サプリメントを含む健康食品や雑貨で「生理痛(PMS)の症状を改善させる」という広告表現を使用すると、医薬品的な効能効果を標榜しているとして薬機法違反にあたります。
また、消費者に誤解を与える広告表示(優良誤認表示)として景表法違反とされる可能性もあるため注意しましょう。
本記事では、生理痛(PMS)に関する広告表現の適切な使い方について解説します。
健康食品や雑貨の広告制作に関わる方は、参考にしていただければと思います。
健康食品や雑貨の広告で生理痛(PMS)の標榜はNG
サプリメントを含む健康食品や雑貨で「生理痛が気になる方に」という広告表現を使用すると、医薬品的な効能効果を標榜しているとして薬機法違反にあたります。
薬機法によると、医薬品や医療機器とは、病気や症状の治療や予防を目的としたもの・身体機能の変化を目的としたものと定義されています。
第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
(薬機法第2条より引用)
サプリメントは、法律上健康食品に定義されているため「医薬品」ではなく「食品」です。
つまり、「生理痛(PMS)を和らげるサプリメント」などの広告表現は、虚偽広告や未承認の医薬品の広告として薬機法違反となります。
第四条 この法律で食品とは、全ての飲食物をいう。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない。
(食品衛生法第4条より引用)
また、これらの広告表現は景表法における「優良誤認表示」にあたる可能性もあるため、注意が必要です。
優良誤認表示とは、その製品が実際よりも著しく優れているとして、一般の消費者に誤解を与える広告表示を意味しています。
(不当な表示の禁止)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
(景表法第5条より引用)
「女性特有の悩みをお持ちの方に」なら使用OK
健康食品や雑貨の広告表示には、「女性特有の悩みをお持ちの方に」などのサポート表現を使いましょう。
また、「柔らかい」「香りがいい」などの使用感についての広告表現も認められています。
ただし、サポート表現に身体の部位を表すワードを合わせる場合は不適切な広告表現とみなされるため、注意が必要です。
美容機器の広告でも医療機器と同じ効能効果は使用NG
マッサージ用品などの美容機器の広告において、医療機器と同じ効能効果があるような表現は認められていません。
また、腰痛や肩こり、疲れなど、身体の不調や症状を表すワードを使用することも禁止されています。
生理痛やPMSも「身体の不調」に該当するため、使わないようにしましょう。
10 美容・健康関連機器の医療機器的効果についての表現の禁止
「医薬品等適正広告基準」に基づいた医療機器的効果の表現はできない。
医師又は歯科医師の治療若しくは医薬品又は医療機器でなければ一般的に治癒が期待できない疾患について、美容・健康関連機器を使用することで改善等が期待できるような広告はしない。【使用できない用語】
「腰痛が良くなる」「慢性病に効果がある」「疲れが取れる」「肩こりに良い」「癌に効果がある」「よく眠れる」「便秘に良い」「血行に良い」「血行が良くなる」「高血圧」「低血圧」「アトピー性皮膚炎」「痩せることができる」「脂肪が減る」「マッサージ効果がある」等々
(家庭向け美容・健康関連機器等適正広告表示ガイドより引用)
また、アンチエイジングやデトックスなどのワードを使用した場合も、「美容効果の範囲を超えた表現」とされるため、不適切な広告表現に該当します。
(7) 本来の効果等と認められない表現の禁止
美容効果等の範囲を超えた表現はしないこと。【使用できない用語】
「若返り」「アンチエイジング」「老化防止」「デトックス」「代謝の向上」「脂肪燃焼ができる」「シワが消える」「美白」「リフトアップ」「筋肉を肥大させる」等々
(家庭向け美容・健康関連機器等適正広告表示ガイドより引用)
健康食品での違反事例
健康食品広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。
- 医薬品的な効果効能があるような表現(治療、治る、改善、予防)
- 身体機能の変化についての表現(女性ホルモン同様の効果、体の不調を軽減、体質改善)
- 特定部位を表す表現(女性ホルモン、自律神経、血液)
- 症状や病名の記載(生理痛、PMS、更年期障害、イライラ)
- 用法用量の指定(夕食後にお飲みください、1日1回必ずお飲みください)
- 不安を煽る表現(病気の信号ですよ、異性に嫌われる、このままでいいの?)
- 安全性の保証(安心安全、問題なし、副作用の心配なく)
- その製品を使うだけで良いといった表現(飲むだけで、病院いらず、我慢せずに)
- 最大級表現(最高、最大、最高峰、日本一)
- 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師の推薦、芸能人がおすすめ、国の基準)
- 他社を誹謗中傷するような内容(他社製品よりも優れて、従来よりも)
健康食品広告での使用が認められる表現
健康食品の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
- サポート表現(女性特有の悩みをお持ちの方に、女子に不足しがちな栄養素を補給)
- 使用感の表現(飲みやすい、爽やかな香り)
使用には注意が必要となる表現
身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGです。
- 女性美のために
- 健康美人
- 女性特有の不調
健康食品広告での言い換え表現例(参考)
健康食品広告でについてについて表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。
これらの表現例を健康食品の広告を作成する際に参考にしてみてください。
生理痛(PMS)に関する表現を言い換えたい時の具体例
NG:生理痛が気になる方に
OK:女性特有の悩みをお持ちの方に
NG:女性ホルモン同様の効果
OK:女性らしさを出す
NG:症状が改善しました
OK:実感が得られました
美容機器、雑貨での違反事例
美容機器や雑貨広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。
- 医薬品的な効果効能があるような表現(治療、施術、改善、予防)
- 身体機能の変化についての表現(女性ホルモン同様の効果、体の不調を軽減、体質改善)
- 特定部位を表す表現(女性ホルモン、自律神経、血液)
- 症状や病名の記載(生理痛、PMS、更年期障害、イライラ)
- 用法用量の指定(毎日5分だけ、就寝前にお使いください)
- 不安を煽る表現(このままでいいの?、病気の信号ですよ、異性に嫌われる)
- 安全性の保証(安心安全、大丈夫、副作用の心配なし)
- その製品を使うだけで良いといった表現(使うだけで、何もしなくても、病院いらず)
- 最大級表現(最高、最大、日本一、世界初)
- 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師推薦、芸能人がおすすめ、大学教授が承認)
- 他社を誹謗中傷するような内容(他社製品よりも優れて、従来よりも)
美容機器広告での使用が認められる表現
美容機器や雑貨の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
- サポート表現(女性特有の悩みをお持ちの方に、いつも笑顔でいたい)
- 使用感の表現(着けやすい、ぴったり、肌触りの良い)
使用には注意が必要となる表現
身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGです。
- 女性らしさ
- 健康美人
- 女性特有の不調
美容機器、雑貨の広告での言い換え表現(参考)
美容機器、雑貨などの広告で生理痛(PMS)について表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。
これらの表現例を健康食品の広告を作成する際に参考にしてみてください。
生理痛(PMS)に関する表現を言い換えたい時の具体例
NG:生理痛が気になる方に
OK:女性特有の悩みをお持ちの方に
NG:女性ホルモンを出す
OK:女性らしさを出す
NG:症状が改善しました
OK:実感が得られました
まとめ
生理痛(PMS)は、多くの女性が抱える悩みとして知られています。
しかし、サプリメントやマッサージ用品を使うだけで生理痛(PMS)を改善できるような広告表現は、薬機法や景表法に抵触するため注意が必要です。
これらの広告を制作する際は、「女性特有の不調の方に」などのサポート表現に言い換えを行いましょう。
薬機法や景表法の規制を把握せずに、健康食品や雑貨の広告を作ることはとても危険です。
法律やガイドラインで定められた範囲をしっかりチェックし、魅力的でありながら適切な広告を目指しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますようお願いいたします。