エステサロンや美容室において「マッサージ」という表現を使用する際は注意が必要です。
意識せず広告などに使用していると「知らない間に法律違反を起こしてしまう」なんて可能性もあります。
しかし「実際にどのような場面・表現」が法律に抵触する可能性があるのか分かりづらいですよね。
本記事ではそういった方のために、薬機法のエビデンス確認を行った著者がマッサージを扱う上での注意点などを解説していきます。
ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
マッサージの定義
実際に「どういった条件のものがマッサージとされているのか?」という条件や定義を確認していきましょう。
厚生労働省が公表している資料を参考にすると、一般的にいわれるマッサージにあたる「あん摩マッサージ指圧術」に関して、下記のように言われています。
・あん摩マッサージ指圧術とは、徒手により、あん摩、マッサージ、指圧の各手技(なでる・押す・揉む・叩くあらゆる行為)を用いて、機械的刺激を生体に加え、生体の変調を調整し、疾病の治療や保健の目的を果たす施術です。
出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000858705.pdf
これだけだと「どこまでがマッサージ?」と違いが分かりずらいかもしれません。「リラクゼーション」や「エステ」などとマッサージは区別できるものなのでしょうか。
実は明確に他と違うのは「マッサージ」は国家資格を持っている方のみできるということです。「あん摩マッサージ指圧師」という資格を持っている方のみが本当に「マッサージ」と呼べるものを提供できるのです。
リラクゼーションなどイメージの近い単語はありますが「マッサージ」とは明確に違うことを知っておくべきでしょう。
薬機法とは?
厚生労働省は医薬品や医療機器などの有効性や安全性を確保する目的で規制をつくっています。それをまとめた法律が薬機法です。正式な名前を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」とよび、「薬機法」「医薬品医療機器等法」などと略して呼ばれるのが一般的です。
厚生労働省が公表している資料をもとにすると、具体的には下記のようなものが当てはまります。
薬機法の対象
- 医薬品(市販薬、血液学的検査薬等)
- 医薬部外品(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等)
- 化粧品(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等)
- 医薬機器(ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置など)
- 再生医療等製品(心筋の細胞シート等)
- 医薬部外品(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等)
- 化粧品(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等)
- 医薬機器(ペースメーカー人工関節、超音波画像診断装置など)
- 再生医療等製品(心筋の細胞シート等)
- 医薬品(市販薬、血液学的検査薬等)
- 医薬部外品(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等)
- 化粧品(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等)
- 医薬機器(ペースメーカー人工関節、超音波画像診断装置など)
- 再生医療等製品(心筋の細胞シート等)
出典:厚生労働省
もともと「薬事法」として施行されていた法律が平成26(2014)年の法改正により、その名称が現在の「薬機法」に変わりました。
品質や安全面を確保するべく「開発」「製造」「販売」「流通」「使用」に至るまで幅広く管理しています。
リスクの高さに応じて製品を扱うにあたって届け出が必要になるなど、消費者の安全面を考慮した仕組みが整っています。
医薬品や医療機器のみならず医薬部外品、化粧品なども含まれるため、多くの方が知っておくべき知識といえるでしょう。
また、エステや美容室が薬機法に直接的に対象になっているということはありませんが、提供するサービスや機器の内容によっては薬機法に関わってくる可能性があるので認識しておく必要があります。
マッサージに関するその他の法律
薬機法以外でマッサージに関して把握しておかないといけない法律が「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」です。それぞれの最初の文字をとって「あはき法」と呼ばれています。
マッサージをする際は対象者に指圧などを加えて行うため、時に痛みを伴うこともあります。対象者の危険を少なくするためにも厚生労働省は一定のハードルを設けています。この法律はあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師の資質の向上を目的としてつくられています。
第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
出典:あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律
上記があはき法の原文ですが「免許が必要」ということもこのように法律で定められているので注意が必要です。これが前述の「マッサージの免許」にあたります。国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」という資格を持つ方のみが「マッサージ」と呼べるものを提供できるということが分かります。
エステサロンや美容室で「マッサージ」は謳えない
ここまでマッサージの定義や法律についてみてきましたが、エステサロンや美容室で考えてみましょう。エステサロンや美容室でリラクゼーションのようなサービスを提供することがあるかもしれません。
しかし「マッサージ」は「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格の免許がないとそのように謡うことはできません。この点はエステや美容室の方はとくに注意すべきといえるでしょう。
マッサージ機器の広告における注意点
ここまで述べてきたマッサージ同様に「マッサージ機器」も注意が必要です。
マッサージ機器の場合も広告に関してなど法律の影響を確認しておくべきと言えます。機器のなかで「マッサージ効果」を謳っており、電動式のものは医療機器に該当してしまいます。
この場合は厚生労働省に扱う際に許可が必要で、許可なく取り扱うことができませんので注意です。電動式のものでなく、単なる突起物とみなされているもの(指圧代用器等)は下記の表現を広告で使っても大丈夫です。
医療用具に該当しないものとして取扱うこととすること
(1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2) 健康によい
(3) 血行をよくする
(4) 筋肉の疲れをとる
(5) 筋肉のこりをほぐす
(1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2) 健康によい
(3) 血行をよくする
(4) 筋肉の疲れをとる
(5) 筋肉のこりをほぐす
(2) 健康によい
(3) 血行をよくする
(4) 筋肉の疲れをとる
(5) 筋肉のこりをほぐす
(1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2) 健康によい
(3) 血行をよくする
(4) 筋肉の疲れをとる
(5) 筋肉のこりをほぐす
(1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2) 健康によい
(3) 血行をよくする
(4) 筋肉の疲れをとる
(5) 筋肉のこりをほぐす
(1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2) 健康によい
(3) 血行をよくする
(4) 筋肉の疲れをとる
(5) 筋肉のこりをほぐす
出典:厚生労働省
このようにマッサージ機器を扱う場合は薬機法が関わってくるので広告に載せる文言なども注意しましょう。
まとめ
本記事ではマッサージがどのように法律に関わってるかを「薬機法」「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」などの面からまとめました。
内容を以下にまとめます。
- マッサージは「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」で認められた国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」のみが行うことができる。
- エステサロンや美容室でも同様にマッサージは「あん摩マッサージ指圧師」のみが行える
- マッサージ機器も電動でマッサージ効果を謳ったものは薬機法により許可なく扱うことができない
お客様のために良かれと思って提供している素敵なサービスや製品ですが、一歩間違えると法律に抵触してしまう危険も孕んでいます。法律を守ったうえで素敵なサービスを扱えるよう、ぜひ今回の内容を参考にしてください。