商品をより多くの消費者に知って頂くために欠かせない広告ですが、広告ひとつで消費者がその商品をどう感じるか、どれだけ多くの方に購入してもらえるか、全く変わってきます。
インターネットやチラシで、文字だけをつらつら書いた広告ではどんなに良い商品でも、消費者に「購入したい!使ってみたい!」と思ってもらうことはできません。
商品の良さをより知ってもらうためには図面や、ビフォーアフター等の写真をうまく活用することが大事なのです。
では、広告に図面や写真等を入れる際の注意点はなんでしょうか。
化粧品と医薬部外品に関しての薬機法と景表法についても解説していきます。
薬機法とは何か?
薬機法の正式名称は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。
品質と有効性および安全性を確保するため、製造から販売、市販後の安全対策まで一貫した規制を行い定められている法律です。
昭和35年に現在の法体系として制定された薬事法が、平成25(2013)年11月に改正・公布され、平成26年11月に施行され、その名称が現在の「薬機法」に変わりました。
対象となるものは以下の通りです。
- 医薬品(風邪薬、鼻炎薬など)
- 医薬部外品(うがい薬、日焼け止めなど)
- 化粧品(化粧水、乳液、ファンデーション、口紅、石けん、マニキュアなど)
- 医療機器(コンタクトレンズ、救急絆創膏、心臓ペースメーカ、CT、レントゲン装置など)
- 再生医療等製品(培養皮膚、 培養軟骨など)
中でも医薬部外品・化粧品とは何か?詳しく解説!
・医薬部外品
「人体に対する作用が緩和なもので、機械器具等ではないもの」と定義されています。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」により規制されているため、国内で製造した医薬部外品を販売・授与するためには、通常、医薬部外品製造販売業許可及び医薬部外品製造業許可が必要です。
・化粧品
「体を清潔にしたり、見た目を美しくする目的で、体に塗布等する」ものです。
景表法とは何か?
景表法(景品表示法ともいう)の正式名称は、「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。
第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守る法律です。
化粧品と医薬部外品の使用できる広告表現
ネットや街中で見かける広告には過激な表現が使われていることがよくありますが、薬機法や景表法の他にも、広告表現には決まりがあります。
化粧品と医薬部外品の効能や効果に関して誇大な広告をしてはいけません。
第十章 医薬品等の広告
(誇大広告等)第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
NG表現
・化粧品等の成分及びその分量又は本質等について、例えば成分が動物由来のものを植物成分としたり、又は「高貴成分配合」、「デラックス処方」等の表現は行わないようにしましょう。
・医薬品等適正広告基準には「医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならない」と定められている通り、化粧品の広告において、他社製品と比較した表現をすることもNGです。
広告に図面や写真等を入れる際の注意点は何か?
使用前後に関わらず、図面、写真による表現については、承認等外の効能効果等を連想させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められません。
これらに該当しない図面、写真等について、効能又は安全性の保証に抵触しない場合は原則認められます。
(イラストに関しても、イラスト自体はOKですが、製品の効果として認められない範囲のものを示している場合は、NGです。)
なお、使用前後等の比較に使用される写真は、同一条件で撮影されたものであり、作為的な操作が加えられていないものでなければなりません。
また、使用条件等を付記する場合は、注意が必要です。
認められる表現
次のようなケースの場合、ビフォーアフターを使うことが認められると考えられています。
・汚れた肌や洗浄後の肌の状態及びこれらの比較など
・乾燥した肌や保湿された肌の状態及びこれらの比較など
・フケがある頭皮やシャンプー使用後の清浄な頭皮の状態及びこれらの比較など
・「制汗」が承認効能である腋臭防止剤において、無塗布の腋や腋臭防止剤を使用した腋の状態及びこれらの比較など
・メーキャップ化粧品やヘアカラーでの着色・染毛効果を示す表現
(「二重のりでの二重メイク」「ファンデーションでシワを隠します。」などメーキャップによる物理的効果を表現している画像等)
認められない表現
次のようなケースの場合、ビフォーアフターを使用できないとされています。
これらは薬用化粧品についての具体例ですが、いずれも使用後ある程度の期間が経ってからでないと効果がみえないものとなっています。
つまりその化粧品の効果として、シミ・ソバカスを防ぐなど「予防」の効果が認められているものであり、予防の効果はビフォーアフターの写真では表現することができないと考えられているため、禁止となっています。
このように、
効能効果の範囲内であっても予防についてはビフォーアフターの写真として利用できないこととされています。
・「乾燥による小ジワを目立たなくする」効能を表現する場合。
・「メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」や「ひび、あかぎれを防ぐ」等の予防的効能を表現する場合。
いずれも使用後ある程度の期間が経ってからでないと効果がみえないものとなっています。
つまり、その化粧品の効果として、シミやソバカスを防ぐなど「予防」の効果が認められているものであり、予防の効果はビフォーアフターの写真では表現することができないと考えられているため、禁止となっています。
このように、効能効果の範囲内であっても予防についてはビフォーアフターの写真として利用できません。
まとめ
本記事では、広告に図面や写真等を入れる際の注意点をお伝えしました。
よくネットやチラシなどで「このクレンジングで、こんなに毛穴の黒ずみが取れました!」とマイクロスコープでの肌の状態を撮影したビフォーアフターの写真等を使った広告がありますが、こうした写真や図面を入れる際には決まりがあるので、注意しましょう。
他社も決まりに反した写真を使っているからと、ルールを無視したビフォーアフターの写真などを使い、過激な広告を打ち出してしまうと、課徴金が課せられてしまうケースも発生しています。
広告のルール違反は、会社の信用問題にも関わりますので、法律を守りつつ、消費者がどう感じるかを意識していきましょう。
広告に図面や写真等を入れる際の注意点や、化粧品と医薬部外品に関する薬機法と景表法関しては是非本記事を参考にしてみてください。