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薬機法と景表法の広告表現 臨床データ・実験例を広告

広告に実験例や臨床データは使える?薬機法•景表法を解説

薬機法と景表法の広告表現 臨床データ・実験例を広告

広告制作をするにあたって、「実験例」「臨床データ」は使用できるのでしょうか。 「せっかく実験をしたので」「良いデータが取れたので」と活用したいと思われる方は多いのではないでしょうか。 今回の記事では、「実験例」「臨床データ」は広告に使用できるのか、化粧品、健康食品、美容機器・雑貨、医療広告に分けて考え進めていきます。 お客様により届きやすい広告制作のために、言い換え表現なども紹介しています。どう表現すればいいのか迷った時の参考にしてみてください。

薬機法とは

正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。間違った情報や認識により、身体に与える影響が大きいため法律で厳しく定められています。医薬品や医薬部外品、化粧品や医療機器に関する品質・有効性・安全性を確保するための法律です。

景品表示法とは

正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。商品やサービスの取引に関連する不当な表示を禁止しています。一般消費者の利益を保護することを目的としています。実際のものよりも「すごくいい!」と思わせてしまう「優良誤認」、実際よりも「すごくお買い得!」と思わせてしまう「有利誤認」などが不当表示にあたります。

健康増進法とは

健康増進法は国民保健の向上をはかることを目的とした法律です。広告と健康増進法も無関係ではありません。健康食品の広告を扱う場合には忘れてはいけない大切な法律です。

第六十五条 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

出典:健康増進法

健康増進法に違反する場合となるのは下記の条件を満たした場合です。

  • 広告とみなされること
  • 健康保持増進効果であること
  • 表現内容が誤解を招く表現であること

広告の定義は3つの要素から成り立っています。1998年9月29日付厚生省医薬安全局監視指導課長通知により、広告の3要素が提示されています。いずれの要件も満たす場合は広告とみなされます。

  1. 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること。
  2. 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
  3. 一般人が認知できる状態であること。

健康増進法にかかる広告表現についても、虚偽誇大な表現は認められていません。「これを飲むだけで〇〇が改善される」といった表現などは健康増進法の観点からもおすすめできません。

参考:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について – 消費者庁

化粧品の広告表現で「実験例」「臨床データ」は使用できる?できない?

化粧品の広告表現で「実験例」「臨床データ」を使用することはできません。医薬品等適正広告基準で禁止されているからです。

化粧品の広告において守るべき法律やルールは様々存在します。その中の一つに『医薬品等適正広告基準』も含まれます。『医薬品等適正広告基準』は薬機法の第66条の虚偽誇大広告等の禁止を具体的に解釈されたものです。

(誇大広告等)
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

出典:薬機法第66条

医薬品等適正広告基準の第4(基準)3(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止に明示されています。

(3)臨床データ等の例示について 一般向けの広告にあっては、臨床データや実験例等を例示することは消費者に対して説明不足となり、かえって効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため原則として行わないこと。

出典:医薬品等適正広告基準

化粧品での違反事例

化粧品の臨床データや実験例に関する化粧品広告での使用がNGとなる内容には、次のようなものがあります。

  • 医薬品的な効果効能があるような表現(100人中93人が肌荒れ改善、ターンオーバーを整える実験の結果、若返ったと考えられる臨床データ、しみが消えた実験例、ニキビが治った実験例)
  • 身体の変化についての表現(ターンオーバーを整える実験済、新陳代謝を促進する臨床データを取得、肌の奥深くまで浸透することを実験で確認しました)

化粧品広告での使用が認められる表現

化粧品広告では、「化粧品等の適正広告ガイドライン」で定められている56の効能効果の範囲内に収める必要があります。逆に言うと事実であっても、効能効果範囲外のことは言えないので注意が必要です。 代表的なものには、

  • 肌を整える
  • 肌荒れを防ぐ
  • 皮膚にうるおいを与える

などがあげられます。また「補い保つ」「補う」「保つ」など、効果の範囲であれば言い換えをすることは可能です。

化粧品広告での言い換え表現(参考)

化粧品広告で「実験例」「臨床データ」に関連する表現で認められている言い換え表現をまとめました。 これらの言い換えの例を化粧品広告を作成する際の参考にしてみてください。

実験例、臨床データに関する表現を言い換えたい時の具体例

NG:実験例や実験の結果の表を載せる
OK:臨床試験をしたという事実のみを載せる

NG:臨床データの表記
OK:臨床試験の最中の風景などの表示

健康食品は薬機法の範囲外?

健康食品については、実は薬機法の対象ではありません。 ですが、広告で表現する際にその効果が医薬品的な効果を示していると、無承認無許可医薬品という扱いとなって薬機法違反となりますので注意が必要です。 つまり「医薬品」と誤解されるような表現が薬機法違法になります。あくまでも、健康食品は、健康を維持するための食品であるということを念頭において広告制作をすると良いと思います。

健康食品で「実験例」「臨床データ」は使用できる?できない?

厚生労働省の健康増進法の食品広告規制に基づくと、ヒトに効果があるように明示、暗示するような広告表現は、虚偽誇大広告にあたり表現できないと考えられます。 つまり人に効果がありますよ、という実験例や臨床データは使用できません。

ですが、ヒトや身体の話ではなく「ビーカー内の実験の話です」と明記すれば、違反にならないのではないかと考えられます。

ビーカー実験等による原材料の物理化学的効果を示すことにより、間接的に経口摂取による効果を暗示する表示を行う場合は、これらの表示に該当します。

出典:ご存知ですか?健康増進法の食品広告規制 虚偽誇大広告等禁止規定Q&A – 厚生労働省

あわせて「体外排出によるダイエットを謳う食品に関する広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)について」には例外を認めるような下記の記述もあります。

原材料の物理化学的効果を表示する場合にあっては、経口摂取によるヒトの体内での動態を示すものではない旨の表示を行わせることにより、「間接的に経 口摂取による効果を暗示する表示」とならないと解釈して差し支えないが、かかる標記については消費者がその旨を明確に認知できるように表示するよう指導すること。

実験はあくまでも実験として「ヒトに効果がある」「ヒトにも同じように作用する」といったことを暗示しなければ実験について触れることはできるのではないでしょうか。 「ヒトの体内での作用がある」と確定的、又は断定的に表現してしまうと薬機法、健康増進法に抵触するおそれが出てきますので、慎重に表現した方がよさそうです。

健康食品での違反事例

健康食品の広告で、使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。

  • 医薬品的な効果効能があるような表現(実験により痩せる効果がある、臨床データが示している)
  • 身体の変化についての表現(実験結果はヒトにも作用がある、臨床データからヒトにも同様の結果がもたらされる)
  • 特定部位を表す表現(おなか、やせる、肌、腸、内臓脂肪)
  • 症状や病名の記載(脂肪肝、高血圧)

健康食品広告での使用が認められる表現

健康食品の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。

  • サポート表現(健康のために、体の中から元気に、健康の維持のために)
  • 使用感の表現(飲みやすい、続けられる、香りがいい)

健康食品広告での言い換え表現例(参考)

健康食品の広告で、実験例や臨床データに関する表現についてまとめました。広告制作の際の参考にしてみてください。

実験例、臨床データに関する表現を言い換えたい時の具体例

NG:ビーカーでの実験結果は体内でも同じことが起こります。
OK:ビーカーでの実験結果は体内での作用を保証するものではありません。

NG:実験例や実験の結果の表を載せる
OK:臨床試験をしたという事実のみを載せる

美容機器・雑貨で「実験例」「臨床データ」 広告表現で言える?言えない?

機器・雑貨に関しても「実験例」「臨床データ」については表現することはできません。 使用前・後の例示についても、事実に基づいた客観的データを前提として誇大にならない範囲で表現する必要があります。

参考:家庭向け美容・健康関連機器等適正広告表示ガイド

美容機器、雑貨での違反事例

美容機器や雑貨の広告での使用が認められない表現方法やワードには次のようなものがあります。

  • 医薬品的な効果効能があるような表現(実験により痩せる効果がある、臨床データが示している)
  • 身体の変化についての表現(お腹がへこむ、免疫に作用、血圧安定効果)
  • 症状や病名の記載(高血圧、脂肪肝、メタボ)
  • その製品を使うだけで良いといった表現(付けるだけでやせる、使うだけで血圧に効く)

美容機器広告での使用が認められる表現

機器や雑貨の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。

  • サポート表現(美容のために、運動をサポート)
  • 使用感の表現(使いやすい、操作性が良い、コンパクトで持ち運びしやすい、使うと気持ちが良い)

美容機器、雑貨の広告での言い換え表現(参考)

機器・雑貨の広告制作で、実験例や臨床データに関連する表現についてまとめました。広告制作の際の参考にしてみてください。

実験例、臨床データに関する表現を言い換えたい時の具体例

NG:実験例や実験の結果の表を載せる
OK:臨床試験をしたという事実のみを載せる

NG:臨床データの表記
OK:臨床試験の最中の風景などの表示

医療広告での使用が認められる表現

医療広告での臨床データについては、特に美容医療の分野でビフォー・アフターで広告表現されていることがよくあります。訴求力は高いですが、表現には注意が必要です。 ビフォー・アフター写真に関して治療等の効果又は内容について患者等に誤認を与えるおそれがある表現は禁止されています。

「加工・修正した術前術後の写真等の掲載」の取り扱いとして、あたかも効果があるかのように見せるために加工・修正した術前術後の写真等については、虚偽広告として取り扱うべきであること、とされている。

参考:医療広告ガイドライン

医療広告での言い換え表現(参考)

医療広告において、ビフォー・アフター写真に関連する表現についてまとめました。広告制作の際の参考にしてみてください。

ビフォー・アフター写真に関する表現を言い換えたい時の具体例

NG:ビフォー・アフター写真のみを掲載
OK:ビフォー・アフター写真の掲載に必要な詳細情報を付す

NG:複数の治療方法の写真をまとめて説明
OK:それぞれの写真に対して必要な情報を付す

医療広告におけるビフォー・アフター写真の詳細情報とは

医療広告におけるビフォー・アフター写真の掲載に必要な詳細情報は下記のとおりです。

  • 治療内容
  • 費用等に関する事項
  • 治療等の主なリスク
  • 副作用等に関する事項等

参考:医療広告ガイドライン

まとめ

実験例や臨床データについては、化粧品は明確に表現することが禁止されています。健康食品は、「ヒトに効果がある」と読み取れない形であれば表現可能。美容機器、雑貨についても表現できません。 医療広告については、医療広告ガイドラインを遵守してビフォー・アフター写真を掲載することが可能です。 広告表現では狭い範囲でしか訴求できませんが、クリーンな表現の参考にしてみてください。

※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますようお願いいたします。


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