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化粧品OEM・メーカーに関する訴訟問題

化粧品OEMの訴訟

化粧品を製造販売するうえで気をつけるべきことに「訴訟問題」があります。

消費者の健康問題で訴えられたり、他社から権利侵害として訴えられたり、逆に侵害されたとして訴えなければならない事態もあるかもしれません。

この記事では、化粧品の訴訟について解説します。

 

消費者の健康被害での訴訟

健康被害が起こって消費者から訴訟を起こされた2つの事例から学びます。

黒皮膚病裁判

この訴訟は日本の化粧品の規制の始まりともいえるものです。

裁判の概要

メイク化粧品を使っていた人の顔にシミができる黒皮膚病で、患者18名が昭和52年に資生堂を除く大手化粧品メーカーを中心に7社を訴え総額1億77百万円を求めた裁判です。

原因はメイク化粧品に含まれる赤色219号というタール色素に含まれる不純物によるアレルギー反応です。

裁判は4年半にもおよび、最終的に原告らは化粧品メーカーの安全性確保に対する努力を認める代わりに、メーカーらは和解金5000万円を支払うことで決着したのです。

裁判のポイント

「赤色219号というタール色素でアレルギーが引き起こされた」ことが原因ですが、少量しか配合されていない原料であり、アレルギー反応と化粧品の因果関係の証明がむずかしく、裁判が長引きました。

結論としては因果関係が認められ、和解しましたが、裁判にかかった費用と、裁判のための因果関係の証明などメーカー側も大変な犠牲を払いました。

現在では赤色219号は毛髪及び爪のみに使用が可能となっています。

その後の行政の動き

この裁判を受けて昭和55年9月に表示指定成分制度が開始されました。

このほか使用上の注意や厚生労働省に承認申請をおこなうときに、成分の安全性データの義務付けなどもおこなわれ、化粧品の安全性確保に対して法律面で大幅な規制を行い始めました。

美白化粧品の白斑問題

美白化粧品を使用した結果、肌がまだらに白くなる白斑症状を発症するとされる問題です。

白斑症状が出た消費者からの訴訟で、和解が難航している場面もあります。

訴訟に至った理由

この訴訟では一般の不法行為(メーカー側が商品の安全性の確保を怠ったこと)に加えて、「製造物責任法(PL法)」が損害賠償請求の根拠となっているようです。

  • 製造物責任法とは

製造物責任法でいう「欠陥」とは、「通常有すべき安全性を欠いていること」をいいますが、肌に白斑症状を発症させる化粧品は、化粧品が通常有すべき安全性を欠いているといえるでしょう。

不法行為はメーカーの過失を立証することが必要ですが、なかなか難しいです。

そのため、客観的に欠陥があれば責任を追わせることができる「製造物責任法」ができました。

製造物責任法では、メーカーが製品を流通においた時点における科学・技術水準によっては、「欠陥」を発見することが不可能であったことを証明すれば、責任を負わないこととされています。

これを「開発危険の抗弁」といいます。

訴訟の争点

今回のカネボウの事件においては、平成26年7月5日に、美白成分「ロドデノール」が酵素と反応することで、色素細胞が死んだり、減ったりすることが白斑の原因となる可能性が高いと発表されています。

そうすると、販売当時にこの「ロドデノール」の副作用を発見することが不可能であったといえるのか、つまり、「開発危険の抗弁」が成立するのかが、訴訟での争点になります。

今回の訴訟では、おそらくメーカーの責任は問われることとなるでしょう。

消費者からの訴訟を防ぐには

消費者からの訴訟を防ぐには製品の安全対策をしっかりすることが大切です。

具体的な安全対策については以下のことを徹底します。

1. 安全性に配慮した製品設計

原料の安全性データや、成分分析を用いた安全性の確認を厳密に実施しましょう。

製品についても安全性試験や安定性試験を実施し、データ取りをしておくことで安全性を確保します。

 

2. 製造過程で製品に欠陥が発生しないように対策

GMPや化粧品GMP 、ISO22716などの基準を学び、その要件を満たした製造をするなど、製品の欠陥を防ぐ製造を行ないます。

 

3. 消費者への用法の遵守や注意喚起を徹底

販売の段階では、消費者が安全に使用するための取扱説明書の作成、分かりやすいラベル表示などが必要です。

 

責任防御対策

どんなに誠実に製造をおこなっても、製品の欠陥をゼロにすることはできません。

その時のために

  • 製品の回収や消費者からの苦情処理には素早く対応する
  • 訴訟になった場合に証拠として提出できる文書、製品サンプル、実験記録等を作成し、保存しておく
  • 保険に加入しておく

といったことも必要です。

 

メーカー同士の訴訟、商標や知的財産権の侵害

化粧品の訴訟で多いのは、メーカー同士の知的財産権の侵害です。

富士フィルムが化粧品特許訴訟で敗訴

化粧品会社DHCが製造販売する「アスタキサンチン」配合の化粧品について特許侵害があるとして、富士フィルムが製造販売の差し止めと約1億円の損害賠償を求めた裁判です。

富士フィルムの特許は無効であり特許侵害はないとして、富士フィルムは敗訴、特許無効とされました。

特許要件と特許侵害、特許無効

この裁判では「アスタキサンチンの安定的な配合の製法特許」が争点になりました。

特許とは

特許とは、特許法が保護の対象とする「発明」です。

化粧品では、開発された新規成分や処方などに特許があります。

特許権の侵害

特許権者以外の第三者が実施権(ライセンス)などの権利なしに事業として特許発明を実施している場合に、特許権の侵害となります。

化粧品では、特許成分を許可なく自社製品に配合したり、特許と同じ製法で化粧品を製造したりすると特許権の侵害になります。

個人的又は家庭内での特許発明の実施は、事業としての実施とは言えず、特許権の侵害とはなりません。

特許無効とは

特許無効審判は、出願された発明が新規性、進歩性等に欠如しているにもかかわらず、誤って特許された場合、そのような特許を無効にすることについて請求するための制度です。

特許権侵害であるとして警告を受けたり、侵害訴訟を起こされたりした場合の対抗策として特許無効審判を請求することが多いです。

対抗措置とはいえ、特許庁の審査にパスした権利を無効にするためには相当な資料を収集する必要があり、国内外を問わず膨大な調査が必要となります。

特許侵害を防ぐためにするべきこと

特許侵害の多くは、ある製品のベースとなる処方に、何らかの成分を組み合わせた時に起こりやすいです。

スケジュールに余裕がなく、処方特許を調べる前に商品開発してしまうことが主な原因です。

販売後に特許侵害が発覚すると、裁判のために膨大な費用と労力が発生します。

処方や製法については、開発段階でまず既存の特許を調べましょう。

商標権の侵害

商標権とは、商品又はサービスについて使用する商標に対して与えられる独占排他権で、その効力は同一の商標・指定商品等だけでなく、類似する範囲にも及びます。

商標として保護されるのは、文字、図形、記号の他、立体的形状や音等も含まれます。

化粧品では、商品名や、化粧品ブランドのロゴがついていますが、これらはたいてい商標権で保護されています。

第三者が同じような商品に勝手にその商標やそれと類似する商標を使用すると、商標権の侵害になります。

意図せず意匠が似てしまっていても侵害になります。

商標権侵害があった場合、商標権者は、侵害者に対して、商標使用の差し止めや損害賠償を請求することができます。

訴えられないように十分注意しましょう。

 

まとめ

化粧品を製造販売している限り、訴訟のリスクは必ずあります。

そのときに困らないように過去の事例を学んで、普段から対策をしていきましょう。

OEM生産で化粧品を作るなら、モラルの高い実績ある会社を選ぶことも重要です。


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