本記事では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」について解説します。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令を理解するために、まずは、「憲法」、「法律」、「政令(施行令)」、「省令(施行規則)」の違いを理解することからはじめてみましょう。
法律施行令とは、 政令(施行令)のことであり、省令(施行規則)とは違うものです。 まずは、この区別を明確にして、法律の内容について詳しく解説したいと思います。
ぜひ、関連する業務に関わっている方々は一読ください。
政令(施行令)と省令(施行規則)の違い
政令とは、国の規則であり、内閣の出す法令のことです。本来、国に存在している規則は国会でしか作ることができません。ただし、内閣のような行政が決まりを作ることが可能です。(行政立法)
それでも自在に立法が可能ということではありません。 既に憲法、法律においてこの事柄に関しては行政が規則を作ってもいいという項目がある場合において、行政立法を行うことができます。
一方で省令は、それぞれ大臣が出すことができる法令です。
もう一つ、内閣府令というものもありますが、内閣府令は総理大臣が出すことができるものです。
まとめれば、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令は、政令であり内閣が制定します。一方省令があり、それは各府省の大臣が発する命令のことです。
政令(施行令)は、日本国憲法73条6号を根拠としています。そこでは、憲法や法を目的として政令を制定することができますが、法律が罰則についても行政が決めて問題なしとしているケースを除外し、規則違反に対する罰を設けることができないということを取り決めしています。
法律の体系は、いわばピラミッド型をしています。頂点に行くほど大きな力を及ぼすことができます。ピラミッド型の頂点に立つものは、最高法規である憲法です。
次は、国会で採決される法律です。そして次に位置するものが、 政令(施行令)です。省令(施行規則)はその下の位置づけです。次には、告知、通知と続きます。
法律は、見方によっては完全ではないかもしれません。
法律の完全でない部分を政令(施行令)で補います。そして、更に省令(施行規則)が詳細な部分を明確化させていきます。
告示とは、法律の委任を受けて規定するため、違反があった場合法律で決められた罰則に従い罰せられることになります。一方通知は、省庁から都道府県知事などに発せられるもので、 行政同士での助言という意味あいで拘束力を持つものではありません。
法律施行令以前の問題 法律との関わり合い方
平成26年、11月25日に薬事法に大改正があり、施行がされました。
法の内容を一部改正するとともに、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律となりました。(医薬品医療機器等法=薬機法)
薬事法といういい方がされていたのは昭和18年からのことなので、不動の位置にあった法律の名前が改正されただけでも大改正といういい方ができるのではないでしょうか。
なぜここへ来て大改正の必要があったのか、それは時代が要求したともいうことができます。
医薬品医療機器等法の改正ポイントは、医療機器の承認であり、許可に係る規定、医薬品の規定から独立されること、また再生医療などの製品を規制対象として新しく加えること、更に安全性の強化、明確化です。
薬事法とは、医薬品を中心してとらえた法律のことですが、一方では医療機器が存在し、それが医薬品に準じた規制に従っていました。しかし、医学、電子工学などの進歩によって、単に医薬品の用具ではなく医療機器の独立した立場が必要と考えるようになりました。もう、医療機器は医薬品に準じる規定ではとらえきることができなくなったのです。
医薬品医療機器等法によって、医療機器は独立した規制が加わることになり、再生医療など新しい規制が増え、法律はより複雑化したと言っていいでしょう。
また、法律は、制度の根幹となることの取り決めをしています。法令の条文だけではなかなかまだ細かい部分がカバー出来ない問題点を残しています。ですから、細部の部分はプラスα、政令などで補う形となります。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令とは
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令とは、政令であり、法律だけではなかなかカバー出来ない部分を補う法令です。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令は、医薬品医療機器等法と同じ立場のものであり、法律の中で政令に委任するとした重要事項に対しての規定のことです。政令は、閣議で決定されます。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令で具体的にどのような決め事がそれているのか、少しだけ掻い摘んで見てみましょう。
内閣は、薬事法、第二十八条第二項、第三十条第三項、第四十三条第二項、第六十七条第一項、第七十七条第三項、第七十八条第一項、第八十条及び第八十二条に既に存在している規定に従い、政令を発しています。
例えば、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令では、医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売業及び製造業に対して法第十二条第四項の政令で定める期間は、五年とするとあります。ただし、薬局製造販売医薬品の製造販売に係る許可については六年としています。
また、法律施行令では、 製造販売業の許可証の交付等、製造販売業の許可証の書換え交付、製造販売業の許可証の再交付、製造販売業の許可証の返納、製造販売業の許可台帳、製造販売業の許可の失効、製造業の許可の有効期間、製造業の許可証の交付等、製造業の許可証の書換え交付、製造業の許可証の再交付、 製造業の許可証の返納、製造業の許可台帳、 独立行政法人医薬品医療機器総合機構による調査に係る医薬品、医薬部外品及び化粧品の範囲……など、法律の完全でない部分を政令(施行令)が補っています。
まとめ
いかがでしょうか。今回、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令について解説しました。
法令に対してそれほど知識がない方々は、まずは、法と政令(施行令)を一緒のものとして片づけてしまうことがあります。それは間違いです。
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」とともに成り立つことを理解するようにしましょう。
法律用語というものは、国民にわかりやすくするという姿勢には随分欠けているのだと思います。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律と、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令は、どう見ても混同する方々は多いでしょう。
まずは、憲法、法律、政令(施行令)、省令(施行規則)の違いを明確にすることからはじめてみましょう。