エステサロンにおいて、ブライダルメニューや痩身メニューの他に人気がある『小顔矯正』。 広告において小顔矯正に関する表現で、景品表示法から措置命令が出された事例があることを知っていますか? 小顔矯正において措置命令が出された件数は10件以上もあります。
広告を扱う上で知らなかったでは済まされない景品表示法。どのような言葉が違反になるのか、実際の違反件数などを詳しく解説します。
小顔矯正のメニューがあるエステサロンの方は必見です!
小顔矯正の広告表現には注意が必要
小顔矯正はエステサロンの中でも人気のメニューの1つですよね。 施術後に小顔になる効果が実際にあったとしても、表現によって景品表示法の違反となることがあります。
違反となるのかどうかのポイントは広告の裏付けとなる根拠があるかどうかです。 裏付けとなるデータや資料があり、客観的に見て実証されていると認められた場合には問題はありません。しかし、表示している内容の根拠を示しても認められなければ違反となってしまうのです。 例えば「骨を動かして小顔に」という表現をした場合には、骨が動く根拠を示さなければならないということになります。 景品表示法の根拠においては以下の2つが重要になります。
- 第三者による調査や専門家の見解などの客観的に立証されたデータなどの資料であるか
- 表示されている内容の効果や結果が資料で実証できるか
エステサロンで骨を動かして小顔に…という表現の根拠が実証できるかどうかが大切なのです。お客さまの声を提出した企業もありますが、お客さまの声は根拠としては認められていませんので気を付けましょう。
エステサロンでの小顔矯正において違反となった広告表現・違反件数
小顔矯正で実際に措置命令が出された表現や件数を紹介します。措置命令が出された表現を使っている方は、すぐに変えるようにしましょう。
エステサロンにおける小顔矯正の違反表現
エステサロンの広告において、以下の表現が措置命令を出されたものになります。
- 1回の施術で効果を実感
- 1回の施術でマイナス○㎝
- 即効性と持続性
- 優れた技術
- 高度な技術
- たった1回で
「1回の施術で」「たった1回」というような回数が少なくて済む表示は違反となっているので使わないようにしましょう。技術に関しても、優れていることや高度な技術などの技術を褒めることは避けるのがオススメです。 その他にも、以下のように骨に関する表示が違反となっています。
- 頭蓋骨を調整
- 骨を直接動かします
- リンパなどを圧迫して骨をあるべき位置に戻す
- エラ骨を押し込む
- 頭蓋骨のつなぎ目を正しい位置へ
- ダイエットをしても小顔には限界がある。その限界をなくして理想の小顔に
- 骨のゆがみを調節して小顔になる
- 骨に直接アプローチ
骨を調節・押し込む・戻すなど、骨に関する表示で違反となっていることが多いです。骨を動かし矯正して小顔効果を得るという施術は、エステサロンではできないと消費者庁などは考えていることがわかります。これらのように骨に関する表現は、広告で使わないようにしましょう。
エステサロンにおける小顔矯正の違反件数
次に、小顔矯正で違反となった件数を紹介します。 景品表示法の管轄は消費者庁になりますが、消費者庁だけではなく公正取引委員会や、都道府県でも措置命令を出すことができる仕組みになっています。都道府県なども措置命令を出せるので、監視されている目が多いのが現状です。
それでは、今までに措置命令が出された都道府県や件数を見ていきましょう。 小顔矯正で15社に措置命令が出されています。
- 2019年 東京都(2社)
- 2019年 静岡県(1社)
- 2016年 消費者庁(9社) 【東京都:4社、大阪府:3社、福岡県・長崎県:1社ずつ】
- 2016年 広島県(1社)
- 2013年 消費者庁(1社)
- 2012年 消費者庁(1社)
2016年には、9社まとめて措置命令が出された事例もありますね。措置命令が出されると、消費者の方に対して違反していた事実を告示するようにと指導が入るのでお客様からの信頼も失いかねません。 エステサロンでの小顔矯正の広告において、違反となった表現などを知っておき、そのような表現は避けるようにしましょう。
景品表示法は不当な表示を取り締まる法律
景品表示法は、「不当景品類及び不当表示防止法」が正式名称となります。景品表示法の第一条において制定された目的が示されています。
第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
不当な景品や表示による消費者の誘引を防止、一般消費者が不利を被らないため保護することを目的としています。
景品表示法における不当表示とは?
景品表示法での不当表示とは、優良誤認・有利誤認・内閣総理大臣が定めたものの以下の3つに分けられます。
- 優良誤認(実際に得られるサービスや効果よりも良く見せること)
- 有利誤認(価格などの取引をするさいに実際よりもお得だと見せること)
- 内閣総理大臣が定めたもの
- 無果汁の清涼飲料水等
- 商品の原産国
- 消費者信用の融資費用
- 不動産のおとり広告
- おとり広告
- 有料老人ホーム
エステサロンの小顔矯正における広告は、前章で紹介をした違反の表現を使うと「優良誤認」に当たります。
景品表示法で違反をすると?
消費者庁などの調査が入る理由として、同業者からの告発がほとんどです。
景品表示法で告発や消費者からの情報提供などがあると、消費者庁や都道府県は調査に入ります。そこでは弁明の機会が与えられ、ここで根拠を示す必要があるのです。資料などを提出しても根拠だと認められない場合には、措置命令が下される流れになります。 消費者庁などのホームページにて事業社名や違反内容が報道されるので、社会的信用をなくすことになるので特に気をつけなければならない法律です。
措置命令は、以下の内容が言い渡されることが多いです。
- 表示内容の訂正
- 消費者へ景品表示法に違反していたことを知らせる
- 再発防止策の実行
- 従業員への再発防止策の周知
景品表示法における課徴金制度
景品表示法では措置命令の他に、課徴金制度も取り入れており、第八条に制定されています。
第八条 事業者が、第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。以下「課徴金対象行為」という。)をしたときは、内閣総理大臣は、当該事業者に対し、当該課徴金対象行為に係る課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に百分の三を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、当該事業者が当該課徴金対象行為をした期間を通じて当該課徴金対象行為に係る表示が次の各号のいずれかに該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき、又はその額が百五十万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
総売り上げの3%分が課徴金となりますが、総売り上げが150万円未満の場合や相当の注意を払っていた場合などは対象外とされています。課徴金に関しては、消費者庁に権限があり都道府県は納付命令を出すことができません。 措置命令だけではなく課徴金が課せられる可能性もゼロではないため、日頃から広告の表示については注意しておくことがおすすめです。 エステサロンで小顔矯正の広告を扱うさいには、実際に措置命令が出された表現などを知っておくことが大切です。