製造を外部に委託するシステム「化粧品OEM」は、多くの企業で活用しているシステムになります。市場について詳しく知っておくことで、あなたがどのような自社ブランドを立ち上げ、製造を委託していくのかの道筋となるでしょう。さっそく解説していきます。
化粧品OEMの市場規模、動向について
2021年度化粧品OEMの市場については、2020年度比3.2%増の3,349億円になる予想です。 しかしながら2019年入ってからは国内外での化粧品需要は落ち込んであり、その原因となるのが、中国EC(電子商務)法施行を主要因としたインバウンド需要減速の顕在化、大手化粧品ブランドメーカーの国内生産強化、化粧品受託企業の生産能力底上げによる供給過多への懸念に加え、新型コロナウイルスによる化粧品使用度の低下です。
化粧品業界に新型コロナが与えた影響
2020年から突如私たちを襲った新型コロナウイルス。これによって、生活者に日常は大きく変化しました。手洗いうがいの徹底、在宅勤務などによる働き方や家族関係の変化など。これは化粧品業界にも大きな影響を及ぼしています。
化粧品業界はEC化がまだ浸透されていないと言われていますが、それの一因としてあったのは、実際に使って、質感や色合いなどを体感してみたいと感じている消費者が多かった点にあります。しかし、新型コロナウイルスの影響により、店頭での来店時間を短くしたり、テスターなどの仕様を控えたいと考える人が急増。
更に、外出自粛やマスクの着用によりリップメイクを控えたり、マスクによるメイク崩れを気にしてベースメイクが薄くなる傾向にあることから、化粧品購入頻度も減少しているのが現状です。
このことからも化粧品OEM市場は減少トレンドに転じていました。 ただ2021年度以降についてはコロナワクチンの普及などにより、終息が進むことで、国内外の移動制限の緩和による消費の回復を見込んであり、2014年度の化粧品受託製造市場は2019年度比107.4%の3600億円になる見通しとなっています。
現在市場を占める化粧品アイテム
経済産業省生産動態統計の化粧品品目別出荷ランキングによると、トップは、化粧水、次いで美容液がその他の品目を大きく上回っています。 前年度まで順調だったファンデーションについてはコロナ化の影響によりマスクをしてファンデーションをしなくなった人の増加により売り上げが落ちる形になりました。そのほかのコスメについても2019年に比べ、出荷金額が現状しています。詳しくは日本化粧品工業連合会、経済産業省のサイトをご覧ください。
【化粧品品目別出荷金額】
1位:化粧水
2位:美容液
3位:染毛料
4位:ファンデーション
5位:乳液
5位:シ ャ ン プ ー
6位:ヘアトリートメント
7位:洗顔クリーム・フォーム
8位:モイスチャークリーム
9位:クレンジングクリーム
10位:日やけ止め及び日やけ用化粧品
11位:まゆ墨・まつ毛化粧料
12位:アイメークアップ
13位:口紅
13位:パック
14位:男性用皮膚化粧品
15位:つめ化粧料
16位:香水・オーデコロン
出典:日本化粧品工業連合会
https://www.jcia.org/user/statistics/shipment
出典:経済産業省
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20210602hitokoto.html
輸出先のメイン市場はアジア
日本からの輸出先としては、圧倒的にアジア各国がメインになります。2015年からは中国が急上昇。従来は需要が薄かった高額な化粧品も、大きな人気を呼んでいるのです。また、同じアジア圏の香港でも輸出量は飛躍的に増加しており、こののちに勧告、シンガポール、台湾と続きます。
コロナ化を切り抜けていく打開策とは
主要各社は、コロナ化で悪化の一途をたどる状況を打開すべく、マスク着用によるニキビ”マスクネ”のケアや落ちにくいメイクアップ、D2C・パーソナライズ化粧品など”ニューノーマル”にタイプした新アイテムの開発や、注力カテゴリーの拡充、海外展開の加速などによって、売り上げ規模の拡大化を目指しています。ここでは現在行われている取り組みについて紹介していきます。
ほとんどの品目が出荷金額が落ち込んでいるなか、ヘアトリートメントのみが前年度の出荷額を上回りました。 これについて日本コルマーは在宅時間の増加によって、おうちでできる美容向けアイテムとしてカラートリートメントの提案を強化しているほか、日本色材工業研究所はコスメの落ちにくさに加え、付け心地を重視したメイクアップの開発を進めています。またケミコスクリエイションズはアイライナーにパールを配合することで、マスク着用とパールライナーが融合した市場の創出に取り組んでいます。
注力カテゴリーの拡充として、アサヌマコーポレーションは主軸のメイクアップに加え、2020年を”スキンケア元年”と名付けて同カテゴリーの提案力を強化していく方針を打ち出しています。このほか主要各社の海外展開について、トキワやシーエスラボなどは、近年成長が著しくなっている中国での事業を積極化する意向を示しました。成長著しい中国での事業を積極化する意向を示しました。また、既に中国に事業基盤を有する日本コルマーなどは、『チャイナ+1』戦略としてASEAN諸国への展開を強化し、日・欧米系企業のほか、将来的には現地企業からの受注獲得も目指す意向を示しています。
現在、化粧品市場のEC化率はほかの産業に比べて高くないのが現状です。「平成29年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(経済産業省)」によると、「化粧品・医薬品」のEC市場は5670億円でEC化率は5.3%。「生活家電・AV機器・PC・周辺機器」のEC化率は30%を超えていることを考えると、化粧品のEC化率は低くなっています。
化粧品市場は百貨店、量販店やドラッグストア、専門店の店頭販売、カタログ通販、テレビ通販などの多様な販売チャネルがあることで、ECの強化が厳かになってしまい、消費者からしても品揃えが少なく見えてしまい、魅力を感じていないというところに原因があるようです。
ただ近年、若者を中心にSNSや繰り込みサイトで情報が広がり、ECサイトから購入するケースも増えてきているなど、ECサイト需要は高まってきているといえます。 今後どのようにECサイトを活用していくかが鍵となってくるのではないでしょうか。
出典:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/h29summary.pdf
まとめ
本記事では、化粧品OEM市場についてと今後の課題についてご紹介いたしました。 是非参考にしながら、自社ブランドの商品をどうするか検討してみてはいかがでしょうか。