NMNってなに?
ホリエモンこと堀江貴文さんなどの著名人やSNSでのインフルエンサーによる情報発信によってNMNの3文字は見たことがあるが、いったい何なのか知らない方は多いことでしょう。
ここ数年でNMN関連の情報はどんどん増えてきています。このまま何も知らないままだと自分にとって大切な健康や美容に関する情報を取りこぼしてしまうかもしれません。
そこで本記事では、NMNについてほとんど知らない方に向けて、NMNサプリメントを試したくなるかもしれない情報をお伝えしていきます。
注目の素材NMNとは?
生体内の一物質に過ぎなかったNMN
NMNとは、ニコチンアミド・モノヌクレオチド(Nicotinamide Mononucleotide)という物質名の頭文字をとった略称です。
NMNはもともと、体内のさまざまな酸化還元反応で非常に重要な働きをする補酵素の一種であり、多くの研究対象となっていたニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(Nicotinamide adenine dinucleotide, NAD+)が合成される際の中間代謝産物という存在にすぎないものでした。
NAD+といえば高校時代の生物の教科書にも、呼吸の各段階(解糖系、クエン酸回路、電子伝達系)のほか、アルコール発酵や乳酸発酵のところで登場しているので、覚えている方も多いかもしれません。
しかし、生化学的研究の進展により、このNAD+の多彩な重要性が明らかにされるにしたがい、単なるNAD+の中間代謝産物であったNMN自体にも肥満や糖尿病への治療効果があることがわかってきたのです。
その後も研究は進み、NMNの投与により、体内のNAD+量を増加させ、インスリン抵抗性、糖尿病、がん、アルツハイマー病等の老化関連疾患の病態を改善することも報告されています。
【参考文献】
吉野純ほか. 哺乳類代謝制御におけるNAD+の生理学的重要性と治療標的としての可能性.化学と生物. 2013, vol.51, no.3, p147-153
山口慎太郎ほか. 老化関連疾患におけるNAD+合成系の役割と創薬標的としての可能性. 生化学. 2015, Vol.87, no.2, p239-244
テレビ番組によって注目の的に
そして、2015年1月にテレビ番組『NHKスペシャルNEXT WORLD 私たちの未来
(第2回 寿命はどこまで伸びるのか)』においてNMNが紹介されました。
番組内では、ワシントン大学セントルイス校医学部の今井眞一郎教授とハーバード大学医学部のデビッド・シンクレア教授が行なった研究が取り上げられました。
その内容は、生後2年(ヒト年齢約60歳)のマウスにNMNを1週間投与したところ、生後6ヶ月(ヒト年齢約20歳)の運動能力、外観、活動レベル、細胞レベルまで若返った、というものです。
これによりNMNは「若返りの薬」として一気に知名度が上がりました。
NMNとサーチュイン遺伝子
世界中の人が飛びついた、この「若返りの薬」とはいったいどんなものなのでしょう?
それを説明する研究成果として「NMNによるサーチュイン遺伝子の活性化」が挙げられます。
サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子とも呼ばれ、あらゆる生物に備わっている老化や寿命に関わる重要な遺伝子です。私たち人間のサーチュイン遺伝子は7種類(SIRT1~SIRT7)あり、NMNはこれらすべてを活性化できることがわかっています。
前述の今井教授によると、その中でも老化を制御する上で特に重要なのがSIRT1とのこと。その理由は、SIRT1には糖や脂肪の代謝を改善し、神経細胞を守る働きがあるからだそうです。
今井教授らが行なった実験によると、遺伝子操作により脳視床下部のSIRT1の機能を高めたマウスでは、骨格筋が維持されるなど若々しい生理機能を維持することができ、病気の発症も遅くなったため、メスで16.4%、オスで9.1%、健康寿命が延びたそうです。これらは人間に換算すると、メスで約13年、オスで約9年の健康寿命延長に相当します。
【参考文献】
Akiko Sato, et al., Cell Metab. Sirt1 extends life span and delays aging in mice through the regulation of Nk2 homeobox 1 in the DMH and LH, 2013, Sep 3; 18(3):416-430
その後に行なった実験では、生後5ヶ月のマウスにNMNを1年間飲ませた結果、17ヶ月齢(人間の60代に相当)になっても、代謝や活発さは保たれ、骨格筋、肝臓、脂肪の加齢性の遺伝子変化が抑えられたほか、老化に伴って低下する網膜の機能、骨密度、免疫細胞が保たれるなどの抗老化効果が確認されました。
【参考文献】
Kathryn F Mills, et al., Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice, Cell Metab.2016; 24(6):795-806
以上のような研究から、SIRT1を 活性化してくれるNMNを補充することで「若返ることができるかもしれない」という期待が高まったのです。
NMNサプリメント
野菜からの補充は非現実的な理由
通常、NMNは私たちの体内でビタミンB3を材料にして作られます。しかし、年齢とともにその生成量はだんだん減ってくることもわかっています。
NMNが含まれる食べ物としてトマト、枝豆、カボチャ、アボカドなどの野菜が挙げられますが、その含有量はごくわずかです。十分にNMNを補充するためには、これらの野菜を10数kg食べる必要がありますが、それは現実的ではありません。
食薬区分で非医薬品リストに掲載
そこでサプリメントの登場となります。しかしNMNのサプリメントはまだ登場して間もない成分です。
安全性などに問題はないのでしょうか?
NMNは医薬品的な研究なども行われてきた成分なので、サプリメントとして製造・販売することは、薬機法的には大丈夫なのか心配になることがあるかもしれません。
その点に関しては、令和2年3月31日に食薬区分が改訂され、NMNは「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(通称「非医薬品リスト」)に新しく追加されましたので、法的にも非医薬品成分として扱われることになりました。
サプリメントとした場合にも、製品に含まれる他の成分や形状に問題がなければ医薬品とみなされることはありません。
【参考】
厚生労働省医薬・生活衛生局|食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示
https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/attachment/88308.pdf
サプリメントとして飲んでも安全なのか?
薬機法においては問題なくても、実際に私たちがそれを体の中に取り込んでも安全なのかという心配もあるかと思います。その点についても今井教授らの研究グループによってしっかりと確認されています。
その研究では、40歳以上60歳以下の健康な男性10人に期間中、100mg、250mg、500mgの異なる量のNMNを同じ人に各一回ずつ経口投与しました。
その結果、すべてのケースにおいて投与後、血圧や脈拍などに変化はなく、血液・尿検査でも肝機能・腎機能の基準値を超えることもなく、また目の機能、睡眠状態にも影響はありませんでした。
さらに、投与したNMNはその量に応じて代謝されているので体内に蓄積しないことや、単回投与では500mgまでは安全だということもわかりました。
この臨床研究により、NMNを人に安全投与できることが世界で初めて明らかになったことで、ますます加齢に伴うさまざまな疾病の予防や治療にNMNの期待値が上がりました。
【参考文献】
Junichiro Irie, et al., Effect of oral administration of nicotinamide mononucleotide on clinical parameters and nicotinamide metabolite levels in healthy Japanese men, Endocrine Journal, 2020, vol.67, issue2, p153-160
さらに、Cecile Crosらの研究では、対象がラットではありますが、90日間の連続経口投与で、1日体重1kgあたり1500mgまでの安全性が確認されています。
【参考文献】
Cecile Cros, et al., Safety evaluation after acute and sub-chronic oral administration of high purity nicotinamide mononucleotide (NMN-C®) in Sprague-Dawley rats, Food and Chemical Toxicology, 2021, vol.150, 112060
価格はどれぐらいなのか?
ここ数年、いろいろな要素から国内で盛り上がりを見せているNMNサプリメントですが、そのブームはアメリカや中国の方が早く、2015年頃からになります。その後、日本で初めて発売された当時の原料価格は、1kgあたり数百万円だったともいわれております。当然、製品価格も高額で、2019年に帝人グループが発売したNMNサプリメントは、1ヶ月分でなんと15万円というものでした。
しかし現在は、NMN需要に応じた生産技術の向上や生産量の増加によって、1kgあたり15万円以下にまで下がっており、それに伴いNMNサプリメントも2万円前後の商品が増えています。
NMNサプリメントのOEM製造をお考えの方に
どんな剤形が良いのか?
NMNサプリメントの剤形は、ハードカプセル、錠剤、チュアブル、顆粒、ドリンク剤などがありますが、安定性の観点などから植物性のHPMC(ヒドロキシメチルセルロース)植物性カプセルをおすすめするOEMメーカーが多いようです。逆に、ソフトカプセルは栄養素の減衰などの理由から不適とされています。
どんな成分と組み合わせるべきか?
NMNの魅力をできるだけ引き出し、他商品との差別化を図るためには、組み合わせる成分の選定がとても重要です。
現在市販されているNMNサプリメントの組み合わせ成分には、乳酸菌、レスベラトロール、コエンザイムQ10、コラーゲン、エラスチン、アスタキサンチン、5-ALA(5-アミノレブリン酸リン酸塩)などさまざまあります。
その中でも「サーチュイン遺伝子を活性化する」というNMNとの共通項を有するレスベラトロールの採用例が多いようです。
NMNサプリメントの注意点
NMNサプリメントのOEM製造に際して以下のような注意すべき点があります。
- 製造メーカーによってNMNの嵩比重が異なっており、嵩高い原料だと想定した量をカプセルに充填できない場合がある。
- NMN原料の偽造品も多く出回っているなどの理由で、正規輸入品であるかどうかの確認が必要である。
- 成分の組み合わせによっては、カプセル内で成分同士の反応が起こってしまい変性や変色を起こしてしまう。また、ハードカプセルの色によっては変色が目立ってしまうため、色の選定も重要。
そのほか、実際にNMNサプリメント取扱い実績のあるOEMメーカーでなくてはわからない注意点が多数ありますので、自社でのOEM製造企画担当の方は、経験豊富なOEMメーカーに相談することが必須です。
まとめ
今回は、NMN(ニコチンアミド・モノグリセリド)についての基礎的な内容をお伝えしました。
最後に少しだけ、OEM製造時に参考にしていただきたい情報も付け加えてみました。
これからのNMNサプリメントは、値段が下がり、商品数も増えて手が届きやすくなる反面、模倣品や偽造品などのリスクが上がってくることが考えられます。
安くて質の高いNMNサプリメントを手に入れられるように、ぜひこの記事を参考になさって下さい。