今回解説するのは薬機法の「施行規則」についてです。総理府令・省令のことを施行規則と言います。
薬事法施行規則を正しく理解するためには、まずは法体系の全体像も正しく理解するとよいでしょう。
施行規則とは
施行規則の他に施行令というものがあります。 施行規則と施行令の違いを明確にするためには、法全体のピラミッド構造を正しく理解するとよいでしょう。
日本にはさまざまな法令がありますが、誰が制定したのかに違いがあります。 法令の形式には、憲法を頂点として法律、そして、議員規則、最高裁判所規則、政令、総理府令・省令、行政機関である委員会や庁の長官の定める命令という方法が続き、誰が制定するのかによって区別することができます。
政令のことを「施行令」といういい方をし、総理府令・省令は、「施行規則」といいます。
憲法であれば国民がその制定権者です。国民は法律の制定を議員に任せていますが憲法の制定については任せている訳ではありません。 法律の制定権者は国会ということになります。法律は、憲法の次に効力を持つものと考えてください。
更に、議員規則の制定権者は衆議院・参議院です。
最高裁判所規則の制定権者は最高裁判所であり、政令(施行令)の制定権者は内閣となります。 そして、施行規則の制定権者は各省大臣です。施行規則は、それぞれ省の大臣が担当する行政事務について、法律、命令を施行するため、また法律・政令委任に基づいて定めるルールということになります。
また、他の命令に対しては委員会・庁の長官が制定権者となります。
政令(施行令)、総理府令・省令(施行規則)、委員と庁の長官の定める命令全部は、「命令」といういい方をしています。
命令の中でも、総理府令・省令(施行規則)よりも上位の立場にあるものが、政令(施行令)です。
施行規則は、法律また、政令(施行令)の定めに基づくルールの取り決めがされています。 施行規則の内容は、「法律○条の定める○○○○○とは、○○○○○である。」「政令○条の定める○○○○○とは、○○○○○である。」と言った形でまとめられていることが一般的です。
薬機法施行規則とは
これから、医薬品、また医薬部外品、化粧品、医療機器その他、健康食品、ヘルスケア業界に関わる仕事をして行こうと思っている方々にとって薬機法はとても気になる問題です。仕事だけでなく、医療関係に投資しようと思っている方々もいらっしゃることでしょう。
そのような人たちの基盤となるものは薬機法です。
まずは、薬機法の概要を知ることはとても大事です。薬機法とは正確ないい方をすれば、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律のことです。
薬機法には、医薬品、医療機器と言ったもののクオリティーと有効性、また安全性についての取り決め、また、製造・表示・販売・流通・広告などについての細かい取り決めの記載があります。
薬機法は、医薬品や医療機器だけに該当する法律ではなく、ドラッグストアなどで容易に見かける医薬部外品、化粧品などの取り決めもされ、健康食品に対しても範囲が及びます。 健康食品の取扱業務をしたいという方々も、決して薬機法を無視して運営を行うことができせん。
2014年、薬事法改正により名称変更になった
薬機法という名前を聞いて、少し違和感を持つ方々もいらっしゃることでしょう。おおかた薬事法といういい方の方がしっくり来るのかもしれませんが、もともとも薬事法であったものが、2014年(平成26年)11月、名前が変更されて薬機法となり法律が施行されました。
なぜこのような変更が行われたのかもとても気になる点です。そもそも近年、医薬品、医療機器……などに対しての環境が大きく変化したことが原因となっています。再生医療の実用化に対して今後具体的に向きあっていかなければならないでしょう。そのための改正がありました。
改正のポイントは
- 医療機器の承認などについての医療機器の特性を踏まえたシステムの創設
- 再生医療など製品の新設
- 安全性に関しての規制の強化
という点です。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などに対して今までも規制が存在してそれに従い業務をしなければならなかったのですが、それだけの範囲に留まらず今後医薬品に関わる方々はより懸念材料などが増えたということができます。
2019年、薬機法の一部が改正
2019年、薬機法の一部が改正されました。
医薬品、医療機器等は、無論利用する国民のニーズをしっかり受けとめる必要があり、安全性、スピード、効率性を考えた提供がされる必要があります。 また、それぞれの方々が住み慣れた場所において、安心して患者さんが医薬品を使用することができるように環境を整えることも大事なポイントです。
そのようなことを踏まえ、一部が改正されることになりました。
医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するための開発から市販後までの制度を改善し、住み慣れた地域において患者さんが安心して医薬品を使うことができるようにするため薬剤師や薬局のあり方の見直しました。
また、信頼確保のための法令遵守体制等の整備をし、医薬品等行政評価・監視委員会の設置、採血の制限の緩和などが改正のポイントです。
そして、信頼確保のための法令遵守体制等の整備という項目によって、2021年8月からは、課徴金制度が導入れることになりました。
薬機法施行規則によって守られている医薬品の安全性
医薬品は誰かがしっかり管理しなければいい効果を及ぼすだけでなく、毒薬にもなりうるものです。薬機法施行規則は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の品質・有効性および安全性をキープすることを目的としている法律です。
ここでいう医薬品とは、日本薬局方が扱っているものであり、人たち、また動物の疾病の診断、治療また予防に使用されることが目的とされている物、また、人、動物の身体の構造や機能に影響を及ぼすものです。
そして、医薬品の定義の次に医薬部外品の定義があります。おおかた、医薬部外品は人体に対して及ぼす影響の軽いものに対して言います。
また、薬機法では化粧品にも定義づけがされています。化粧品は人たちを清潔に、美しく、魅力的にするものであり、人体に対する作用が緩和なものである必要があります。
薬機法に従えば、口紅やファンデーション等のメイクアップ製品や化粧水や美容液などのスキンケア製品だけでなく、シャンプー等のヘアケア用品だったり歯磨き製品なども化粧品に該当します。また、薬機法上では医薬部外品は化粧品とは別の規制を受けることになります。
更に薬機法では医療機器も定義づけしています。医療機器は人、動物の疾病の診断、治療、予防に使用されること、人、動物の身体の構造、機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具のことを言います。
薬機法によって、広告も規制され、安易に虚偽、または誇大な記事を禁止しています。
まとめ
いかがでしょうか。今回、薬機法施行規則について解説しました。
まずは、施行規則の法的位置づけを理解していただけたかと思います。
医薬品など扱う人たちの基本に存在しているものは、薬機法施行規則です。薬機法施行規則を正しく理解しなければ間違った方向へとどんどん進んでしまうことでしょう。
薬機法がなければデタラメな医薬品を効果があると広告を流し、とにかく売ろう!という業者が競争しあってしまうでしょう。
医薬品とは、決してそのようなものであってはならないしっかり法律で管理されるべきものです。
医薬品などに関わる方々はそのような意識をしっかり持ちましょう。