化粧品OEM 海外で販売するには?売れる商品とは?
新型コロナウィルスが世界的に蔓延する前、日本各地では大型のキャリーバッグを引きながらドラッグストアや化粧品量販店で大量に買い物をする、「爆買い外国人」が話題となりました。
その背景にはMade In Japanというブランドへの人気があると言われています。
今回の記事では化粧品を海外で販売する際の注意点やポイントについてまとめて行きたいと思います。
海外の化粧品市場と日本の化粧品
世界の化粧品市場規模は2019年の段階で約4,263億USドルとなっており、その中でも巨大な市場として挙げられるのがアメリカ(約777億USドル)、中国(約572億USドル)、そして日本(約350億USドル)です。
新型コロナウィルスの影響により一時的な減速は予想されているものの、世界の化粧品市場規模は年々増加傾向にあります。
ではアメリカと中国、それぞれの化粧品市場とはどの様のなものなのでしょうか。
アメリカの化粧品市場
アメリカは最も巨大な化粧品市場であるため、化粧品のトレンドの発信地と考える方も少なくはありません。
特に、今でこそ日常で聞く様になった「サスティナブル」や「ヴィーガン」と言った考え方も、アメリカではもっと前から化粧品に取り入れられてきました。
また、近年ではミレニアル世代やZ世代など若年層の中で大きなトレンドになりつつある「ミニマリズム」の関係から、日本の化粧品「J-Beauty」への関心が高まってきています。
日本の化粧品への関心が高まっている背景には、肌に対して刺激を与える成分が含まれない商品を求めるという「クリーンビューティー」の考えがあるとされています。
日本の基礎化粧品に見られるシンプルなスキンケアルーティンや、肌への安全性にこだわった商品などは、こう言った「ミニマリズム」や「クリーンビューティー」のトレンドにマッチしているものと考えられます。
しかしながら、日本の化粧品自体はアメリカの日系・アジア系のスーパーには置かれているものの、本来の美容専門店などで売買されている日本ブランドは少ないとされています。
中国の化粧品市場
中国もアメリカに次ぐ巨大な化粧品市場であり、コロナ禍においても勢いが衰えていません。
近年ではZ世代の化粧品消費が大きく伸びて来ており、市場への大きな影響力を持っています。特に、数年前からトレンドとなっている「顔値(顔面偏差値)」の影響もあり、スキンケア商品やメイクアップ商品の消費が活発化してきています。
また、中国市場においては日本の化粧品は一定の人気があり、中国への化粧品の輸出額も年々増大してきています。その背景には日本企業ならではの品質や精密さ、それに裏打ちされた安全性が高く評価されているためと考えられています。
コロナ前にはインバウンド需要もあり、中国の消費者が日本製の化粧品を好んでいることは明らかではありますが、近年は中国の地場ブランドでも競争が激化して来ており、Z世代のニーズに合わせたマーケティングの展開により市場で躍進を続けてきています。
化粧品OEM製品を海外で販売する方法
新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、海外間の人の出入りが制限されるだけでなく、多くの製品において貿易が停滞しています。
一方で、化粧品の輸出に関しては2020年の段階で前年より伸長したという統計が発表されています。
インバウンド消費が落ち込む昨今、販売エリアを海外へ広げていくのも良いかもしれません。
では、化粧品OEMで作った商品を海外で販売するにはどの様な方法があるのでしょうか。
注意点などを踏まえてご説明して行きたいと思います。
越境ECで販売する
越境ECとは、インターネットの通販販売サイトを通じて行う国際的な電子商取引(Electric Commerce)を意味し、国内ではなく海外の消費者に向けて国内消費を販売することを目的としています。主に販売者が海外のECモールで出店したり、越境ECの支援サービスを利用して出店する場合もあります。
特に、中国への越境ECの市場規模は大きく、1兆6000億円規模とされており、年々増加を続けています。また、中国越境ECでは数多くのECモールがあり、それぞれで年に数回ショッピングイベントが開催されており、膨大な商品が取引されています。
中でも最大のショッピングイベントが「W11」で、2020年におけるネット通販全体の売上高は8,403億元(約13兆3億円)に達しています。
W11とは毎年11月11日に中国で行われる独身の日(シングルデー)を祝うイベントで、元々は光棍節(こうこんせつ)という独身者を意味する日として、独身者が集まってパーティーを開いたりプレゼント交換を行ったことが由来とされています。その独身の日に大手ECモールがネットショッピングを楽しんでもらえるようショッピングイベントを始めたところ、現在では多くのECモールで独身の日に因んだショッピングイベントが開催されるようになりました。
また、過去に日本貿易振興機構(JETRO)が調査した結果によると、中国の消費者が過去に越境ECで日本から購入したことがある商品の上位に「基礎化粧品」「メイクアップ商品」「フェイスケア商品」などが上がっており、日本の化粧品に対するニーズが高いと考えられます。
参考元:中国の消費者の日本製品等意識調査(2018年12月)
越境ECはEC販売でのノウハウが必要になりますが、ECサイトを構築したりECモールで出店すると販売ができるため、多くの化粧品メーカーが参入しています。販路拡大の1つとして検討してみても良いかもしれません。
輸出販売を行う
海外の卸業者と取引がある場合は、直接海外に輸出して商品を販売する方法もあります。
しかしながら、海外は国によって化粧品の成分や品質についての規制が異なるため、商品開発の段階から海外輸出を意識した処方組みを行う必要があります。
各国の主な化粧品規制について下記にまとめます。
- アメリカ
アメリカ食品医薬品局(FDA)による規制と、必要に応じて各州の規制にも準拠する必要があります。FDAは成分や品質の規制だけでなく、ラベルやパッケージの表示内容やサイズに関しても規制が設けられています。化粧品をアメリカで販売する際、FDAへの登録は義務化されていませんが、商品の安全性価値の向上のために登録が推奨されています。
- 中国
国家薬品監督管理局(NMPA)による規制に準拠する必要があります。NMPAでは中国国内で販売(越境を除く)する化粧品について、成分や品質の規制が設けられています。化粧品を中国国内で販売する場合、NMPAによる承認が必要となります。
- EU
EU委員会により設定された「化粧品に関する規則1223/2009(化粧品規則)」に準拠する必要があります。化粧品規則では化粧品の成分や品質についての規制が設けられています。化粧品をEUで販売する場合、化粧品製品登録を行う必要があります。
- ASEAN
国によって若干の差異はありますが、大まかにはEUで設定されている内容に類似しています。
- 台湾
台湾衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)により成分や品質について規制されています。
また、化粧品の輸出を行う際は国へ薬事申請を行う必要があるため注意が必要です。
化粧品の薬事申請については他の記事で詳しくまとめてますので、宜しければそちらもご参考ください。
まとめ
今回の記事では、化粧品の海外市場や化粧品を海外で販売する際の方法や注意点についてまとめさせていただきました。
化粧品OEMで開発した自社商品の海外展開をご検討されている方は、ぜひこの記事も参考にしてみてください。