錠剤やカプセル剤に比べ、幅広い年代が取り入れやすいのがペーストタイプの健康食品です。喉越しが良い製品も多く、嚥下機能が低下している高齢者などにもピッタリの健康食品といえるでしょう。ペーストの利点を生かしたさまざまな健康食品の中から、食べやすく続けやすいお気に入りのものを見つけてみてくださいね。
ペーストの定義とは
そもそもペーストとは、肉や魚、野菜などをすりつぶした状態を指す言葉です。レバーペーストやチキンペーストなどはメジャーであるため、想像しやすい方も多いでしょう。高齢者用の食事やベビーフードにも、ペースト状の製品が多く見られます。
健康食品におけるペーストの場合、多くは1包ずつ包まれ、手軽に摂取できる状態で販売されています。固形物が飲み込みにくい場合でもするんと喉を通ってくれるため、これまでにも多くの種類が開発・販売されているタイプでもあります。
少々分かりにくいのが、「ゼリー」「ジュレ」「ピューレ」などとの違いではないでしょうか。それぞれ微妙に異なる意味合いがあり、健康食品においても配合できる成分や製法が異なってきます。
- ゼリー:英語でゼラチンを溶かして固めた菓子の意。比較的硬めで弾力のあるものを指すことが多い。
- ジュレ:フランス語で冷やし固めたものの意。水分を多く含み、液状に近いものを指すことが多い。
- ピューレ:フランス語で肉や野菜を煮て裏ごししたものの意。半液体状であり、比較的水分が多い。
- ペースト:ピューレに比べ水分量が少なく、より多くの食材を必要とする。
つまり、同量の製品を摂取した場合は、ピューレよりもペーストの方が濃厚であるといえます。有効成分を効率的に摂取したい場合も、ペーストがおすすめといえるでしょう。
ペーストのメリット・デメリット
一見摂取しやすくメリットが豊富に見えるペーストですが、いくつかのデメリットも存在します。うまくメリットを生かしつつ、デメリットに対処できれば、多くの人が注目するペーストタイプの健康食品が出来上がるでしょう。製品の開発の際は、どんな成分を配合するのかはもちろん、ターゲットとなる年齢層や性別、生活スタイルなども念頭に置いて検討してみてくださいね。
メリット
ペーストタイプの健康食品には、さまざまなメリットがあります。
- 口内や喉、胃などの粘膜に刺激を与えにくい
- 水分を多く含むため、水なしでも飲み込める
- 製品の味を感じやすい
- 口当たりがなめらか
- 錠剤が苦手でも飲める
- スティックタイプで持ち運びやすく、サッと取り出して短時間で摂取が可能
- お腹に溜まりやすい
- ゼラチンで固めなくて良いため成分を多く摂取できる
- 自然系甘味料を使える
- 薬や錠剤タイプのサプリメントなどを多用しており、これ以上錠剤の数を増やしたくない人にもおすすめ
- パッケージやゼリーの見た目が可愛らしく、SNSなどで広まりやすい
まず第一に、錠剤やカプセル剤は有効成分のみを凝縮させてあるため、消化器官に刺激を与える可能性があります。常用している医薬品がある場合などは特に、胃腸を労わるためにもペーストやゼリー状などの健康食品を選ぶと良いでしょう。うまく飲み込めず、錠剤が苦手だという方にもおすすめです。
また、ゼリーと異なりゼラチンで固める必要がないため、同量のゼリーに比べ有効成分を多く配合できるのもペーストの特徴です。1包1包小分けでパッキングするため、保存料等を多く使わずに済むのも大きいですね。錠剤はもちろん顆粒や粉末に比べ、フルーツなどさまざまなフレーバーを楽しめるのもポイントです。
また、美容成分を多く含むものなどは、比較的若い世代が手に取りやすいようオシャレなパッケージをデザインしなくてはなりません。1包ずつ持ち運べばバッグの中でかさばることもなく、オフィスや学校でも摂取しやすいですね。SNSをきっかけに流行し、一躍有名商品となる可能性も出てきますよ。
デメリット
一方、ペーストタイプのデメリットとして考えられるのは以下のような点です。
- 液体やドリンクタイプに比べ、ある程度の嚥下力が必要
- 見た目を工夫し、摂取意欲を高める必要がある
- 甘みを意識したフレーバーの場合、糖分が多くなる可能性がある
- 手軽に摂取できることから、1日の摂取目安量を超える可能性がある
高齢者の栄養補給を目的とする場合、完全な液状の製品に比べある程度の飲み込む力が必要となります。意図せず流し込んでしまうと誤嚥の危険性が高まるため、声がけをしながらゆっくりと上げなくてはなりません。
また、素材の色を活かした製品の場合、一般的な食事と比べて「食べる気がしない」と感じてしまうのも否定できません。透明度を高めたり、果汁などの繊維を混ぜ込んだりと、「流動食」のイメージを払拭する工夫も必要といえるでしょう。
また、美味しく手軽に摂取できると謳った製品の中には、消費者のイメージよりもはるかに多い糖分が含まれているものも。美容目的で摂取していたのに、実はカロリーオーバーになっていた……ということのないよう、目的に応じて成分を調整しなくてはなりません。
ペーストタイプの健康食品の一例
ペーストタイプの健康食品には、主に以下のような成分が含まれています。
- ビタミン
- ミネラル
- ポリフェノール
- エラスチン
- アミノ酸
- ヒアルロン酸
- ローヤルゼリー
- プラセンタ
- セラミド
- コラーゲン
- ココナッツオイル
- グルコサミン
- 酵素
さまざまな形状の製品が販売されているビタミンやミネラルですが、錠剤が苦手な方にはペーストでの摂取がおすすめです。グルコサミンや酵素は高齢者にとっても欠かせない成分であり、身体の機能を維持するための成分として役立つでしょう。
また、特に多く見られるのは若い世代や女性をターゲットとした美容系の健康食品。肌の弾力を保ち、シワやシミの予防が期待できるヒアルロン酸やセラミド、コラーゲンなどは、特に人気の製品といえるでしょう。錠剤や顆粒に比べて水分が多めに含まれているため、体内での吸収も早く、より効率的に有効成分を摂取できる方法でもあります。
健康食品OEMの大まかな発注手順
健康食品OEM、つまり「受託製造」を検討する場合、いくつかのポイントに注意する必要があります。今や大手メーカーだけでなく、中小企業もOEM制を導入しており、受託先にいくつかの依頼が集中することも少なくありません。人気の商品が集中し納期が遅れることのないよう、あらかじめ理想とするスケジュールについて書面を作成しておくと安心です。受託先のキャパシティを理解するため、どの程度の製造ラインを有しているかなどのキャパシティもおさえておきましょう。
また、どれだけ付き合いの深い受託先であったとしても、同時に複数の企業に相見積もりを取ることは必須です。中でも企業によって価格に差が出やすいパッケージや容器、梱包材などの価格は要チェック。契約前に確認し、考慮した上で発注書を作成しましょう。
その他健康食品OEMの大まかな発注手順は以下の通りです。
- コンセプト、内容、成分などの話し合いとレビュー
- サンプリング
- 一度持ち帰りサンプルのチェック
- 最終的な仕様やデザイン、単価などを決定
- 正式発注
- 製造開始
- 検査、検品を経て納品
まとめ
幅広い年代におすすめのペーストタイプの健康食品。パッケージやフレーバーを工夫し、思わず手に取りたくなる製品を開発しましょう。どんな健康食品でも、1度の摂取で驚くべき効果を発揮することはありません。消費者の「継続したい」という気持ちを育てることも、健康食品における重要なポイントといえそうです。