、独自のこだわりを入れた商品を作ることで競合店との差別化を図っているところも年々増えています。
納品までの流れ
OEMメーカーによって多少の違いはありますが、一般的な納品までの流れは次のようになります。
- 問い合わせ 電話やメール、お問い合わせフォームなど
- 打ち合わせ 希望の商品案、ロット数、納期など
- レシピの試作 レシピが決まっていない場合には、レシピ作成から
- 試作品のチェック 実際に検食し、味付けなどを調整
- 包装形態の選定 希望のパッケージデザインなどの選定
- 概算見積提出 見積りに問題がなければ、本ロット生産へ
- 本ロット生産 指定されたロット数、納期で
- 発送・納品 指定された場所に発送・納品
肉加工製品のOEMメーカーを選ぶうえで気をつけるべきポイント
ネット上で探してみると、肉加工製品のOEMメーカーはかなりたくさんあります。その中からどのメーカーにするかを選ぶだけでもとても大変なことです。そこでここでは、肉加工製品のOEMメーカーを選ぶうえで気をつけるポイントについて述べていきます。
- 希望する商品の開発・製造ができるか
あたりまえのことですが、希望する商品の開発・製造ができるかどうかは重要なポイントです。この記事のはじめにも書いたように、肉加工製品にはたくさんの種類があります。製造のために専用設備が必要な製品もあるため、ひとつのOEMメーカーがすべての品目を取り扱っているわけではありません。充実した設備は、高品質の商品生産にもつながりますので、希望する商品の製造実績があるOEMメーカー数社をホームページなどであらかじめ確認しておきましょう。
- 応答がスピーディーかどうか
こちらの質問や要望に対する応答がスピーディーかどうかは重要なポイントです。なぜなら、希望した納期に間に合うかどうかに関係してくるからです。例えば、これまでに同じような製品開発の経験があれば、レシピの企画案や概算見積もりなどもスムーズに提出してもらえるはずです。
また、もしこちらの要望が新規性の高いものであったしても、経験豊富な開発担当者がいればレシピ案などもそれほど待たされずに受け取ることができるでしょう。よって、これら一連の応答スピードは重要視されるべきポイントです。取り扱っている製品が食品なので、作業環境の衛生管理やできあがった製品の品質管理が充実していることは非常に重要です。
- 希望通りのロットに対応できる施設かどうか
こちらの希望するロットに対応可能な施設であるかどうかも重要です。OEMメーカーの工場の規模は大小さまざまなので、対応できるロットも異なります。一般的な飲食店で希望するような小さなロットでは、小規模な工場を選ばなければなりません。逆に、スーパーマーケットやイベントなどで必要となる大きなロットに対応できるのは、大規模な工場ということになります。
中には希望するロットに見合わない場合であっても対応してくれる工場もありますが、余計に費用がかかってしまうことにもなりかねません。よって、希望するロットに対応したOEMメーカーを選択したほうがいいでしょう。
- 衛生・品質管理が徹底されているかどうか
食品を取り扱っていますので、衛生・品質管理の徹底は必須事項です。例えば、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理がされているかは重要です。つまり、食中毒予防の3原則や5S活動、そして考えうる注意点をあらかじめ衛生管理計画として明示して、それが実施・記録されているかどうかです。
その他、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO 22000」を取得しているかどうかも、衛生・品質管理が徹底されているかを判断する客観的な指標といえるでしょう。肉加工製品OEMメーカーのホームページなどでチェックしてみることをおすすめします。
まとめ
今回は、OEMできる肉加工製品について説明させていただきました。とても多くの種類の肉加工製品でOEMを利用することができるため、幅広い分野の飲食店における人員不足問題を解決しうることをおわかりいただけたと思います。
また、独自商品の企画開発にも対応可能なOEMメーカーがたくさんあるので、スーパーマーケット、畜産農家、イベント、食品メーカーなどでも、競合店との差別化を図ることができるでしょう。今回ご紹介した情報を参考にして、ご依頼先を決めてみてはいかがでしょうか。