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薬機法 化粧品 身体の検査

化粧品に関する薬機法 身体の検査・肌診断

薬機法 化粧品 身体の検査

新型コロナ抗原検査キットや妊娠検査薬、血糖自己測定器など、消費者が自宅で手軽に検査ができるよう、さまざまな検査キットが販売されています。

今回は

  • 消費者向け遺伝子検査ビジネス
  • 体外診断用医薬品
  • 肌年齢診断ツール

の解説と、それに関わる法律や広告表示の関係についてまとめました。

 

消費者向け遺伝子検査ビジネスとは

消費者向け遺伝子検査ビジネスとは、あくまで疾病の診断や治療等を行うのではなく、個々人が持つ体質等について利用者に気づきを与え、利用者自らの行動変容を促すサービスのことです。 以下のようなものがあります。

  • 消費者自らが検体を採取し、消費者に直接結果が返されるもの
  • 統計データに基づき、疾患の罹患リスクや体質等を示すもの
  • 疾病の診断や治療・投薬の方針決定を目的とした医療分野の検査とは異なり、利用者に気づきを与え、利用者自らの行動変容を促すサービス

具体的な実用例

以下のような利用例があります。

  • 疾患リスクに合わせた健康支援のアドバイスを実施するプログラム
  • 太りやすさ等の体質に合わせたダイエットプログラム
  • 肌質に合わせた化粧品の提案

その他にも、喫煙や食生活、運動などの生活習慣の改善にも検査結果が利用されており、 様々な種類の検査が、多様な目的に利用され始めています。

遺伝子検査

日本は、現在人口の約4分の1を高齢者が占める超高齢社会です。今後さらに高齢化が進んで今以上に病院に行く人口が増ると、医療費がかさんで国民皆保険システムは崩壊すると言われています。 そこで遺伝子検査を利用して現在の状態を把握し改善することで、心身全体をより健康な状態に近づけようという考え方が注目されるようになってきました。

遺伝子検査への期待

遺伝子検査ビジネスは、検査を受けた個人が自らの情報を知ることができる以外に、疾患リスクや体質と遺伝子との関連についてデータの蓄積が進むことで、生活習慣改善や健康増進に向けた道筋が見えたり、集めたゲノム情報を利用して創薬研究等に繋がる可能性があります。 検査において品質や精度の確保、個人情報の保護は、遵守すべき事項として重要なので、ガイドライン等が制定されています。

医療との関係

消費者向け遺伝子検査ビジネスを行うにあたり、医師法との関係が最も重要となります。 消費者向け遺伝子検査ビジネスは医療機関に行かず自宅で気軽に検査を受けられるというメリットがありますが、医師法の規制により、医師を介さずに実施できる検査には一定の限界があります。

遺伝子検査における医師法の規制

第17条 ****医師でなければ、医業をなしてはならない

出典:医師法

医師でない者が医業(医行為)を行うことは禁じられています。 「診断」も医師以外の者が行うことは許されません 。

医師以外の者が「医業」を行った場合には、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科となります(31条1項1号)。

例えば、血液検査で採取された血液について検査を行い、その結果内容を判定するだけであれば「医行為」に該当されませんが、血液検査の結果に基づいてその病名を判断する場合は医行為に該当します。

無診察診断の禁止

医師法第20条において、医師が診察を行わず診断することを禁じています。そのため、消費者向け遺伝子検査において医師法を遵守するためには、医師が「診断」だけでなく「診察」も行うことが必要です。 以上の理由から、医師との対面での結果交付がない消費者向け遺伝子検査は、医師法違反の可能性が出てきます。

厚生労働省の見解

厚生労働省の検討会内での「消費者遺伝子検査ビジネス」の資料によると、以下2つの要件を満たす場合、「診断」を行っていないとされています。

  • 遺伝子要因だけでなく、環境要因が疾患の発症に大きく関わる「多因子疾患」のみを対象
  • 統計データと検査結果とを比較しているにすぎない場合

一方、消費者個人を特定して疾患リスクを予測・判断する行為は、「診断」に該当するとされているので注意が必要です。

参考:消費者向け遺伝子検査ビジネス

体外診断用医薬品・雑貨・研究用試薬の区別

新型コロナウイルスの検査キットが販売されていますが「体外診断用医薬品」「雑貨」「研究用試薬」のどれに該当するのでしょうか。

体外診断用医薬品とは

薬機法上の定義

この法律で「体外診断用医薬品」とは、専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品のうち、人又は動物の身体に直接使用されることのないものをいう。

出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

体外診断用医薬品の範囲

目的、対象、形態の3つの条件があります。

 

(1) 目的 次のいずれかを目的とするもの (ア) 各種生体機能(各種器官の機能、免疫能、血液凝固能等)の程度の診断 (イ) 罹患の有無、疾患の部位又は疾患の進行の程度の診断 (ウ) 治療の方法又は治療の効果の程度の診断 (エ) 妊娠の有無の診断 (オ) 血液型又は細胞型の診断 (2) 対象 検体中の次の物質又は項目を検出又は測定するもの (ア) アミノ酸、ペプチド、蛋白質、糖、脂質、核酸、電解質、無機質、水分等 (イ) ホルモン、酵素、ビタミン、補酵素等 (ウ) 薬物又はその代謝物等 (エ) 抗原、抗体等 (オ) ウイルス、微生物、原虫又はその卵等 (カ) pH、酸度等 (キ) 細胞、組織又はそれらの成分等 (3) 形態 (ア) 複数の試薬(試薬を含有する紙、布等を含む。)により、前記(2)の物質又は項目を検出若しくは測定する形態(いわゆるキット) なお、キットから標準試薬(例、標準血清)を除いたものは、これに含まれる。 (イ) 単試薬により、前記(2)の物質又は項目を検出若しくは測定する形態

出典:・体外診断用医薬品の取扱いについて(◆昭和60年06月29日薬発第662号)

研究用試薬との区別

研究用試薬は、体外診断用医薬品に該当せず、薬機法の適用がありません。

参考:研究用試薬の分析学的妥当性等を確保するための自主基準について

研究用試薬と診断用医薬品の区別・違いは、「その目的が疾病等の診断であるか否か」によって決まります。

参考:体外診断用医薬品の取り扱いに関する質疑応答集について Q5 厚労省

新型コロナウイルスの検査キットのような一見すると体外診断用医薬品に該当するようものについても、研究目的として企業等に販売するのであれば、「雑貨」「研究用試薬」にあたり薬機法上問題はありません。

新型コロナウイルスの検査キットを「体外診断用医薬品」として販売するのであれば、 主なメリットは、

  • 臨床的有用性が認められた製品として市場に販売できること
  • 保険適用の対象となりうること

の2点ですが、製造販売業の許可手続、製品についての承認手続が必要になり、薬機法上の医療用医薬品として販売方法等が制限されます。

肌年齢診断後のプロモーション

最近では、肌年齢画像診断システムのアプリが開発されています。 たとえば化粧品の購入の際に、「無料肌年齢サービス」を行います。この肌診断は、画像から、シミ・しわ・毛穴にフォーカスして、各項目での肌年齢を示し、最後にトータルでの肌年齢を示すものとします。 このプロモーションの表現に関わる規制は薬機法・医師法・景品表示法の3つあります。

薬機法

「あなたは実年齢より肌年齢が上。それを解決するにはこの化粧品」というように、肌年齢測定と商品を結びつけると薬事法違反になりますが、「あなたは実年齢より肌年齢が上。」と単純に検査の結果を出すだけの場合は、薬事法は問題ありません。

医師法

画像診断からのアドバイスが医学的内容にわたると、医師法17条違反になります。測定値と同年齢の平均値を比較すること自体は医学的判断ではないので、医師法は問題ありません。

景品表示法

「この肌年齢は当社が開発した技術に基づくもので客観的な肌年齢を示すものではありません」というような 消費者を誤認させない表現が必要です。誤解をさせるような表示は景表法違反を追及される恐れがあります。

まとめ

身体の検査に用いられる検査キットや肌診断ツールは医師法、薬機法、景表法などで細かく規制されています。 商品がどのジャンルに分類されるのかをしっかりと把握した上で、消費者に誤認を与えるような表現を避けることが必要です。


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