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ヒト幹細胞培養液の薬機法と薬事広告対策

化粧品OEM ヒト幹細胞培養液と薬事広告対策

ヒト幹細胞培養液の薬機法と薬事広告対策

最近注目されている「ヒト幹細胞コスメ」は、アンチエイジングや肌の活性化に効果があるといわれています。

しかし、化粧品でその効能効果をそのまま表現してもいいのでしょうか?

答えは「ダメ」です。

なぜなら、薬機法で認められていないからです。

この記事では、ヒト幹細胞コスメの広告表現について、薬機法の規制と具体的なOK表現とNG表現を解説します。

ヒト幹細胞コスメとは

幹細胞は、自分とまったく同じ能力を持った細胞に分裂することができる能力(自己複製能)と、体を作るさまざまな細胞を作り出す能力(分化能)の2つを持つ細胞のことです。

再生医療分野では、培養した幹細胞を使ってさまざまな治療や研究をおこなっています。

その幹細胞を培養した後の培養液には有用な成分がたくさんあることが知られていて、現在はその培養液を化粧品として販売しています。

例えば、培養液に含まれるグロースファクター(成長因子)やサイトカインといった活性物質を含むコスメを塗ることで、肌細胞を活性化できたり、肌を若返らせたりするとされています。

しかし、これらの効能はまだ研究段階のものも多く、広告表示には注意が必要です。

 

薬機法(旧・薬事法)とは

薬機法とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。

薬機法は医薬品や医療機器の品質や安全を確保するために、製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律です。

医薬品や医療機器だけでなく、医薬部外品、化粧品、健康食品にも薬機法の規制を受けます。

ヒト幹細胞コスメも薬機法に従う必要があります。

 

薬機法での化粧品の定義と広告規制

化粧品は薬機法ではどのように定義され、規制されるのでしょうか。

化粧品の定義

薬機法では、化粧品は法第2条3項で以下のように定義されています。

この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、医薬品の用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

要約すると

  • 皮膚や毛髪に対して
  • 清潔に保ったり美しく整えたりするために
  • 表面に塗ったり吹き付けたりする
  • 体に対する作用が穏やかなもので
  • 医薬品や医薬部外品は含まない

ものが化粧品です。

「作用が穏やか」ということは、「強い効果・効能がない」ということでもあり、効果・効能をうたうことができない理由になります。

化粧品の広告規制

化粧品の広告表現は法第66条で禁止表現が定められています。

 

法第66条1項 虚偽・誇大広告の禁止

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

「何人も」とあるように、製造業者や販売業者だけでなく、広告を掲載するメディアも広告規制の対象となります。

「明示的であると暗示的であるとを問わず」となっているように、言葉や文字などで表現することはもちろん、誤解を与えるようなイメージや画像なども禁止されます。

「虚偽又は誇大」とあり、事実とまったく異なることを表現すると「虚偽」となります。

「誇大」は事実を大げさにいう(誇張や最大級の表現を使う)ことが該当します。

 

法第66条2項 保証表現の禁止

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布に該当するものとする。

「医師その他の者」というのは医師をはじめとする医療関係者などが当てはまります。

効果・効能の「保証」とは、公認・推薦・選用などが該当します。

たとえ事実であったとしても、広告に使ってはいけません。

具体的には、医師や薬剤師が「私も使用しています」と広告することや「〇〇医師おすすめ」という表現は違反になります。

 

幹細胞コスメの広告表現の具体例

現在の薬機法では、化粧品において「アンチエイジング」や「肌の活性化」などといった効能効果は認められていません。

こういった表現を使ってしまうと、虚偽・誇大広告となってしまいます。

このことを考えると、幹細胞コスメの効能効果について突出した表現はNGであるといえます。

現在の認められた範囲内で広告のコピーをつくりましょう。

現行法で許可される範囲の表現で表示する

ヒト幹細胞コスメのアンチエイジングの効果効能については「エイジングケア」の範囲内で表現するにとどめましょう。

肌に対する効能効果についても「肌にうるおい・ハリ・ツヤを与える」という化粧品の効能の範囲にとどめておくことがポイントです。

また、「いきいきとした」や「透明感のある」など主観的な表現にとどめて、消費者にイメージさせる手法もおすすめです。

幹細胞自体が入っているように受け取れる表現はNG

「ヒト幹細胞コスメ」と聞くと、多くの消費者は人の幹細胞自体が入っていると誤解してしまいます。

必ず、「幹細胞エキス」や「幹細胞の培養液」など、幹細胞自体が入っていないことをしっかりと明記しましょう。

「ヒト幹細胞美容液」という表現はOKです。

ただの培養液でなく、幹細胞を培養したあとの培養液であると分かるようにすることも誤解を防ぐポイントになります。

NG表現の具体例

  • さまざまな細胞を作り出す「幹細胞」が入っています
肌細胞に対する直接的な効果をうたうことはNG

ヒト幹細胞コスメは肌細胞に働きかける効果があるとされますが、化粧品において「肌細胞によい影響がある化粧品だ」と消費者が思ってしまうような表現はできません。

NG表現の具体例

  • 肌の細胞を作り出す
  • グロースファクターが細胞に働きかける
  • 幹細胞培養液が細胞の活性化を促進
  • 細胞レベルでの若返りをめざす
  • 幹細胞エキスで素肌の活性力アップ
  • 肌を活性化させる成分がたっぷりはいった美容液
  • 細胞を味方にする
老化予防効果や若返りの効果をうたうことはNG

ヒト幹細胞コスメにはアンチエイジング効果が期待できますが、化粧品のエイジングケアは「現在の肌の状態を維持する」ところまでしか認められていません。

消費者に老化防止や若返るような効果があるように思わせる表現は禁止です。

NG表現の具体例

  • 活性成分で肌が若返る
  • 肌の老化を防ぐ
  • 若さを取り戻す
  • 若々しい素肌がよみがえる
  • 肌の時間が戻る
  • シワを直す、シワを取り去るエイジングケア薬用美容液
  • 幹細胞エキスが肌の老化防止に役立ち、特にコラーゲンの生成能力を高める
医療関係者の公認・推薦・指定・選用はNG

ヒト幹細胞培養液は再生医療の分野で使用されていることもあり、医療関係者や医療機関を広告に登場させたくなるかもしれませんが、注意が必要です。

公認・推薦・指定・選用は認められていません。

「開発」は認められているので、共同開発の事実がある場合には「〇〇医師と開発しました」など広告にその旨を表示できます。

NG表現の具体例

  • 〇〇医師も愛用!
  • 〇〇病院も推薦しています

 

まとめ

ヒト幹細胞培養液については、まだ研究途中でデータが不足しており、効能効果が公式に認められていないことを踏まえて広告の表現を工夫する必要があります。

  • 幹細胞自体が入っていないことを明記
  • 行き過ぎた効果効能についての表現は控える

この2点を守って、ヒト幹細胞コスメを広告・販売しましょう。


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