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化粧品 医薬部外品 薬機法 幹細胞コスメ 広告

化粧品・医薬部外品に関する薬機法 幹細胞コスメにおける広告の注意点

化粧品 医薬部外品 薬機法 幹細胞コスメ 広告

近年、美容業界で幹細胞コスメが話題となっており、さまざまな商品が販売されています。インターネットで検索すればたくさんの商品情報や、解説動画、解説サイトがヒットします。それだけ世間の関心が高いことがすぐにわかります。

幹細胞コスメは、化粧品あるいは医薬部外品として販売されているため、日本では薬機法の規制を受けることになります。そのため、幹細胞コスメの販売に伴う広告表示に関して注意しなければならない点があります。

本記事では、幹細胞コスメとはなにかということから、広告表示の注意点などに触れ、消費者が正しく商品を選択できるように、またはしてはいけない広告表現などの情報を示したいと思います。

 

幹細胞コスメとはなにか

そもそも幹細胞とはなにか

幹細胞とは、

  • 自己複製能(複数回細胞分裂を繰り返しても、自身と全く同じ細胞を生成する能力)
  • 分化能(体内のさまざまな細胞に分化することができる能力)

を持つ細胞です。幹細胞はそれがどうやって作られたか、またその能力によっていくつかの分類に分けられており、再生医療などの分野で研究が進められています。主な幹細胞の種類を以下に示します。

成体幹細胞(組織幹細胞)

成体幹細胞とは、体のあらゆる組織に存在しており、限られた種類ではありますが、体のさまざまな機能を持つ細胞に分化し、役目を終えた細胞の補充、組織の再生といった機能を持つ細胞です。

胚性幹細胞(ES細胞)

動物の受精卵から作られる幹細胞です。受精卵が分化し、体を形成していく過程の初期段階である胚盤胞から作られます。動物の体外で全ての組織に分化することができ、医学研究において広く利用されています。

人工多能性幹細胞(iPS細胞)

ノーベル賞の受賞で話題になった幹細胞です。体の細胞に外部より数種の遺伝子を組み込むことで、分化能、自己複製能を持たせた人工細胞です。

幹細胞が分化し組織を形成する過程において、サイトカインという重要な物質があります。サイトカインは細胞が分泌するタンパク質の1つであり、細胞の増殖や分化を促進する働きを持ちます。働くサイトカインの種類の違いにより、ターゲットの細胞がどの種類の細胞や組織に分化していくかが決定されます。

幹細胞コスメとは?

第一印象では、幹細胞コスメには幹細胞が含まれていると思ってしまいますが、幹細胞コスメには幹細胞は含まれていません。

幹細胞コスメとは、幹細胞を培養した後、培養物を除去した培養液が含有されている化粧品や医薬部外品のことです。この培養液には、幹細胞から分泌されたサイトカインが含まれており、化粧品や医薬部外品に利用されています。

幹細胞コスメをお肌に使用することで、含有されたサイトカインがお肌の細胞の修復・再生、血管組織の増殖促進、コラーゲン、ヒアルロン酸などの産生促進を促し、美容効果を発揮するとされています。このように素晴らしい効果が期待できる幹細胞コスメですが、広告表現には注意する必要のある点があります。

幹細胞コスメの広告表現は薬機法で規制されている

日本において、化粧品、医薬部外品の広告表現に関しては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法:旧薬事法)で規制されています。 よって薬機法やその関連通知にのっとった広告表現あることが求められます。あるいは、日本化粧品工業連合会が発出している化粧品等の化粧品広告ガイドラインなどを参考に広告表現を行うといいでしょう。

①幹細胞が入っていると思わせるような表現はNG

上記で説明した通り、幹細胞コスメには幹細胞自体は含まれていません。したがって、幹細胞が含まれている旨の広告表現は不当な表示となり得ます。 日本化粧品工業連合会の化粧品等の適正広告ガイドラインによると、

配合成分の名称や由来の説明として「細胞」等を表現する場合は、客観的、化学的に認められている事実の範囲であれば差し支えない

出典:化粧品等の適正広告ガイドライン

とされ、認められない表現の具体例として「幹細胞コスメ」が挙げられていることにも留意する必要があります。 化粧品の成分表示名称リスト上に、いわゆる幹細胞コスメの含有成分の名称として認められているのは、ヒト幹細胞順化培養液、ヒト骨髄幹細胞順化培養液などの7種類です。幹細胞コスメの広告表現にとして、幹細胞が含まれているような誤解を生む表現は適さないので注意が必要です。

②化粧品、医薬部外品としての幹細胞コスメの効能効果の表現について

薬機法において、化粧品及び医薬部外品は次のように定義されています。

この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。  次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等 でないもの  吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止  あせも、ただれ等の防止  脱毛の防止、育毛又は除毛

出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(一部抜粋)

この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。

出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

上記の内容からわかるように、化粧品と医薬部外品は、人体に対する作用が緩和であることが決められています。化粧品、医薬部外品の広告表示には、医薬品のように人体の機能や構造に変化を与えるような効能の表示はできません。

化粧品の効能として表現できる範囲は、厚生労働省の局長通知で定められており、56種類が認められています。肌の関係では、

  • 肌を整える
  • 肌のキメを整える
  • 皮膚をすこやかに保つ
  • 肌荒れを防ぐ
  • 肌をひきしめる
  • 皮膚にうるおいを与える
  • 皮膚の水分、油分を補い保つ
  • 皮膚の柔軟性を保つ
  • 皮膚を保護する
  • 皮膚の乾燥を防ぐ
  • 肌を柔らげる
  • 肌にはりを与える
  • 肌にツヤを与える
  • 肌を滑らかにする

などがあります。

また、医薬部外品の効能効果の範囲についても通知が発出されています。肌の関係でいえば、薬用化粧品として分類されています。 化粧水では、

  • 肌をひきしめる
  • 肌を清浄にする
  • 肌を整える
  • 皮膚をすこやかに保つ
  • 皮膚にうるおいを与える

などが挙げられます。 上記で示したような効果が期待できる可能性のある幹細胞コスメですが、その効能効果の表現として、

  • 肌の若返り
  • アンチエイジング
  • 細胞の活性化

などは化粧品、医薬部外品の効能効果として謳うことのできる範囲を逸脱しています。化粧品としての幹細胞コスメの効能の表現は、ルールに従って行う必要があります。

まとめ

近年、幹細胞コスメは美容業界において非常に関心が高くなっており、インターネットで検索するとたくさんの商品情報がヒットします。幹細胞を応用した再生医療の話題も盛り上がる中、幹細胞コスメに関して、幹細胞そのものが含有されているとか、アンチエイジング効果があるなどの誤った情報や、誇大広告が見られることもあり、消費者が誤解して購入してしまうなどの被害も考えられます。

化粧品や医薬部外品の広告表現は薬機法で規制されていることをふまえ、現在認められているルールの中で広告を作成する必要があり、また誇大広告に騙されないようにする必要があります。


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