化粧品の容器にはいくつものシールが貼られます。
シールには役割ごとに種類があり、シールに記載される内容には決まりがある場合もあります。
この記事では、初めて化粧品OEMを考えている方のために、化粧品に使われるシールについて解説します。
化粧品OEMで使われるシールは4種類
化粧品のボトルや箱に貼られるシールは役割ごとに4種類に分けられます。
- アテンションシール
- バージンシール
- 表ラベル
- 裏ラベル
それぞれどのようなシールか説明します。
アテンションシール
アテンションシールとは店頭で消費者の興味を引くシールで、キャンペーン情報やラベルに入りきれなかった情報を入れます。
POPシールやアイキャッチシールともいいます。
「累計1000万本突破」といった販売実績をアピールするものや、「ダメージ補修」「指通りなめらか」といった機能のアピール、「〇種類の天然成分配合」など成分をアピールするものなど数多くあります。
アテンションシールは一般的なシールとは異なり、裏面の糊が部分的になっている事が特徴です。
シールの下部およそ1/4~1/5くらいが粘着部分で、それより上は糊がない状態のシールです。
商品の上部に貼ることでPOPのように飛び出したような演出が出来ます。
アテンションシールはあえて後付け感をだし、消費者の注意を引きます。
バージンシール
フタを閉めただけでは不安定な物をとめることと、未開封である保証となることの2つがあります。
化粧品のフタと胴体を止めるために貼る、パッケージの開封部分に貼るなどが一般的な使い方です。
開封しやすいように、容器の境目に当たる部分にミシン目を入れることができます。
また、改ざん防止加工を施したシールにすることで、店頭で商品を開封されるリスクを抑えられます。
表ラベル
箱やボトルの正面に貼られ、商品の顔となる重要なラベルで、商品の情報はもちろんデザイン性も重要になります。
シール素材を工夫したり、表面加工印刷にこだわったりすることで多種多様な質感とデザインにできます。
裏ラベル
箱やボトルの裏面に貼られ、商品の成分や企業名などを記載するラベルです。
化粧品は直接人体に使用するものなので、消費者に分かりやすいように、また誤解が生じないように、販売名や商品説明・製造販売業者・製造番号(ロット)・注意事項など製品に関する情報の表示が必要です。
これらの表示は、化粧品が直接入っているボトルや箱・能書に記載しなければいけないと「化粧品の表示に関する公正競争規約」によって定められています。
化粧品OEMで使われるシールの素材と粘着剤
化粧品はその見た目も大事な要素ですので、化粧品のシールにはさまざまな素材のシールが使われます。
材質により風合いや印刷の鮮やかさなどが全く異なるので、イメージにマッチした材質を選ぶことが必要です。
PETフィルムの表面に銀色のアルミ蒸着を施した銀フィルムと呼ばれる素材です。
光沢のあるものを銀艶ネーマーといいます。
耐水性・耐久性に優れるほか、シルバーのメタリック感で目立たせることが出来たるめ、アテンションシールによく使われます。
PETフィルムの表面に銀色のアルミ蒸着を施した銀フィルムと呼ばれる素材で、光沢のないものを銀消しネーマーといいます。マットな質感で上品さや高級感を演出します。
PETフィルムの白いものです。フィルム素材の中では最も安いので価格が重視される場合に使われます。
紙素材のシールです。
価格が若干安いですが湿気に弱く、水がつく可能性のある洗顔料やシャンプーボトルなどには向きません。
透明なフィルム製のシールで、厚さや形が選べます。
長方形や楕円形が一般的な形ですが、オリジナルの型を作成すれば、星やハートなど特徴的な形も作れます。
おもにバージンシールに使われるもので、開封防止に使われます。
貼った物に文字が転写されるタイプ、シール自体に文字が現れるタイプ、シールが裂けるタイプがあります。
光の屈折を利用して表面が光り輝く、ホログラム仕様のシール素材です。
この原理を利用して、意匠性の高いシールや、セキュリティ用途(偽造防止)にも使われています。
オーガニック化粧品など、環境への負荷を気にするユーザーにアピールできます。
生分解性を有している堆肥化可能なセルロースラベル、PETボトルからリサイクルした再生PET樹脂ラベル、植物の原料を使用したバイオマスラミネートフィルムなどがあります。
化粧品ラベルのシールに使われる粘着剤
化粧品・パッケージなど被着体によって粘着剤の種類も異なり、適切なものを選ばないと剥がれることもあります。
化粧品の種類や使用環境、ボトルの材質に応じた粘着剤を選ぶことが大切です。
普通粘着
標準タイプの糊で、紙、プラスチック、ガラスなど多くの材質に貼ることができ、幅広く使用されています。
強粘着
普通粘着よりも強度を強くしたタイプの糊で、ボトル容器への胴巻き貼りなど曲面への貼付にも適しています。
弱粘再剥離粘着
粘着力が弱く剥がしやすいタイプで、糊残りなくきれいに剥がすことができます。使用時には剥がしたいラベルに向いています。
強粘再剥離粘着
粘着力が強くても剥がしやすいタイプで、バージンシールを取り去りたい場合に適しています。
化粧品OEMで使われるラベルシールの加工
糊殺しとは、ラベルの粘着面にニス塗布やフィルム貼りをして、一部分の粘着をなくす(粘着を殺す)加工です。
アイキャッチシールに使うほか、バージンシールを剥がすためのきっかけづくりにします。
糊殺しの方法は3種類あり、用途に応じて使い分けます。
ニス塗布による糊殺し
粘着面に特殊ニスを塗布(印刷)する方法です。
ニス塗布(印刷)の一番のメリットは糊殺し面積や形状を自由に作ることができることです。
アテンションシールによく使われる方法です。
フィルム貼りによる糊殺し
粘着面の一部分に特殊フィルムを貼る方法です。透明なバージンシールの端に色付きのフィルムを貼ることで、ユーザーが剥がす場所を見つけやすくなるといった加工もできます。
糊殺し形状に制限があります。
部分糊素材
ラベルの一部分だけに粘着剤を塗布する方法です。
こちらもフィルム貼りによる糊殺しと同じく、糊殺し形状に制約があります。
数量が多く、定期発注がある製品向けです。
「商品購入時までは留めていたいけど、購入後は開けやすくしたい」というような場合には、ミシン目加工が有効です。
バージンシールの途中にミシン目を施すことで、フタをひねれば簡単にシールが切れて開封できます。
ミシン目周辺に糊殺しを施すことで、さらに開けやすくすることもできます。
紙のラベルの表面にラミネート加工を施すことで、耐久性がアップし、耐水性も付与されます。
質感は光沢とマットを選べます。
型と型の間にラベルをはさみ、圧を加えて文字や絵柄を浮き出させることにより、表面に凹凸の模様をつける加工です。立体的に表現できます。
金箔・銀箔やホログラムなどの箔を熱と圧でラベルに転写する加工です。デザイン面で印刷では不可能な光沢のある質感を演出することができます。
化粧品のラベルでは、触り心地の良いベルベットラミネートや箔押しのグラデーション、チェンジング、シルク印刷で厚盛ニスも好まれます。
化粧品・パッケージで表現できなかったラメ感やマット感等を表現できます。
まとめ
化粧品のラベルシールは素材、形状、デザイン、粘着剤、加工の組み合わせでいろいろなイメージをユーザーに与えることができます。
種類が多くて悩むようなら、化粧品OEMのプロに相談しましょう。
この記事を参考にして、素敵な化粧品を作ってくださいね。