近年、パーソナライズドコスメの開発が活発化しています。
自社でもパーソナライズコスメをプロデュースしたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、パーソナライズドコスメがどんなもので、今後の展望はどうなのかを解説します。
パーソナライズドコスメとは
「パーソナライズ」の意味は、ユーザー一人ひとりに合わせて、最適化された商品・サービスを提供することです。
かつては専門のサロンなどにいかなければ受けられなかった個人向けのサービスを、ITを使って手軽に受けられるようにしたものになります。
サプリメントや健康食品をはじめお茶などの嗜好食品でも、個人の好みや体質に合わせた商品を選んで組み合わせたり、調合したりして提供してくれるといったサービスが人気になっています。
化粧品でもユーザーごとに提供する商品の内容が変わる商品がでてきて、これが「パーソナライズドコスメ」になります。
美容の悩みは同じ年齢・性別でも体質が異なるため、同じではないことがあります。
一人ひとりの美容の悩みや体の状態に合わせて、最適化された商品を提供出来ることがパーソナライズドコスメの強みです。
また、化粧品は有名無名を問わず、たくさんのメーカーからさまざまな処方のものが販売されています。
その中から自分に最適なアイテムを選ぶのは難しく、カウンセリングやカスタマイズすることで自分にあった商品が手に入るならば、多少価格が高くてもいいとするユーザーが増えてきていて、今後需要が拡大していくと予想されます。
化粧品OEMでつくることができるパーソナライズドコスメの種類
パーソナライズドコスメと一口にいっても、いくつかある商品ラインナップから提案されるもの、セミオーダーのもの、完全にオーダーメイドのものまで商品に幅があります。
パーソナライズドコスメとして作られるものは以下の種類があります。
基礎化粧品(スキンケア)
パーソナライズドコスメ全体の半数を占めるのがスキンケア関連の商品です。
肌の悩みは本当に人それぞれで、年齢や体質によって必要なケアは変わってきます。
人気のものは定期的に肌診断ができ、その時の体調に合わせて成分を調整できるものや、オリジナルの化粧品が作られるだけでなく、今後のスキンケアのプランも分かるものなどがあります。
ファンデーション(ベースメイク)
もともとファンデーションは、店頭でユーザーの肌色を診断し適切な色味のファンデーションを作るサービスがありましたが、現在ではスマホを使って自宅で簡単にできるようになっています。
ヘアケア製品
髪質やカラーリングなどのダメージを診断し、今の髪の状態に合わせたシャンプーやトリートメントを提案するものが多いです。
また、カラーリングも人気で、オンラインで髪に合わせた処方のヘアカラーをつくることができます。
パーソナライズドコスメが注目される3つの理由
パーソナライズドコスメが注目されているのは以下の3つの理由があるからです。
化粧品業界はもともとユーザーの悩みが細分化されていたことも、パーソナライズドコスメが注目される理由です。
例えば基礎化粧品であれば、敏感肌、年齢肌、脂性肌、乾燥肌などの年齢や体質別に商品を展開することが当たり前です。
それをさらに細かく一人ひとりに合わせる形で展開するのがパーソナライズドコスメです。
大手の大量生産された汎用性の高い商品では満足できない、体質に合わないといったニッチな層が少なからず存在します。
こういった層にアプローチすることで大手とは違うユーザー層を獲得します。
ニッチな悩みとはいっても、化粧品は市場規模自体が大きいので、上手にアプローチができれば業界内のパイを一定量確保することが可能です。
特に化粧品業界に確かなポジションを築きたい中小企業や、新規参入を目指している企業にとって、パーソナライズドコスメは大手との差別化を図り、自社ブランドの知名度を上げるのに適した商品になります。
自分にあった化粧品選びは思った以上に大変です。
本当に自分にピッタリのコスメを選ぶには、体質や生活スタイルを踏まえて選ぶ必要があります。
しかし消費者が、自身で客観的に自分の肌質や髪質、似合う色などを判断するのは困難です。
見極めるにはプロの知識や経験が必要で、美容サロンなどで診断を受けることが一番ですが、時間的にも費用的にも負担が大きいです。
パーソナライズドコスメでは、そのほとんどが、スマホで肌の状態を撮影したり、いくつかの質問に答えるだけで肌質や髪質を判断してくれます。
診断をおこなうだけなら無料であることがほとんどです。
そういった手軽さもパーソナライズコスメが人気の理由になっています。
複数の質問や送られた画像で悩みの原因を正確に判定し、その人に最適な処方のアイテムを選ぶことが出来るようになったのはAIの進歩によるものが大きいです。
特にパーソナライズドコスメはECコスメの領域で伸びています。
その中には、実際の肌を測定し何百万通りの中からピッタリのものを選ぶだけでなく、最適の処方で調合してくれるサービスもでてきました。
スキンケア商品やヘアケア商品などの基礎化粧品ジャンルにとどまらず、似合う色をセレクトしてくれるサービスや好きな香りを提案してくれるサービスなど、サービスの種類も多様化してきています。
パーソナライズドコスメの要となる診断の技術も年々向上しており、今後はより細やかな診断と商品の提供が可能になっていくでしょう。
コスメのパーソナライズ化は今後も拡大すると予想されます。
パーソナライズドコスメの課題
今後も拡大を続けるパーソナライズドコスメですが、乗り越えなければいけない課題もあります。
今までの化粧品の製造は、ロット数をある程度確保して量産することで、価格と品質を確保してきました。
一度に大量生産できないパーソナライズドコスメを、どのように生産していくかは今後の大きな課題です。
化粧品は処方が少し変わっただけでもテクスチャーの変化が大きいものです。
個人にあった化粧品を作る場合、処方を細かく変えても安全性が確保できるか、品質管理をどうするかといった問題がでてきます。
少量多品種生産はOEMが得意とするところですので、今後はOEM会社と連携して、より多様なパーソナライズドコスメをコストパフォーマンスよく、高品質でつくるための施策をとっていく必要があります。
個人個人に向けたサービスだと、消費者それぞれに気にする部分が変わってくるため、ターゲットの特定をしづらくなります。
現時点では「個人に向けたセミオーダーやオーダーメイドのコスメ」というのは差別化になりますが、今後セミオーダーやオーダーメイドが当たり前になったときに訴求ポイントが打ち出せなくなる可能性もでてきます。
少量生産で需要が読みづらいパーソナライズドコスメは、生産コストが高くなりがちです。
その分を価格に転嫁させるしかなく、同様の成分や処方のコスメに比べ高価になってしまいます。
消費者が納得できる付加価値を付けることができなければ、価格によって敬遠されてしまうかもしれません。
まとめ
パーソナライズに注目した商品づくりは、化粧品事業の拡大や新規参入に非常に有効です。
しかし、生産コストが高くなりがちなど課題もあります。
この記事を参考にして素敵なパーソナライズドコスメを作ってください。