今輸出事業が盛んになり、海外製の商品を良く目にするようになりました。その中で「やっぱり日本製の商品が良い」と感じる人も多いでしょう。大きな理由として、品質面でどうしても海外の商品が信頼出来ないと考えている人が多い背景があると考えられます。そのような品質管理、品質維持方法は国によって違うと思うかもしれませんが、実は世界で統一したルールが設けられています。今回はそのルール、ISOについて具体的に解説していきます。
ISOとは
ISOとは、スイスのジュネーブに本部が置かれている非政府組織「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」のことを意味し、1947年に設立されました。国際間で様々な商品を取り引きする時に、国ごとにサイズや品質、安全性の基準が異なっていると様々な面で支問題が生じます。そのような問題解決のために、ISOはその支障を回避して取り引きをスムーズに行う事を前提に、世界共通の基準を制定しており、それを「ISO規格」と呼びます。
ISO規格の種類
ISO規格は「ISO 9001」などの番号によって分けられており、これまでに約20,000規格以上制定されています。また種類としては、「モノ規格」と「マネジメントシステム規格」の2つに大きく分けられます。「モノ規格」とは、製品や表示そのものに定められる規格を指します。一方「マネジメントシステム規格」とは、品質管理方法や環境活動など「仕組み」について定められる規格を指します。
マネジメントシステムとは
マネジメントシステムは、組織がその目標を達成するため、必要な課題を確実に解決することを目的とし、用いられる方針、プロセスや手続きの一連の要素である。これらの目標には、組織の運用における多くの局面 (経済的成功、安全な運営、製品品質、クライアントとの関係、法規制への適合性、労働者の管理など) が含まれる。たとえば、環境マネジメントシステムを利用することで、組織は環境のパフォーマンス向上が可能となり、また、労働安全衛生マネジメントシステム を利用すると、組織は労働安全衛生のリスク制御が可能となる。
マネジメントシステムは基本的に個人ではなく企業などの「組織」で運営します。ここで言う「組織」とは2人以上の集まりを意味し、所属人数が2人以上いれば企業だけでなく自治体や病院、学校も含まれます。組織全体で目標を達成するには当然「管理」が必要です。社員数が少ない企業の場合、社長と各社員間の距離が近いため、濃いコミュニケーションが取れるので会社全体を把握する事ができます。一方で、社員数が増大するにつれて社長1人で会社全体を把握することは困難になっていきます。そこで会社として統一されたルールを作ることで、同じ考えのもとで会社を運営して行くことができます。
さらに、この統一されたルールを運用するためには、部課長などの管理職を置き、各役職の責任などを明確にする必要があります。簡単に説明するとマネジメントシステムとは、これらルールを定め、それらを実際に運用するための体制を意味します。つまりマネジメントシステムとは、企業が目標を達成するために適切に指揮管理する仕組みとも言えるので、今回の「ISOマネジメントシステム規格」とはこの仕組み、ルールについて定められた国際的な規格となります。
マネジメントシステム規格の種類
マネジメントシステム規格にもいくつか種類があり、代表的なものをご紹介したいと思います。
ISO 9001 (品質マネジメントシステム)
一貫した製品・サービスの提供、及び顧客満足度の向上を目的とした規格
ISO 14001 (環境マネジメントシステム)
環境パフォーマンスの向上、順守義務を満たすこと、及び環境目標の達成を目的とした規格
ISO 22000/FSSC 22000 (食品安全マネジメントシステム)
消費者に安全な食品を提供することを目的とした規格。今回紹介する健康食品OMEに大きく関わってきます。
ISO 45001 (労働安全衛生マネジメントシステム)
労働安全衛生パフォーマンスの向上、労働に関連する負傷及び疾病の防止、及び安全で健康的な職場の提供を目的とした規格
ISO 27001 (情報セキュリティマネジメントシステム)
情報セキュリティのリスクアセスメント及びリスク対応、情報セキュリティマネジメントシステムの確立・維持・継続的な改善を目的とした規格
ISO 13485 (医療機器・体外診断用医薬品マネジメントシステム)
医療機器産業において製品・サービスの規制に対応し、リスクを低減することを目的とした規格
他にも数多くのマネジメントシステムがありますが、良く目にするマネジメントシステムは以上になります。
マネジメントシステム規格の認証を受けるには
マネジメントシステム規格には「要求事項」と呼ばれる基準が定められており、認証を受けたい企業はこの要求事項を満たした上で、「認証機関(審査機関)」により審査を受けなければいけません。審査を行い、要求事項を満たしていれば、その企業に対し認証証明書が発行され、一般に公開されます。このような企業側と利害関係のない認証機関により認証を受ける仕組みを**「マネジメントシステム認証制度」**と呼びます。また、この認証機関は日本に約50社あります。これらの認証基準を一定に保つために、認証機関の認定を行う**「認定機関」**も存在します。
健康食品OEMに関するISO規格とは
ここで、健康食品OMEに関わるISO規格について紹介していきます。
製造に関するマネジメントシステム規格
- ISO 9001 (品質マネジメントシステム)
- ISO 14001 (環境マネジメントシステム)
健康食品の製造を行う工場においては、品質の維持や環境への配慮は必ず配慮しなければいけません。これらのマネジメントシステムが構築されているかを確認できる規格として、ISO 9001、ISO 14001の2点が挙げられます。これらの規格は健康食品に限定したISO規格ではなく、基本的に何らかの製品を製造する企業におけるマネジメント規格となります。
ISO 22000/FSSC 22000 (食品安全マネジメントシステム)
2018年に食品衛生法が改正されHACCPの導入が制度化されました。その後ISO 22000とFSSC 22000の2つが定められより厳格なマネジメント規格となっています。
・ISO22000の特徴
品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001と食品安全管理の手法であるHACCPを内包したものが、食品安全マネジメントシステムISO22000という国際規格です。
ISO22000の対象となるのは食品の製造過程だけではなく、農業や漁業といった、食品の製造前段階に関わる事業や小売業などの製造後に関わる事業についても対象は広がっています。
つまり、食品に関連する事業者を対象とした国際規格となっています。
・FSSC22000の特徴
SO22000にISO/TS 22002-1又はISO/TS 22002-4を組み合わせたものになっており、大まかな内容としては内容としては、サービスの管理、製品のラベル付けなどが挙げられます。国際食品イニシアチブが示している食品安全マネジメント、適正規範、HACCP又はHACCPに基づく要求事項を満たしているのがFSSC22000と言われています。
まとめ
ISOの基本的な考え方や種類、健康食品OMEに関わるISO規則を紹介しました。今までISOって良く分からなかった人でも少しは理解出来たのではないでしょうか。健康食品は実際に口に入れるものなので、このような規則を守っている企業は選定する指標にもなると思います。是非参考にしてみて下さい。