オリジナルコスメを作るうえで、つい化粧品の中身の仕様や設計に目が行きがちですが、容器選びも売上を左右する重要なポイントになります。
化粧品容器はコンセプトを消費者に端的に伝える重要なアイテムなのです。
今回は化粧品容器の用途、化粧品をOEMで企画製造する際にどのような容器を選ぶべきか。選び方のコツなどを紹介していきます。
化粧品の容器の3つの機能
化粧品の容器には下記の3つの機能があります。
化粧品容器の機能として一番に大事なのが中身の保護です。
化粧品は使い終わるまで中身の品質が保たれなければなりません。化粧品の成分の中には光(可視光線や紫外線)によって劣化しやすいものも多いため、光から中身を守ることは容器の大切な役割の一つです。そのために不透明な容器が用いられたりしています。
また空気中の酸素や水分の透過が原因で中身が変質・変臭することもあるため、酸素などが透過しないようにアルミニウムの層をいれる場合もあります。
チューブ容器などは、一度出した中身が容器に逆流しないような仕組みを使って、容器内の化粧品が空気に触れないようにしている容器もあります。
安全に使えることはもちろんですが、使いやすさにも工夫があります。
製造の際にはそれぞれの化粧品を使用する時や保管する時を考えて、容器、大きさ、重さ、硬さなどに工夫がされています。例えば、開けやすく、かつ勝手にあかないように調整したり、ボトルは手に持ちやすく、落としにくい形に工夫されたりしているという感じです。また、メイク用の化粧品は、携帯するときのことも考慮されています。
中身の使いやすさの点においては、簡単にかつ適量のない内容物を出せるようにポンプ式にしたり、マスカラではブラシと一体化して使いやすさを追求したものも最近では主流になっています。
容器は化粧品のコンセプトやイメージを具現化したものの一つ。デザイン性の高い化粧品容器はファッション性に優れ、製品のもつ魅力を引き立たせます。
また、店頭で陳列しているときだけでなく、ドレッサーや洗面台に並んでいるときや、化粧品を使用しているときも、幸せな気分にしてくれます。
化粧品OEMメーカーはパッケージのデザインを含めて相談に乗ってくれるところも多いです。ボトルなどのパッケージデザインは平面でのデザインとは異なり、立体的になったときにどのように見えるかを考えなければなりません。プロダクトデザインが得意なプロにお任せするのがおススメです。
容器の種類
化粧水や乳液など液体に使われる細口ボトル、クリームやペースト状の中身に使われる広口ボトルやチューブ、マスカラに使われる塗布具付き容器、粉おしろいなどの粉体の中身に使われるパウダー容器、ファンデーション用コンパクト容器、口紅用繰り出し容器、ペンシル容器、ポンプ容器、エアゾール容器などさまざまな種類があります。
材質も、金属、ガラス、プラスチック、紙など多様で、中身の特性や使いやすさを考え合わせて、それらをうまく組み合わせて使っています。
主な化粧品容器の種類
- 細口ボトル容器
化粧水や乳液などの液体を入れるのに便利
- チューブ容器
クリームやジェルなどペースト状のものを入れるのに便利
- 広口ジャー容器
クリームやジェルなどペースト状のものを入れるのに便利
- ポンプ容器
シャンプーやリンス、クレンジング剤など
- スプレー容器
化粧水やヘアケア用品など
- エアゾール容器
中身に空気が触れないように弁を持つ容器で、ガスの力で液体を噴霧する
- エアレス容器
中身に空気が触れないよう内層が外層から剥離し、縮んでいくディスペンサー付きの構造のもの
- 塗布つき容器
ネイルやマスカラなどメイクアップ用品によく使われる
- コンパクト容器
ファンデーションやアイシャドウなど粉体をプレスして詰める
- 繰り出し容器
リップスティックなど
化粧品容器の性質
化粧品を充填した時の品質を保つために最も注意しなければならないのが光と酸素です。また、雑菌などが入らないよう一度出した中身が戻らないように設計することも大切。
光で中身が劣化しやすい成分が含まれている時は、不透明なボトルを選び、酸素にできるだけ触れない方がいい場合は、エアゾールタイプやエアレスタイプを選ぶなどの工夫が必要です。さらに化粧品に含まれる原料が容器に与える影響も考慮して選びましょう。
プラスチック
軽く、加工性がよい。透明、不透明、着色したものなどが多く使用される。 ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など。
ガラス
透明、不透明、着色したガラスびんが使われる。主にソーダ石灰ガラスを使用。香水びんなどにはクリスタルガラスが使われることがある。
金属
主にアルミニウムが使われる。さびやすい金属には、メッキやコーティングを行って使われる。
紙
詰め替え用など
容器のサイズ
化粧品の容器は機能性、容器の種類や性質だけではなく、サイズ感も非常に重要です。
特に無添加のものだと開封後冷蔵庫保存で何日以内に使い切り、という商品もあります。 また、どのくらいの容器にするかはリピート購入してもらうための大切なポイントになります。どのくらいの量が適量か、コストバランスを考えながら選びましょう。
化粧品容器の手配の仕方
化粧品容器の手配の仕方として「化粧品OEMメーカー」にそのままお願いする方法と、「化粧品容器メーカー」から調達し、化粧品OEMメーカーに提供して充填をお願いする方法の2つがあります。
また、「化粧品メーカー」がラインナップしている容器の中から選ぶことも、独自にデザインを考え、特注で製造していただくこともできます。
化粧品OEMメーカーにそのままお願いするメリットとデメリット
【メリット】低コストで容器を調達でき、在庫を抱えるリスクがない
通常、「化粧品容器メーカー」から容器を調達する場合、最小ロット数が決められています。容器の種類によってロット数が異なることも多く、あなたが作りたい製造数と一致しないかもしれません。余ってしまった場合の容器は自分たちでストックしておかなければならないため、在庫管理が面倒であることもデメリットになります。
その点化粧品OEMメーカーの方で容器をお願いしてしまえば、依頼者側で容器の在庫を抱えるリスクがありません。
また、化粧品OEMメーカーがすでに企画・開発・販売している容器を流用すれば低コストで調達することも可能になります。
【デメリット】小ロット数だと容器への印刷や色付けができず、他社との差別化難しい
あなたがもし1000個以下のロット数を依頼したいと考えていても、化粧品OEMメーカーは1000個以下のロット数では、容器本体への印刷や色付け(着色)ができない場合があるということです。この場合、シールでロゴを貼る程度の対応しかできず、あなたがイメージしている仕上がりにならないかもしれません。
そうなってしまうと他社ブランドとの差別化も難しくなってしまいますので注意しておきましょう。
まずは、化粧品OEMメーカーに最小ロット数・容器への印刷・シール対応などは可能かなどを確認しておくことが重要です。
容器を調達し、化粧品OEMメーカーで充填をお願いするメリットとデメリット
【メリット】ゼロからオリジナル容器の開発ができ、イメージ通りの容器を選ぶことができる
なんといってもオリジナルコスメのコンセプトにあった容器を選ぶことができるのがメリット。
ターゲット層や使用場面、購入サイクルに合わせた容量など、思い通りに創り込むことができます。ブランドイメージは化粧品の売り上げを大きく作用する要素。容器は手に取って使ってもらうまでのプロセスを担っています。 いくら中身が良くても、容器のデザインが平凡でつまらない印象を与えてしまっては損ですよね。特に高価格帯のものであればなおさらです。
【デメリット】開発のコストがかかる、容器の在庫を抱えるリスクがある
その一方で、自分たちで容器を調達する場合、どうしてもコストが高くなりがち。
特に小ロットの場合は容器そのものの在庫を抱えるリスクがあります。また、化粧品容器メーカーで希望するすべてのタイプの容器をラインナップしているとは限りません。複数の容器メーカーで調達しなければならない場合も多いことでしょう。
自分たちで容器を調達し、化粧品OEMメーカーに中身充填を依頼する場合は、調達した容器で対応してもらえるかどうかを事前に確認が必要です。
容器の選び方とそのポイント
化粧品OEMメーカーに委託する場合でも、容器メーカーから調達する場合でもいえることですが、まずは自社ブランドでどのような化粧品容器を作りたいのか、どのような人が手に取り、いつ、どのようにして使用するのかをきちんと明確化し、それをもとに容器をどうするか判断することが重要です。
さらにそのコスメを使用した時、消費者はどのような気分になれるかというところを抑えておくことも大事です。
「贅沢な気分になる」だと高級感あふれるデザインがよいでしょうし、「リラックスできる」という目的であれば見ていて安らぎを与えるデザインにするのが効果的、などです。
自然派や無添加にこだわるなら、環境にやさしいボトルを選ぶなど、開発コンセプトに合うものを考慮するのが大切。
容器ごとOEMメーカーに委託するなら、自然派・無添加化粧品が得意なところを選べばスムーズというように、得意分野をしっかり見極めましょう。
まとめ
いかがでしたか?本記事では化粧品容器の用途、選び方のコツについて解説してきました。この記事を参考に是非自分に合った容器選びをしてみてくださいね。