医薬部外品をOEMで製造したいけれど、費用や期間はどれくらい必要なのかわからずに悩んでいませんか?
はじめてのOEMであればコストを抑えて、販売までの期間も短くしたいですよね。
この記事では、医薬部外品(薬用化粧品)のOEM生産の平均的な費用と期間、コストや開発期間を抑える方法について解説します。
OEMでつくることができる医薬部外品(薬用化粧品)
医薬部外品(薬用化粧品)の定義
医薬部外品は、医薬品と化粧品の中間にあたるもので、人体に関する作用の緩やかなもので機械器具でないものと薬機法で定められています。
厚生労働省が許可した「有効成分」が一定濃度配合されていて、効能・効果が期待できるものが医薬部外品になります。
化粧品と違い、薬機法の許す範囲で効能効果がうたえますが、医薬品のような効果があるものではありません。
医薬部外品(薬用化粧品)の種類
OEMで生産できる薬用化粧品には以下のものがあります。
- シャンプー・リンス
- 化粧水・美容液・乳液・クリーム
- 日焼け止め
- パック
- 石けんや洗顔料
- ひげそり用剤
医薬部外品(薬用化粧品)OEM生産のメリット
OEM生産のメリットは、医薬部外品の製造販売に関わる許可申請が省略できることです。
医薬部外品の許可申請は手間と時間が膨大にかかる大変なものです。
- 申請者(法人にあっては業務を行う役員)が欠格条項に該当しないこと
- 品質管理の方法が厚生労働省令で定める基準に適合すること
- 製造販売後安全管理の方法が厚生労働省令で定める基準に適合すること
- 総括製造販売責任者を設置すること
といった基準を満たした上で、製造販売業許可申請を各都道府県に申請しなければなりません。
また、製造に関しても処方ごとに性能や安全性、使用する成分の種類および量などに問題ないことを厚生労働省に申請し承認を受ける必要があり、簡単に販売までたどり着けません。
申請から承認まで6ヶ月以上かかることが当たり前です。
成分や処方の開発には1年以上、億単位の開発費をかけたとしても、医薬部外品として承認されるかは未定であったりもします。
その点、製造業と製造販売業を持っているOEM会社に委託すると、小売事業として販売だけに集中できる利点があります。
小売事業として医薬部外品の販売をするだけであれば、販売事業者の申請のみでOKになり、面倒な許可申請は不要になります。
医薬部外品(薬用化粧品)OEM生産のデメリット
OEM会社が製造業と製造販売業を持っている場合、「製造販売元」はOEMメーカー、「発売元」が依頼元の企業名になり、自社以外の企業名が入ってしまうことになります。
販売名や裏面の基本的な記載内容は変えることはできませんので、OEM会社の名前を表示しないことはできません。
OEMで生産する方法
医薬部外品をつくって販売するためには「医薬部外品製造販売業許可」が必要です。
自社で取得するか、すでに持っているOEM会社に委託します。
医薬部外品の製造には「医薬部外品製造業許可」を持っているOEM工場に生産を委託します。
ほとんどのOEM会社は医薬部外品製造業許可を取得していますが、一般化粧品のみの工場もありますので、確認してから契約を結ぶようにしましょう。
オリジナル処方の場合の費用と期間
OEM会社に自社のプライベートブランドの開発を頼む場合、開発期間は1年以上かかります。
新規成分を含んだ処方で試作を何度も重ねるような場合、治験等の安全性データも必要になるため、その費用は高額となります。
中心価格帯で1,000万円~3,000万円の費用が必要となるでしょう。
また、ロット数も大きくなるため、開発だけでなく製造や販売のコストも大きくなります。
汎用処方、承認済みの場合の費用と期間
処方開発~承認までが省略されて製造と販売のみをおこなうため、デザイン決定後は最短3ヶ月で販売が可能です。
小ロット生産もできるため、コストも抑えられます。
OEM工場は医薬部外品として認証済の汎用処方を持っているケースが多くあります。
すでに承認された処方であれば、短期間で商品化が可能になります。
デメリットとしては、主要な処方はいじれないため、他社と同じ処方になることです。
処方の差別化としては、
- 粘度
- 香料
- pH
などの軽微変更ですむ部分だけをいじって、つけ心地や香りに差を出す程度です。
差別化は、包装デザインなどの見た目がメインになります。
原料代は一般化粧品より高い
医薬部外品は薬用成分を含むため、どうしても原料費が高額になります。
化粧品に比べてバルク製造にかかるコストは少なくとも1.2~1.5倍をみておきましょう。
ロット数は一般化粧品と変わらないので、小ロット生産が難しい商品でなければ小さく始めることも可能です。
医薬部外品(薬用化粧品)商品化の流れ
薬用化粧品の企画から販売までをOEM会社と会社に委託した場合のおおよその流れです。
企画から販売まででトータル1~2年かかります。
新規処方や特許成分になると数年かかることもあります。
1. 商品企画~処方開発
OEM会社と打ち合わせしながら、ターゲット層のニーズに合う医薬部外品の処方を開発していきます。
処方の検討を繰り返すと、期間とコストが上がっていきます。
2. データ作成
安全性試験や安定性試験などをおこない、申請に必要な製品の品質データを取得していきます。
企画から処方を決定し、データを揃えて申請可能な状態にするまでに、3~8ヶ月程度かかります。
3. 申請~承認
申請から承認までは半年~1年(平均8ヶ月)かかります。
特に何も問題がなくても、医薬部外品として承認されるまでには時間がかかるものです。
処方や提出したデータに疑義が生じてしまうと、追加のデータを求められたりして期間が伸びてしまいます。
4. 製造~販売
処方が承認されたら、容器の種類や包装デザインなどを決めて製造を開始します。
汎用処方の薬用化粧品では、ここからスタートになります。
製造から販売までは、3~6ヶ月程度かかります。
医薬部外品のOEM会社の選び方
OEMの会社はたくさんありますので、必ず複数の会社を比較検討しましょう。
そのなかで自社の戦略に合ったOEM会社を選んでください。
OEMでは小さく始めてユーザーの反応を見ながら徐々に広げていくことになります。
そのため小ロットでも親身に対応してくれる会社を選ぶことが大切です。
スピード重視でとにかく販売をしたい方は納品までの速さで選びましょう。
すぐ売り物になるPB商品をつくることができる処方を持っている会社に委託します。
生産にかかる費用があまりにも安いとサービスが悪かったり、クレームが起こった場合に対応が不十分であったりします。
多少費用が高くても、十分な品質の製品を製造してくれる会社を選択することがトラブル防止に繋がります。
汎用処方の医薬部外品を選択する場合、処方が少ないと他社と同じ処方の商品ばかりになりかねません。
処方が豊富で選択枝の多い会社であれば、他社との差別化も容易になります。
納品した後の対応も大切です。
初めてのOEMであれば、クレーム対応やアフターフォローの充実している会社と契約しましょう。
まとめ
OEM会社に医薬部外品の製造を委託する場合の期間は、オリジナル処方でトータル1~2年、汎用処方で3~6ヶ月になります。
費用は新規成分で処方の開発を重ねる場合1,000万円~3,000万円かかります。
汎用処方であれば、一般化粧品の1.2~1.5倍程です。
独自処方であっても汎用処方でも、OEM会社と二人三脚で自社ブランドを作り上げていくことに変わりはありません。
この記事を参考にして、素敵な薬用化粧品をつくってください。