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化粧品OEMの保存効力試験

どうする?化粧品OEMの保存効力試験の確認

化粧品OEMの保存効力試験

化粧品には使用期限が設けられていて、その期間内は品質の劣化なく安全に使用できないといけません。

化粧品の劣化の原因である腐敗を防ぐ能力をはかる試験が「保存効力試験(チャレンジテスト)」です。

この記事では、化粧品の防腐剤の種類や安全性、保存効力試験について解説します。

 

化粧品の保存効力試験(チャレンジテスト)について

保存効力試験は防腐剤の適切な処方量を決定したり、製品の防腐効果を測定するために用いられます。

腐敗しやすい化粧品では、防腐剤を添加することが必要になります。

しかし、防腐剤の過剰な添加は肌に負担を与え、炎症を起こす原因となるため、処方は最低限に抑えたいものです。

保存効力試験は、化粧品や医薬品の防腐効果を測定して防腐剤の過不足について評価し、適切な処方設計の指標とする微生物試験です。

試験方法

保存効力試験(チャレンジテスト)は化粧品に含まれる防腐剤の防腐力を総合的に調べるために、一定数の細菌・真菌を化粧品に強制的に混入させて、菌数の経時的な変化を測定して防腐力を評価します。

試験試料へ前培養後作製した試験菌液をそれぞれ接種し、一定時間経過後、生菌数測定を行い,保存効力を評価します。

保存効力試験には、日本薬局方(JP)、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(ESP)、中国薬局方(PPRC)などの各種規格が存在します。

国内のみの販売であれば日本薬局方(JP)のみですが、輸出販売する場合はそれぞれの国で採用されている薬局方での試験が必要になることがあります。

使用される菌株や試験検体の調整方法、培養期間などが定められていて、指定されたとおりに試験が行われます。

このほかにも、メーカーが独自で行う迅速試験などいくつかの試験が存在します。

試験に使われる菌の種類

混入が予想され、消費者の健康を損なう恐れがある菌が指定されていて、これらの菌についてそれぞれ試験が行われます。

日本薬局方(JP)では5種類の菌が指定されています。

  • 細菌

Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)

Escherichia coli(大腸菌)

Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)

  • 酵母

Candida albicans(カンジダ菌)

  • カビ

Aspergillus niger又はA.brasiliensis(クロコウジカビ)

外部に試験を依頼するときの試験期間の目安

自社で微生物試験をおこなう設備がない場合は、外部に試験を委託することができます。

試験サンプルの調製と培養、結果測定、データ集計や報告書の作成などの試験に関するすべてを依頼できます。

試験期間は日本薬局方(JP) の試験であれば5~6週間が平均になります。

迅速試験であればもっと早くなります。

 

化粧品に使われる防腐剤

化粧品における防腐剤とは防腐(抗菌)作用をもつ成分の中で配合制限成分(ポジティブリスト)に収載されている成分のことを指します。

化粧品には水が多く含まれており、微生物(雑菌やカビ)の繁殖によって腐敗しやすいものです。

開封後も常温で保存して、何度もフタを開け締めすることも、微生物が混入・繁殖する原因のひとつです。

雑菌やカビが繁殖した化粧品を使えば、刺激を感じたり炎症を起こしたりといった肌トラブルを起こしてしまいます。

そこで防腐剤を添加して腐敗を防ぎます。

化粧品における防腐剤の作用は、主に化粧品の中で外部から侵入してくる菌に対して時間をかけて抑制し最終的に減少させ死滅させるという防御的な静菌作用です。

殺菌剤のような短時間で殺菌する強い殺菌作用や、皮膚上で菌を死滅させる効果は認められていません。

代表的な防腐剤

化粧品で使われる代表的な防腐剤です。

パラベン(パラヒドロキシ安息香酸エステル)

化粧品に最も使用される防腐剤のひとつで、80年以上も前から化粧品に配合されています。

人体に対する毒性が低く、細菌やカビに対して効果が高い防腐剤です。

1種類のパラベン単独でも化粧品の長期保存が可能になる優れた防腐剤ですが、パラベンと他の防腐剤を組み合わせることで相乗効果が得られ、優れた保存効果を発揮することが知られています。

日本では、使用量の上限が1%(100gに対して1.0g)と「化粧品基準」によって定められています。

市販されているほとんどの化粧品においてパラベンは0.1~0.5%という低用量で使用されています。

安息香酸

香料、pH調整剤、防腐剤として添加されます。

微生物の増殖を抑える働きがあり、食品にも使われています。

ナトリウム塩である安息香酸Naを配合することが多いです。

化粧品では0.2%(100g中に0.2g)まで添加できます。

デヒドロ酢酸ナトリウム

カビ、酵母、酸素下で生育する菌の成長を抑制する添加物で、防腐性が高い成分です。

洗顔フォームからクレンジング、美容液まで、幅広い化粧品に使われています。

ヒノキやヒノキの仲間から抽出される成分で、さまざまな微生物に対する抗菌性を持っています。

ヒノキチオール

ヒノキの一種である「ヒノキアスナロ」から採取される薬効成分です。

さまざまな微生物に対して抗菌作用があることからパラベンやフェノキシエタノールの配合濃度を減らす目的などで使用されます。

化粧水や美容液、保湿クリームのほかにエイジングケア化粧品にも配合されています。

フェノキシエタノール

抗菌性は強くはないものの、パラベンが効きにくい大腸菌、サルモネラ菌などグラム陰性菌と呼ばれる菌に対して優れた抗菌効果をもつ防腐剤です。

一般に防腐目的でパラベンをはじめとする他の防腐剤と併用して用いられるほか、パラベン不使用(パラベンフリー)をコンセプトにした製品に用いられています。

防腐剤の安全性

化粧品に使われている防腐剤は安全性が認められ、厳しいす用量の上限規制のもとに配合されるため、人体に対する悪影響は非常に低くなっています。

しかし、厚生労働省が決めた許容範囲内の配合でも、防腐剤が原因で肌に炎症を起こすことがあり、人によっては発疹や、皮膚がひりひりしたり赤くなったりします。

「防腐剤無添加」と称していても、代わりに二価アルコール類のブチレングリコール(BG)、ペンチレングリコール(PG)ジプロピレングリコール(DPG)などの抗菌作用のある保湿剤を使っている場合、それが原因で炎症を起こすこともあります。

近年では日常的に化粧品を使用することが多くなり、消費者が化学薬品を嫌う心理を背景として、防腐剤の配合量を可能な限り減らす傾向にあります。

防腐剤フリーの化粧品として、防腐剤の代わりに比較的抗菌効果の高いアルカンジオールを用いることも多くなってきました。

そのほか、二価アルコール類や抗菌効果をもつ植物エキス類を組み合わせて防腐剤の配合量を減らす処方にして、肌への優しさをうたっています。

防腐剤の併用

ブランドメーカー側は、「肌に刺激の少ない化粧品」「肌にやさしい化粧品」を求めて、パラベンの配合を敬遠する傾向にあります。

その結果、代表的な防腐剤であるパラベンを使用しない『パラベンフリー』を標ぼうする化粧品が増え、消費者の間ではパラベンが悪者のような誤解を招いてしまっています。

しかし、パラベンは安全性の高い防腐剤で、化粧品技術者の多くはその有用性を認識して使用しています。

防腐力の弱い原料を複数使用して防腐効果を得ようとすると、処方の複雑化がおこり、肌の炎症を起こす原因になることもあります。

防腐剤によって誘導される炎症反応が異なるため、今後はより安全な処方設計が必要になってきます。

 

まとめ

化粧品に含まれる防腐剤は、品質の劣化を防ぐ重要な成分です。

保存効力試験をもとに慎重に処方量を決定し、適切に配合することで、ユーザーの肌トラブルを防ぐことができます。

この記事を参考にして、素敵な化粧品をつくってください。


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