オリジナルで健康食品を製造・販売するにあたって許可や資格は必要なのでしょうか?結論から申しあげると自社での健康食品開発には、最寄りの市町村にある保健所から「菓子製造業」「調味料製造業」「粉末食品製造業」などの許可を受ける必要があります。さらに取り扱う健康食品の種類によっては食品衛生法にもとづいた営業許可・食品衛生責任者の資格が必要となる場合があります。
今回の記事では健康食品の開発・販売・輸入に関する法律や、必要な資格・許可を紹介します。さらにそれらの許可取得・製造・販売、全てを一括で委託し、少ない手間と低いコストで健康食品事業を開始できる健康食品OEMについて紹介していきます。
健康食品を販売に関わる法律
健康食品は日本の法律上あくまでも食品の一部であるため、製造から表示事項まで食品と同じ法律が関係してきます。
以下で健康食品を販売に関わる法律をまとめました。
- 食品衛生法:飲食物、あるいは飲食によっておこる衛生上の危害を防止する目的でつくられた法律
- 食品表示法:消費者が安全で身体によい食品をわかりやすく選べるように、食品の安全性や機能性に関する表示について定めた法律
- 健康増進法:国民への栄養改善や健康の維持・増進をはかるための法律
- 医薬品医療機器等法:医薬品や医療機器および再生医療等製品の製造から販売までに関して定めた法律
- 景品表示法:消費者の商品選択の判断を狂わせる、行き過ぎた景品の提供や、誇大な、また虚偽の表示宣伝を禁止する法律
- 特定商取引法:トラブルが生じやすい特定の取引類型を規制対象とし、消費者の利益を守るために制定された法律
出典:コトバンク
食品に関する法律は度々改正され、中でも「食品衛生法」は食品の偽装・不当表示や中毒事件などが相次いだため、2018年6月に大改正されました。
以下で「食品衛生法」大改正による健康食品製造への主な影響を紹介します。
- HACCP(ハサップ=Hazard Analysis and Critical Control)の制度化
HACCPの制度化により健康食品の製造にはHACCP に沿った衛生管理(衛生管理計画の作成、衛生管理の実施状況の記録・保存、食品衛生責任者の設置等)の実施が求められます。
また食品衛生責任者は
① 食品衛生法第 30 条に規定する食品衛生監視員又は第 48 条に規定する食品衛生管理者の資格要件を満たす者
② 調理師、製菓衛生師、栄養士、船舶料理士、と畜場法第 7 条に規定する 衛生管理責任者又は第 10 条に規定する作業衛生責任者、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第 12 条に規定する食鳥処理衛生管理者
③ 都道府県知事等が行う講習会又は都道府県知事等が適正と認める講習会を受講した者
以上のいずれかに該当する人のみなることが出来ます。
- 健康被害の報告義務
企業の食品安全に対する意識を高めることを目的とし、食品で健康被害が出た場合、行政への報告が義務となりました。食品販売について、異物混入や製造管理が適切でなく含有量が均一でないこと、科学的根拠に基づかない摂取目安量が設定されていることなどにより、健康被害が生じたケースがあったのが背景になっています。
健康食品製造者は、商品を自主回収する際に意図や目的、取り組み状況など、行政へ報告しなければならず、その報告内容は厚生労働省のWebサイトなどで公表されます。これまでの報告の一例としてプエラリア・ミリフィカ(バスアップをうたう商品)を含む健康食品により、5年間で223事例の健康被害が報告されました。以上の改正により、健康食品の規制が強化されたため、2018年6月の「食品衛生法」大改正は健康食品販売に大きな影響を及ぼしました。
健康食品の製造・販売・輸入に必要な許可・資格
健康食品の製造・販売・輸入にはぞれぞれ必要な許可や資格が違ってきます。以下で健康食品の製造・販売・輸入に必要な許可や資格をまとめました。
健康食品を製造するために必要な許可
健康食品を自社で製造・販売するためには、商品の形状により必要な許可が違ってきます。
- ソフトカプセルタイプ・CBDオイルなど・・・食用油脂製造業
- カプセルタイプ・・・粉末食品製造業
- ドリンクタイプ・・・清涼飲料水製造業
- お菓子タイプ・・・菓子製造業
- 乳酸菌飲料や乳製品など・・・食品等販売業
以上の製造業を行うためには、製造所を管轄する保健所に営業許可申請を行い、許可を受けることが必要です。また同時に食品衛生法が定めた施設基準に合った施設をつくることも求められます。
※ 各都道府県の条例によりさらに届出や報告が必要な場合もあるので注意が必要です。
健康食品を輸入するために必要な許可や義務
海外から健康食品を輸入する場合、厚生労働省検疫所に「食品等輸入届出書」などの必要書類を提出し、食品衛生法に適合している食品かどうか審査を受ける必要があります。そして審査により検査の要否が決まり、必要ないとされれば「食品等輸入届出済証」が発行されます。また審査に通らなかった場合、輸入した商品は積戻し・廃棄処分にされてしまう上、その費用は輸入者負担になるので注意が必要です。
また輸入販売に関する記録の保存は輸入者の義務となります。
さらに食品衛生法第3条では食品販売事業者は
①食品衛生に関する技術・知識の習得
②使用する原材料の安全性の確保
③自主検査の実施
④その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない
とされており、輸入食品に関しては輸入者自らが食品衛生法に適合していることを確かめ、食品の安全性を確認することが義務となります。
健康食品を販売するために必要な許可
日本国内で健康食品を販売する際、多くは「訪問販売」、「通信(インターネット)販売」、「電話勧誘販売」などの方法が取られるかと思いますが、これらの販売方法は「特定商取引法」の規制対象となります。それにより「氏名等の明示」、「不当な勧誘行為の禁止」、「広告規制」、「書面交付義務」が求められますので注意が必要です。また「特定商取引法」では消費者による契約解除(クーリング・オフ)、取り消しなどを認めているため併せて注意が必要となります。
その他オリジナル健康食品を製造・販売するにあたっての注意点
- 商品の成分についての注意点
オリジナルの健康食品を製造する場合、その商品の成分が「医薬品」とみなされるのか「食品」とみなされるのか厚生労働省が定めた「医薬品リスト」と「非医薬品リスト」を参照し調べる必要があります。またどちらにも記載のない成分は都道府県の薬務課に問い合わせをしなくてはなりません。
- 食品の安全性の確保
健康食品を販売するにあたって、当然ではありますが、商品に「有害・有毒な成分が含まれていないか」「添加物は日本で使用できるものか、基準は満たしているか」を食品衛生法を参照し確認する必要があります。
- 商品の形状。表示についての注意点
日本国内では「医薬品のような形状、または誤認させる形状」をした健康食品を販売することは法律で禁止されており、はっきりと「食品」と謳う必要があります。また「医薬品的な効能・効果の表示」も禁止されており、「疲労回復」や「新陳代謝を促進する」、「便秘気味の方に」などの謳い文句もNGです。
自社で健康食品の製造や販売には資格や許可が必要
今回の記事では健康食品の開発・販売に関わる様々な法律や許可、資格を紹介しました。紹介した許可や資格を取得するほか、健康食品販売には売上を伸ばすためには市場のマーケティング、パッケージデザインなどの販売促進も必須となり、それらを個人・自社で行おうとすると莫大な時間・コストがかかります。
そのため新規事業として健康食品事業を始める場合、許可取得・製造・販売、全てを一括で委託することで、少ない手間と低いコストで健康食品事業を開始できる健康食品OEMを選択することがオススメです。さらに健康食品OEMはすでに知名度のある商品の類似品が作れるため、新規参入でも一定の売上が見込むことが出来ることもメリットのひとつです。
新規事業として健康食品事業を始めようとしている方は、一度健康食品OEMを検討してみてくださいね。