化粧品の広告において、「美白」を謳って商品をアピールしようと考えることは多いですよね。 しかし、薬機法上安易に「美白」と表現をすることはできません。
美白のようなイメージのあるホワイトニングについても同様で、その言葉を使いたいときには気をつける必要があるのです。
本記事では、化粧品・医薬部外品においての「美白」表現についてご紹介します。
化粧品・医薬部外品における美白表現は基本的にNG
薬機法が関係する広告において、「美白」「ホワイトニング」は使うことができません。 化粧品・医薬部外品ともに、広告で謳うことができる効能効果の範囲は薬機法で決められています。 その範囲に「美白」や「ホワイトニング」という効能効果は入っていないため、表現することができないのです。
美白と聞くと、だんだん肌が白くなり、綺麗な状態になれるというイメージする方が多いのではないでしょうか。 実際に美白関連の化粧品において、美白の効果が実際に得られたとしても、「美白を手に入れる」など表現は使うことはできません。
化粧品等の適正広告ガイドラインにおいて、以下のように美白表現が定められています。
E15.0 薬用化粧品・一般化粧品における美白表現の原則 「美白」、「ホワイトニング」等は医薬品医療機器等法による効能効果ではない。従って、こ れらの文字を使用する場合は承認を受けた効能効果や化粧品で定められた効能効果の範囲 で表現し、E15.1及びE15.2に示す場合以外は用いないこと。特に継続して使用しているうち に既に黒い肌の色が段々と白くなる旨を暗示することは認められない。
このように、化粧品・医薬部外品ともに肌が黒い状態から白い状態へと変化する美白表現は認められていないのです。
美白表現が認められる例外
化粧品の広告において、肌の色が白くなる「美白」表現はNGですが、例外として認められている表現があります。
認められるのは、「メーキャップ効果によって美白になる」というケースです。 化粧品等の適正広告ガイドラインにおいても、メーキャップ効果における「美白」表現について以下のように定められています。
1.薬用化粧品・一般化粧品のメーキャップ効果に基づく美白表現 (1)認められる表現の範囲と具体例 a)..メーキャップ効果により肌を白く見せる、またはしみを隠す旨の表現
メーキャップ効果とは?
メーキャップ効果について、以下のように考えられています。
1. メーキャップ化粧品の範囲 ガイドラインにおいて、「メーキャップ化粧品」の範囲は、薬事法第2条第3項で規定する化粧品の定義のうち「容貌を変える効果を主目的として使用される化粧品」であって、以下に適合するものとする。 「ファンデーション類」、「白粉打粉類」、「口紅類」、「眉目頬化粧品類」及び「爪化粧品類」のい ずれかに属するものであって色彩効果を有する化粧品(タルカムパウダー、リップクリーム等の色彩効果を有さない製品は除外する)。 2. メーキャップ効果の範囲 メーキャップ効果とは、「メーキャップ化粧品」による色彩効果を原則とするが、「メーキャップ化粧品」以外の化粧品による「色彩効果以外の物理的な効果」についても、メーキャップ効果を表示し、広告することは事実に反しない限り認められる。
4. メーキャップ効果の具体例 (1) メーキャップ効果の基本的概念 色彩により、覆う、隠す、見えにくくする等の物理的効果であり、事実の範囲内で化粧品の定義の範囲を逸脱しない表現については化粧品の効能効果の範囲に係わらず表示し、広告することを可能とする。
ファンデーションや口紅・アイシャドウなどのメーキャップ化粧品の色彩によって得られる効果がメーキャップ効果となっています。 「肌をみずみずしく見せる」「小じわを目立たなくする」というような表現もメーキャップ効果に該当します。
化粧品で認められている美白表現
化粧品において認められている美白表現は、メーキャップ効果によって白くなるという場合です。 化粧品は、56個の効能効果とメーキャップ効果を謳うことができます。 このメーキャップ効果によって、美白となる場合に美白表現をすることができるのです。
メーキャップ効果による美白は以下のように表現することができます。
- シミ、そばかすを隠すことで、お肌を白く見せます
- お肌のシミを見えにくくカバーして、ワントーン明るくします
このように、メーキャップ効果による美白は表現ができるのです。
医薬部外品において認められている美白表現
医薬部外品においては、化粧品と同様にメーキャップ効果による美白表現をすることができます。 その他にも、承認されている範囲で美白表現をすることができます。
「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」「日やけによるシミ・そばかすを防ぐ」効能効果で承認を得た場合には、この表現を必ず用いて美白表現をする必要があるのです。
メラニンの生成を抑える承認を得た医薬部外品であれば以下のような表現をすることができます。
- 美白ケア※ ※メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ
- この美白化粧品は、メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぎます
日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ承認を得たものは以下のような表現となるのです。
- 美白※
※日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ - 日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ美白化粧品
上記の例のように、美白とセットで承認を得た内容を記載する必要があります。
医薬部外品においても謳える効能効果が決まっているので、謳える効能効果と承認を得た範囲で表現をするようにしましょう。
化粧品・医薬部外品において認められていない美白表現
化粧品・医薬部外品ともに、メーキャップ効果や承認を得た範囲での美白表現ができます。 しかし、認められていない表現も決められているのです。 化粧品等の適正広告ガイドラインにおいて、以下の美白表現は認められないとされています。
1. 肌の色自体が白くなる表現
以下のような肌の色が変わっていく・変わった表現は使えないので気を付けましょう。
- 肌が徐々に白くなるホワイトニング効果
- 使えば使うほど肌が真っ白に
- 驚きのホワイトニング効果
- 地黒で悩んでいる方も美白に
このように、肌の色が白く変化していくような表現はできません。
2. すでにできてしまったシミ・そばかすを無くすことができる表現
実際に、シミやそばかすに悩んでいる人は多くいます。 しかし、すでにできているシミやそばかすを無くすことができる治療的な表現はできません。
以下がその一例です。
- できてしまったシミ・そばかすをなくす
- ホワイトニング効果でシミ、そばかすを残さない
- ○○年間もあったシミがこんなに薄くなるなんて
- 何十年も悩んでいたシミ・そばかすを無くすことができる
- シミをケアして肌を綺麗に
3. 承認された内容を超える表現・色素沈着に関する表現
承認された効果を超える内容や、色素沈着に関する表現もできません。 以下のような美白表現はしないように気をつけましょう。
- 頑固なシミに効く
- ニキビあと、炎症後の黒ずみに
- ニキビあとの色素沈着を防ぐ
- 肘やひざの色素沈着を防いて綺麗な肌へ
- デリケートゾーンの黒ずみに
4. 肌質が変わる・改善する表現
肌質が変わったり、肌質が改善することによって美白になる表現はできません。
- 美白が変われば肌は変わる
- シミ・そばかすの出来にくい肌に
- 肌質改善でシミ・そばかす知らず
- 肌質改善で美白を手に入れる
上記のように、肌質改善やできない肌質になるという表現は使えないので気をつけましょう。
5. 効能効果を保証、最大級・浸透表現、有効性の表現
効能効果を謳うことはできますが、保証することはできません。
- 結果がみえる美白
- シミ・くすみが目立たなくなり美白効果を実感できます
その他にも、以下のように、浸透や最大級・有効性の表現をすることもできないので注意しましょう。
- 美白成分が○倍浸透する美白美容液(当社比)
- 有効性も実証済み。安心してお使い頂けます
- 美白成分〇〇は安心安全です
- 自信を持ってオススメします
- 赤ちゃんにも安心の美白成分
6. 添加剤が有効成分と勘違いする表現
その化粧品に含まれている添加剤が美白に関する有効成分と誤認を与えるような表現をすることはできません。
- ○○美白(○○は添加剤の成分)
- ○○配合、新しい美白の誕生です
- 〇〇が(添加剤の成分)美肌へと導く
7. メーキャップ効果による美白で明確な説明がなく、誤認を与える表現
メーキャップ効果における美白効果との明確な記載がなかったり、離れた場所に打ち消し表示がある場合、治療的な表現など、誤認を与える表現はできません。
- 美白パウダーでそばかすがなくなる
- 美白成分の〇〇で、シミが消える
まとめ
「美白」に関する表現は、細かな規定があるため混同しやすいです。 化粧品・医薬部外品の広告において美白表現を使う際はよく確認し、違反とならないよう注意しましょう。