化粧品製造に関する知識 おすすめの乳化機について
クリームや乳液などの化粧品は、製造工程の中に「乳化」があります。
このときには「乳化機(乳化装置)」という専用の機器が用いられます。
しかし、この「乳化」がどんなものなのか、乳化機がどのような働きをするかわからない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、乳化機を利用して化粧品を作られる方に向けて、乳化の原理や機器を解説します。
化粧品の製造工程、乳化を行う製品と乳化の原理
化粧品では乳化はよく行われる工程ですが、乳化とはどのようなものなのか原理を説明します。
乳化工程がある化粧品の種類
化粧品で製造時に乳化工程があるものは主に
- 乳液
- クリーム
- ミルクタイプの美容液
- シャンプーやリンス(コンディショナー)
- クリームタイプやリキッド(液状)タイプのファンデーション
などです。
乳化の原理
化粧品の成分は「水」と「油」と「界面活性剤」です。水と油は本来混ざりあうことはなく、一緒に入れても分離したままです。
この混ざらない物質同士を混じり合わせることが「乳化」で、エマルションともいいます。
乳化とは、お互いに混ざり合わない二種類の液体のうちの一方の液体を微粒子にして、他方の液体中に分散させることを指します。
どちらが微粒子になっているかで区別されています。
- 水中油型(O/W型)は、水の中に微小な油の粒が分散している状態
- 油中水型(W/O型)は、油の中に微小な水の粒が分散している状態
処方に水性成分が多ければ水中油型(O/W型)になり、油性成分が多ければ油中水型(W/O型)になります。
乳化の方法
乳化は物理的対流を利用して行います。簡単に言うと「原料を機械のミキサーで激しく撹拌する」ことで乳化させます。
ただし、水と油を撹拌しただけでは、静置して時間が立つと再び分離してしまいます。
そこで、界面活性剤を添加して乳化した状態を保つのが一般的な処方です。
化粧品で使われる乳化機の種類
乳化を行う機械として使われるのは、ホモジナイザーや撹拌機(かくはんき)です。
ホモジナイザーは超音波や高圧を利用して、物理的な対流を起こすことによって物質同士を混ぜ合わせる機械です。
このときに物質の粒子が砕かれて、均一な粒子になって混ざるので分散機とも呼ばれています。
より多くの物質を一度に均一化するには、超高圧で物質を狭い隙間から押し出す方式のものを使うのが一般的です。
一方、ごく少量の物質を分散化するには、超音波を利用したホモジナイザーが使われることもあります。
撹拌機は物質を勢いよく混ぜ合わせることで物理的な対流を起こし、混ぜ合わせます。
材料を入れた容器の中に羽のたくさんついたミキサーを入れて機械の力で勢いよく撹拌し、製品を混ぜ合わせます。
大きな電動ミキサーです。界面活性剤を加えることで安定した乳化をするのが特徴です。
装置の中を真空にすることでより強い力で乳化できるため、成分が細かく均一に混ざった乳液やクリームを作ることができます。
化粧品の分野では真空撹拌装置が用いられる事が多いです。
なぜなら、常圧ではあまり激しく撹拌すると気泡が混入して製品が安定しなくなりますが、真空にすることで気泡が混入することを防ぎ、より激しく撹拌できるからです。
また、強い撹拌により界面活性剤なしでも乳化できる特徴があります。
化粧品OEMで使われるオススメ乳化機の紹介
乳化機(乳化装置)を製造販売している企業はいくつかありますが、ここでは技術力に定評のある2社を紹介します。
みづほ工業株式会社
会社概要
みづほ工業株式会社は1953年創業で、日本で初めて真空撹拌装置の製造と販売をした企業になり、高い技術力に定評があります。
「化粧品・医薬品の乳化装置および撹拌機などの製造販売」事業では主力商品として、真空乳化撹拌装置や試験機に相当する研究用ミキサーを取り扱っています。
機種紹介
上下トリプル撹拌型(VTU型)
みづほ式真空乳化撹拌装置は、製品を撹拌・乳化するときに容器内を最適の条件(真空、加熱、冷却等)に保ちながら作動することができる装置です。
槽内面には掻取ミキサーがスムーズに動くよう、完全な真円加工が施されていて、掻き取りにムラが出ません。
VTU型は上下トリプル撹拌構造にすることにより乳化するもので、3つの軸の撹拌により均一な微粒化、上下対流、混合が可能な機種です。
・上部:外部を掻取ミキサー(アンカー撹拌)、内部をパドルミキサー
・下部:タンク底部に高速撹拌ミキサー(ホモミキサー、ウルトラミキサー、ディスパーミキサー)
というミキサーの構造が特徴です。
クリーム、化粧水、ローション、シャンプー・リンス、ジェル商品、ヘアーカラーなどに向いています。
タンク底部に高速撹拌ミキサーを取付けることで、 VQ 型と比較すると少量からの撹拌が可能です。
真空下での撹拌が可能な軸シール構造をもち、各種機器の取り付け・分解が容易で洗浄性を高める工夫がされています。
自動運転・遠隔管理も可能です(オプションになります)。
上部ダブル撹拌型(VQ・OQ)
高速撹拌の軸シール位置の相違により、ステイボルト式とパイプ式に区別されます。
乳化物の均一な微粒化が可能で、化粧クリーム、化粧水、ローション、シャンプー・リンス、ジェル商品、歯磨き粉、ヘアーカラーなどに使用できます。
真空下での撹拌が可能な軸シール構造ですが、脱泡が必要ない場合は、開放式でも製造が可能です。
各種機器の取り付け・分解が容易で洗浄性を高める工夫がされています。
高粘度製品を取り出す際に便利なタンク横転機構もつけることが出来ます。
PRIMIX(プライミクス株式会社)
会社概要
1927年の創業以来、高速撹拌機のリーディングカンパニーとして有名です。
最少処理量300mLの研究機から1,000Lを超える生産機までのラインナップを各製品で取り揃えており、受注生産にも対応しています。
分野ごとに専門知識をもったカスタマー・リレーションズのスタッフがいるのが特徴です。
新製品開発や生産プロセスの改良など高度なニーズには乳化分散技術研究所(R)が対応し、製品化を助けてくれます。
機種紹介
真空乳化装置/システムCLEARSTAR®/クリアスタア®
CLEARSTAR®/クリアスタア®はアヂホモミクサー®よりも微粒化の力が強く、さらに条件を選べば、サブミクロンオーダーの大きさのそろった乳化粒子を作り出すことができます。
基礎化粧品、ヘアケア製品、マスカラ、口紅、リップクリーム、トゥースペースト幅広い製品で使用できます。
CLEARSTAR(R)/クリアスタア(R)はCIP(Clean-in-Place:定置洗浄)とSIP(Sterilize-in-Place:定置滅菌)が可能な真空乳化装置/システムです。
GMPを考慮した設計により、コンタミネーションを防止します。
蓋部からアンカーミクサー、槽の底部からネオカイザー®が配置され、より高剪断、微粒化が可能になりました。
アヂホモミクサー®
ホモミキサーとパドルミキサーを組み合わせた真空乳化装置です。
乳液、ファンデーション、ジェル製品、リンス、洗顔フォーム、染毛剤、ヘアーワックス、ヘアーパック、ボディシャンプーの製造に適しています。
クリームや軟膏の乳化や混練、熱交換などを効率よく行うことができることが特徴です。
生産管理システムHOMICON PRO-Xにて、真空乳化や熱交換の作業を効率よく、確実に行えます。
トリプルタイプ(3軸駆動式)にて広範囲な処理物に対応できます。
GMP対応仕様もあります。
まとめ
成分に水と油が使われる化粧品では製造に乳化工程が使われます。
乳化機選びでは、処方や機器の条件設定で出来上がる製品の機能やテクスチャーが変わるため、プロに相談して、その技術と経験を利用するのがいいでしょう。
この記事を参考にして、素敵なオリジナルブランドの化粧品を作ってくださいね。